第140話 日米野球用語(1)

実は第139話でダイヤモンドが五角形のラウンダースを紹介したのですが、ダイヤモンドは菱形であって、四角でも五角でもなかったのではないでしょうか?と思いその語源を調べて見ました。
日米野球用語小事典によれば、「Diamond::ダイヤモンド。内野の別名で、内野があたかもダイヤモンドの形のようになっているので、この名称で呼ばれる。これはハワイが発祥の地で、ベースボールの始祖であるアレキサンダー・カートライトが設計したホノルルのカートライト球場で採用されたのが最初といわれている。」と説明されていました。私は尚釈然としていません。

この本を読んでいるうちに、日本にはアメリカから野球が輸入され、いまでは日本で多くの外人が活躍しているのに、和製の野球用語(カタカナ)が多く聞かれるようになっていて、この和製英語がアメリカでは通じないことを日本人はあまり知らないのではないかと思いました。

面白そうなのをいくつか紹介します。
     日 本 (和製英語) アメリカ     
・ボールコース
      外角高め(アウトハイ)
      内角低め(インロー)

 high and outside , up and away
 low and inside , down and in,
 アメリカでは「内外」「高低」の順序が日本と逆に なっていることに注目。
・決め球(ウイニングショット)   strikeout pitch, out pitch ,money pitch ,
bread-and-butter pitch,

 アメリカでは shotは例えばa three-run shot(スリーランホームラン)のように
 「ホームラン」という意味で使われることはよくある。
・「オーバースロー」(上手投げ)    overhanded pitch  
 アメリカでは「オーバー」は「度を越した」という意味があり、
 overthrowは「暴投」という意味で用いられる。
・「サイドスロー」(横手投げ)  sidearmed pitch
・「アンダースロー」(下手投げ)   underhanded pitch
・「スピードボール」(速球)  fastball,fireball,smoke,fog,heater,hummer,aspirin
 アメリカでは「speedball」は「サッカーに似た球技」の名前や「コカインにヘロイン
 などを混ぜた速効性覚醒剤」などを表すのに使われる。

黒川省三/植田彰共著「こんなに違う日米野球用語小事典」を参考にしました。(2000.7.18記)
                                    以上








第141話 日米野球用語(2)
    日 本 (和製英語)        アメリカ
・ツースリー
   日本では(two strikes and three balls )
    とストライク数を先にいう。
 アメリカは、(two balls and threestrikes)
    とボール数を先にいう。
・デッドボール(死球)
     打者に投球が当ること。
hit by a pitch,hit-by-pitch
 アメリカでいうdead ball「デッドボール」は 試合を一時
 中断させるボールのことで、例えば野手に捕球され
 なかったファールボール、主審や捕手のマスクには
 さまった投球、打者が足を完全にバッターボックス
 からはみ出した状態で打った打球なども、dead ball
 という。  また主審がTime(タイム)と宣告してから、
 Play(プレイ)といってゲームが再開されるまでの間
 のボールもdead ballである。
・ノーコン
    日本では投手の投げるボールのコントロールが
    悪いことをいう
 bad control,lack of control
・ノーヒットノーラン
   投手が相手チームにヒットを1本も与えなかった
   ゲームのことをいう。
 no-hit-no-runのrunは得点である。
 runはランナーでもホームランのことでもない。
・パスボール
   通常捕球可能な投球を捕手が何らかの理由で捕球
   しそこない、ランナーを進塁させてしまうことをいう。
 pass ballとはいわない。 passed ballが正しい。
・バッティングピッチャー
   打撃練習で登坂する投手のこと。
 バッティングの得意な投手と誤解される。
 batting practice pitcherが正しい。
・フォアボール
    4つのボール。四球。
 walk,base on balls,free pass,free ticket

以上とりとめもなく書きましたが、まだまだ数多くの和製英語(カタカナ書)が本には載っていますが、ここでの紹介は省略致します。
アメリカから来た外人選手も和製英語にとまどっているのではないでしょうか?
日本人が外国から来たゲームを和製英語で楽しむというのは両国の文化の違いを示すものでしょう。
    参考にした本は第140話と同じです。 (2000.7.20記)  以上












第142話 トランプのダイヤ

トランプのダイヤは何を意味しているのでしょうか?調べて見ました。
トランプと呼んでいるのは日本だけです。その理由は、明治初期に来日した西洋人たちがカードゲームを行なっているとき、トランプ(切り札の意)という言葉を使ったのを、わきで見ていた日本人がカードそのものの名称だと間違って使ったものだといわれています。

このカードの起源については多くの説があり、いずれも確証もなく不明な点が多いとされています。その中でも中国起源説が現在のところ最も有力な説とされていて、前2世紀から2世紀の間に初期の形態が作られたと推定されています。東洋に発生したカードがヨーロッパに伝えられ幾多の変遷を経て現在のカードの形態になりました。
【別図「トランプ系統図」参照】

13世紀頃は56枚のカードで、剣・棍棒・聖杯・貨幣の4つのスーツ(組札)があり、各スーツは1から10までの数のカードと王・女王・騎士・兵士の絵札からできていました。
14世紀の末から15世紀の初頭に絵札のなかの騎士がなくなり、各スーツ13枚、計52枚一組の現在のカードになりました。
現在のカードで兵士・召使いを表すカードをジャックとよぶのは、ジャックという名が日本でいう太郎などと同じように一般的な名前だからです。

また各スーツの印も剣・聖杯・貨幣・棍棒から色々変化し、ドイツでは、木の葉・心臓・鈴・どんぐりを、フランスでは、槍・心臓・敷石(カロー)・棍棒を使っていました。現在の我々が使っている英米型の、スペード・ハート・ダイヤモンド・クラブはインターナショナルスーツと呼ばれ、フランスのスーツの変化したものだそうです。尚フランス語のカロー(carreau)は、小さな正方形、(教会の)敷石、トランプのダイヤを意味し、英語のdiamondは金剛石(ダイヤモンド)の他、菱形:トランプのダイヤ、野球の内野、野球場の意味があります。
ダイヤモンドの原石は正八面体が正しい形状で、美しく見せるためのカットが色々工夫されています。菱形は宝石のダイヤモンドの象徴です。 スペードは剣の変形で、イタリア語の剣を意味するspadaからきており、英語のspade(すき)の意味はありません。ダイヤモンドは貨幣・鈴の置き替でしょう。クラブは棍棒のことで、三つ葉を用いていますが、これは古いカードで見られる棍棒に三つ葉がついていたものがあり、この三つ葉を棍棒の代用にしたものです。
剣は王侯・貴族を、聖杯は僧侶を、貨幣は商人を、棍棒は百姓を、意味づけたもので、これは中世の社会階級を表したものです。宝石のダイヤモンドは貨幣の歴史の中に出てきませんでした。

小学館発行の「万有百科大辞典13」、
松田道弘編「トランプゲーム事典」、
井上和夫著「トランプ・花札・ダイス」を参考にしました。  (2000.8.1記) 以上










第143話 マージャン牌の図柄の意味

マージャン牌の図柄の意味を調べました。
マージャンは中国で作られたことは確かですが、何時誰が発明したかなど詳細はわかっていません。禹(う)帝時代(前2000ごろ)とも明(みん)朝の天啓年間(1621−27)に作られたともいわれますが、いずれにしても現在のマージャンの形態と内容とが完成したのは清(しん)朝の初期になってからだとされています。
マージャンの牌の図柄は何を意味しているのでしょう。【別図「牌の種類」参照】
筒子(トンツ)は穴あき銭 を、索子(ソーツ)は銭差しの縄を、万子(ワンツ)は銭の多少を表す数字を意味しているといわれます。
巷説(こうせつ)では白板(パイパン)は白粉(おしろい)を、緑発(リューファ)は緑髪を、紅中(フォンチュン)は紅顔をそれぞれ意味していて、官女をモデルにしたものだといわれます。一説には、白・発・中は『礼記(らいき)』にある投壺(とうこ)という遊びから出たもので、白は的を、発は投げることを、中は的中することをそれぞれ意味するものだとする説もあります。
また索子(ソーズ)の1を鳥の図柄で表しているのは、当時の官女たちが自分たちの身の上を籠の鳥にたとえて、自らを慰めるためであったともいわれています。
日本にマージャンが伝わったのは、明治の末期で中国とアメリカとから前後して伝えられた様です。七対七(チートイツ)という同じ牌を2個づつ7組そろえるルールは中国にはなくアメリカで作られたものです。
千葉県夷隅郡岬町にある「麻雀(マージャン)博物館」の麻雀博物館ガイドによれば、「中国は麻雀の発祥地でその歴史も悠遠なものである。1966年に文化大革命が始まると、麻雀は退廃的であるとして、指弾の対象になった。1976年文化大革命が終了すると、麻雀人気は復活した。1998年、国家体育総局のもとで、麻雀はスポーツとして公認され、世界の麻雀をリードしようとしている。」と書かれ、世界中に広まった麻雀の各種牌を紹介しています。
「シベリア抑留者の手作り牌」「将軍達の手作り巣鴨プリズン牌」「世界各地の歴史的な牌」などが展示されているとのことなので一度は訪れて見たいと思います。
2000.3.11の毎日新聞には『「かけない」「飲まない」「吸わない」広がる健康マージャン』の見出し記事で、「日本健康麻将(マージャン)協会」が紹介され、1995年から中国とも交流を行っている。とも述べています。
マージャンは運と技術とをうまく組み合わした絶妙なゲームだと私は思います。

小学館発行「万有百科大事典13」と(株)竹書房発行「世界の麻雀−麻雀博物館ガイド−」を参考にしました。
                  (2000.8.12記)以上












第144話 武士道(1)新渡戸博士

先日、新聞に【『武士道』100年、広げた友好、新渡戸稲造を記念し、故郷・盛岡に集う】という記事を見ました。
新渡戸博士が英語で書いたBUSHIDOの本で、世界に武士道を紹介した偉業を讃え、発刊から100年記念の今年日米友好の集いで、「新渡戸精神から21世紀を考えるシンポジウム」も開かれたと報じていました。
  新渡戸博士は1862年に盛岡市に生まれ、札幌農学校で学び、キリスト教の洗礼を受け、米国に留学し、71歳で亡くなるまでに、東京女子大学学長や国際連盟事務次長も勤めました。クエーカー教徒として、西洋の騎士道などと比較しながら描いた『武士道』は、米国第26代大統領のセオドア・ルーズベルトを感動させ、日露戦争で膠着していた日本とロシアの間の仲介をとらせたといわれています。
新渡戸博士が「武士道」を書いたきっかけは、20代後半のヨーロッパ旅行中に、「日本の学校には宗教教育があるのか」とたずねられたことからでした。「ない」と答えたところ、「では、日本人にはどうやって道徳が教えられているのか」と問われて、返答出来ませんでした。また、米国人である妻のメリーさんからも日本人の考え方についてよく質問されていました。そして、幼少の時から教えられた武士道で日本の道徳を説明できることに気づき、1900年1月に英文で130ページほどの本を書きました。ドイツ語、フランス語、ポーランド語など多数の外国語にも訳されました。
武士道の源流から説明し、正義、勇気、忍耐、慈悲、あわれみ、礼儀、真実、名誉、忠実などを内容に17章で構成されています。武士の生き方を西洋の騎士道などと比較しながら、解説もし、「武士道は消えるかもしれないが、その力は地上より滅びないだろう」と結んでいます。
新渡戸研究家で関西外語大学教授の佐藤全弘さんはこう話しているそうです。
「250名もの人物名がこの本には登場しており、新渡戸博士の情報と知識のすごさに圧倒される。5千円札くらいしか新渡戸博士は知られていないが、匹敵できる国際人は現在の日本にはほとんどいない。今、世の中は政治家や企業に責任感がなくなっている。そういう風潮の中だからこそ、悪事をせず、自分の仕事に誇りをもったかっての日本人が描かれた本書が評価されるのでしょう。」
今回「武士道」の本を読む機会がありましたので、その内容の一部を次話でご披露致します。
参考;朝日新聞夕刊(2000.7.31)、 新渡戸稲造著 須知徳平訳「武士道」、
    志村史夫著「いま『武士道』を読む」、新渡戸稲造著 奈良本辰也訳「武士道」
                         以上(2000.9.13記)
















第145話 武士道(2)武士道の淵源他

新渡戸博士の「武士道」の内容の一部を紹介します。(訳文のまま)
・武士道の淵源
仏教は(常に心を安んじて)すべてを運命に任せるという平常の感覚を武士道に与えた。避けることのできない運命に対しては冷静に服従するという、危険や災難に直面したときのストイック的な落ち着きと、生を軽んじて死に親しむ心を与えてきた。剣道の達人は、その門弟に剣の奥義を伝え終わったとき、「これ以上のことを教えることは出来ません。あとは禅に学んで下さい」といったという話がある。
禅とは「言葉による表現の範囲を超えた思想の領域に、瞑想をもって自ら達しようとする人間の努力をいう」という意味である。

仏教が武士道に与える事が出来なかったものを、神道が豊かに満たしてくれた。主君に対する忠節、祖先に対する崇拝、および親に対する孝行がこれである。
これによって武士の(ややもすれば陥り易い)傲慢な性格は抑制されて、服従性が加えられた。神道の教議には、(キリスト教でいう)「原罪」の観念は無い。人間性の善を信じ、人間の魂は本来神のように清浄であるとして、その神託を聞く所を神の社として崇め尊ぶ。

厳正な意味における道徳的教養に関しては、孔子の教える道が、武士道のもっとも豊かな淵源であった。孔子が説いた君臣、父子、夫婦、長幼、朋友の、この五輪の道は、中国よりこの聖人の教義が輸入される以前から、わが国の民族的本能がこれを認め重んじていたことであって、孔子の教えはこれを確認したにすぎない。
孔子についで孟子も、武士道の大きな拠り所となった。

・義は武士道の中でも最も厳しい教訓である。武士にとって、卑劣な行動や不正な行為ほど忌むべきものはない。林子平は、これを定義して、「義とは、勇気を伴って為される決断力である。道理にまかせて決断をし、いささかもためらうことをしない心をいう。死ぬべき場合には死に、討つべき場合には討つことである。」といった。

・勇気は、義のために行われるものでなければ、徳としての価値は殆ど無い。

・仁は、やさしくなごやかな徳である。たとえていえば母の心である。誠実なる義と、厳格なる正義とが男性的であるとすれば、仁愛は女性的なやさしさと説得力をもつ。しかしながら仁愛を行うのに、正義と義をもってしなければ、みだりに愛に溺れる事があるので、これはいましめなければならない。
                       以上 (2000.9.16記)













第146話 武士道(3)礼儀他

・礼儀
外国人が、観光客としてわが国を訪れると、誰でも日本人の丁重な礼節に注目し、これが日本人の特性だと思うようである。 まことの礼儀は、他人の感情を察する同情的な思いやりが外に表れたもので、正当なるものに対する尊敬、ひいては社会的地位に対する公正なる尊敬を意味する。
礼儀の最高の形は殆ど愛に近い。(聖句の愛を礼の一字にかえて)「礼は寛容であって人の利をはかる。礼は妬まず、誇らず、たかぶらず、非礼をおこなわず、自分の利を求めず、軽々しく怒らず、人の悪を思わない」といえるだろう。
礼儀を行うのに、真実と誠実の心が欠けていたならば、それは茶番になりお芝居になってしまう。伊達政宗は、「礼儀も過ぎれば、へつらいとなる」といっている。

・名誉
名声は人の体面であり、「自分に備わった不滅のものであり、これがなかったならば、人は馬や獣と同じである」とされた。したがって、名声を侵されることは、最も恥とされた。そして「恥を知る心」(廉恥心)は、少年の教育において第一の徳目であり、「笑われるぞ」「体面を汚すぞ」「恥ずかしくないか」などの言葉は、少年に対して、正しい行動を促すときの最後のいましめであった。

・忠義
封建道徳には、他の道徳体形や、武士以外の階級にも共通しているものも多くあった。しかし、この目上の者に対する服従と忠誠の徳は、封建道徳の中ではっきりとその特色をを示すものである。忠誠が徳として最も重んじられたのは、武士の名誉にかかわる規範においてのみであった。

・切腹
切腹はわが国の中世にはじまって、武士がその罪をつぐない、過ちを謝し、恥をまぬがれ、友人につぐない、そして自分の誠実を証明する方法であった。
切腹は洗練された自殺であって、感情の冷静さと態度の沈着さとがなくては、誰もこれを実行することは出来なかった。それ故に、切腹はとくに武士にとってふさわしい作法だったのである。身体のとくに腹の部分を切るということは、そこが霊魂と愛情の宿るところだという古代の解剖学的信念によるものである。

・武士道の感化
武士道以上に、宗教の資格をもっている道徳体系は、他にあるだろうか。本居宣長は、わが国民の無言の言葉を表現して、次のように歌った。
      敷島の大和心を人問はば   朝日に匂ふ山桜花
             以上     (2000.9.19記)














第147話 武士道(4)武士道の将来他

・武士道の将来
ヨーロッパにおいては、騎士道は封建制度のふところから離れ、キリスト教によって養い育てられ、新しい生命を得たことである。これに反して日本の武士道には、これを養育するほどの大宗教がなかったことである。したがって、その生みの親である封建制度が崩れ去ると、武士道は孤児として取り残され、やむを得ず自立して生きてゆかなければならなかったのである。
現在のよく整備された軍事組織は、武士道をその保護下に置くかもしれないが、現代の戦争は武士道が成長し続けていく余地を殆ど与えない事は、よく知られている。武士道をその幼児の頃から養育してきた神道は、それ自体老い込んでいる。
武士道は、一個の独立した道徳の掟としては、消え去ってしまうかもしれない。しかしその力は、この地上より滅びはしないであろう。しかし、その光明と栄光は、その廃墟を乗り越えて永遠に生きてゆくであろう。その象徴である桜の花のように、西方の風に吹かれて散り果てても、その香気は、人生を豊かにして、人類を祝福するであろう。

・私の感想
新渡戸博士の「武士道」を読んでその洞察力には深く感銘を受けました。
武士道も切腹の禁止、廃刀令の実施、日本の敗戦などで変化してきました。
戦後日本を支配してきたのは「民主主義」「人権主義」「平等主義」「絶対平和主義」でしょう。
バブル崩壊後の社会全体にはびこる無力・脱力感、モラルの低下と腐敗も広がっています。
道徳教育の再検討、再確認が必要だと思います。
                         以上  (2000.9.22記)












第148話 騎士道

騎士道について調べてみました。 西洋において確立された騎士道と日本の武士道との差異を知りたかったのですが、どうも良くわかりません。
騎士というのは本来騎兵戦に従事する戦闘員を意味しますが、歴史的に特定の身分や社会範疇を指す語として用いられています。ローマ時代、戦闘の主力は歩兵軍団でしたが、追撃、偵察などの補助兵力として、また指揮官や士官の役を果たすものとして騎兵があり、富裕な市民がこれに当たりました。
彼等は騎士として身分的に確定され、元老院議員身分につぐ第2の貴族を形成していました。しかし、騎士といえば、ナイト(英)、リッター(独)、シュバリエ(仏)の訳語として、中世ヨーロッパの武人を指すのが普通です。ドイツ語・フランス語は騎乗者を、英語は侍者を意味しています。
中世、馬具、特に蹄鉄と鐙の東方からの導入改良により、軍馬の機動力が向上し、騎兵戦が戦場の主力となりました。
13世紀頃、騎士の意味に二通り有りました。第1は、国王・公・伯の大貴族でなしに、地方の小領主が騎士を称号とする場合でした(11世紀頃から出現)。第2は大貴族たると小領主たるとを問わず個人的資格として騎士と呼ぶ場合です。完成された武人を意味し、栄誉・高貴の観念が強く結合しています。
貴族の子は生まれながらにして貴族ですが、騎士となることは出来ません。
すでに騎士である別人によって騎士に叙任されることが不可欠です。そのためには、幼少期から貴族婦人に小姓として奉仕して行儀作法を見習い、つぎに楯持ち従者として戦場に出るなど、修行期間を経験することが要求されました。
騎士叙任式は、遠いゲルマンの昔の成人式に起源をもっているらしいのですが、詳しいことはわかりません。
叙任式は次第に複雑化し、同時に著しく宗教色を帯びて神聖化する傾向を示しました。騎士ないし騎士道の守護聖者として聖ジョージの名が引き合いに出されました。騎士叙任式の宣誓から知られる主な徳目は、武勇、誠実、寛容、名誉、敬虔、礼儀、弱者の保護です。騎士の存立の条件でもある武勇と誠実は、特に初期において騎士道の根幹を為しました。
ただし、封建制度の相違を反映して、日本の武士道に見られるような主君に対する一方的な忠義の倫理は見られません。
敬虔以下の徳目は教会が強調した所です。 「騎士道物語」には、「名誉を求める騎士よ。心にとどめよ。価値ある女性のためにこそ、武器をとって戦うのだと。もし、自分の人生を騎士らしく、立派に費やしたくば、もっとも美しい婦人に求愛せよ。」の叙事詩が載っています。
私は、武士道と騎士道とは比較できないように思います。武士道は人生の生き方に対して特に武士としての「職務への奉仕義務の極致」を追求したものでしょう。
     
参考:小学館「万有百科大事典9」、リチャード・バーバー著、田口孝夫訳「騎士道物語」
                        以上(2000.10.12記)












第149話  英国の紳士道

ヨーロッパ大陸で騎士道が栄え、英国では紳士道が栄ました。
この紳士道を調べてみましたが、紳士(ジェントルマン)の概念も時代とともに変わり、明確に説明することは困難だということです。
弱いもの、とりわけ婦人と小児に対する配慮は騎士道の中心的な性格です。これらの源泉を離れて、紳士の理想像は展開してきています。
gentlemanという言葉は、フランスの複合語gentilhommeから派生しています。
gentilは「良家の」ということばでしたが、後に、人を喜ばせるとか、魅力的な、とかを意味するようになりました。hommeは「人」ということです。gentilの第2義は、洗練された人、行儀のよさ、上品さ、とかいう良家の出身者が当然備えているとみなされる事柄に、そのまま結びついていました。ですが、徳性については少しも含まれていませんでした。
ですから、紳士は生まれつくのであって、なるわけにはいきませんでした。
中世初期以降のヨーロッパでは、紳士とは、紋章をつけられることを許された家柄の男子のことで、騎士のような上流階級は含まれませんでした。そこで、紳士は、「伯爵」のような貴族の称号は一つもありませんが、生まれの良い者でした。
紳士は、フランスではしばしば、「de」を名前の前につけて 区別しました。ド・ゴールのように名前の一部となって残っています。ドイツでは、「von」であり、オランダでは「van」、スペインでは「Don」です。
ところがイングランドでは、かなり古くから、生まれただけでは紳士にはなれないという考えが育ちつつありました。
14世紀にはイングランドの歌に、
     誠実、慈愛、自由、勇気、
     四つの徳目のうち、三つ欠くものは
     紳士と呼ぶに値せぬ。
これは古い英語ですが、興味が深い詩句なのです。四つの徳目のうち最低二つは持っていないと紳士とはいえないということでしょう。
パブリック・スクール(寄宿学校)は、紳士の養成に大変寄与しています。即ち、子供を早くから、親から離し独立ということを学ばせるし、新入生は上級生の下男であり、上級生の気まぐれな命令には従わねばなりませんでした。
実業界でも政界でもパブリック・スクール出身者が権限の行使において優れていました。見解を表明するのに、他の人よりは中庸であり、先見性があり、態度が強すぎたり、弱すぎたりする傾向を出しません。
私は、紳士や紳士道についてはまだよくわかりません。更に勉強して見ましょう。
    
トレバー・レゲット著「紳士道と武士道」を参考にしました
                    以上(2000.10.15記)













第150話 世界の国名の由来(1)アラブ以降

シドニーでのオリンピックも終わり世界の平和を更に祈念致しました。
世界の国名の由来について知りたいと興味が沸いてきました。調べた中から「そう言う意味だったのか」と思ったものの一部を紹介してみます。
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国名と国名の由来

アジア
・アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)
 アラブとは、アラビヤ語で(砂漠の民)を意味する言葉。
・イスラエル国(State of Israel)
 「神と闘う者」の意味で、イスラエル人の族祖ヤコブが神と格闘したという「旧約聖書・創世記」の記述による。
・インド(India)
 インダス川の名から。インダスとは、サンスクリット語で「大河」を意味する。 自国ではバーラトとよぶ。
・インドネシア共和国(Republic of Indonesia)
 ギリシア語の「インドの島々」の意味。
 ドイツの民族学者アドルフ・パスティアンによって地域概念の用語として定着したもの。
・カンボジア王国(Kingdom of Cambodia)
 自国ではカンプチャとよび「カンプーの子孫」の意味。
 カンプーとは、3世紀ころに領地を画定したインドのバラモン僧の名といわれる。
・サウジアラビア王国(Kingdom of Saudi Arabia)
 1932年に国家統一を成し遂げた現王朝のサウド家の名と、アラビアの合成地名。
 アラビアとは、「砂漠の民」を意味する。
・シンガポール共和国(Republic of Singapore)
 サンスクリット語で「ライオンの町」を意味する。
・タイ王国(Kingdom of Thailand)
 タイ人の名に基づくもので、タイとは「大きい」を意味するとの説がある。
・台湾(Taiwan)
 先住民である平埔人が、後に渡来してきた漢民族をターヤン(外来者の意)と呼んだことから。
・中華人民共和国(People's Republic of China)
 かっての中華思想に基づいた尊称で、「世界の中央に位置する華やかで優れた国」を意味する。

   
小学館発行「世界の国旗全図鑑」を参考にしました。  以上(2000.11.24記)













第151話 世界の国名の由来(2)朝鮮以降

・朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People's Republic of Korea)
 古代中国人が、朝鮮半島の北部一帯を「朝光鮮麗(朝の光の美しい地の意)」と美称したことによる。
・トルコ共和国(Republic of Turkey)
 トルコ人の名に由来するもので、トルコとは「力強い人」を意味する。
・日本国(Japan)
 「日出づる国」を意味する美称で、聖徳太子が遣隋使国書のなかで、「日出処天子」としるして以来、
 日本の名が定着するようになった。
・ネパール王国(Kingdom of Nepal)
 サンスクリット語で、「山麓の居住地」を意味するという。
・フィリッピン共和国(Republic of the Philippines)
 スペイン皇太子フェリペ2世を記念し、周辺の島々を「フェリペ2世の島々」と命名したことから。
・ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)
 ベトナムは越南と表記され、「南方に建国した越の国」を意味する。
 越とは、紀元前5世紀ころに揚子江の南域にあった古代国家。
・マレーシア(Malaysia)
 サンスクリット語で「山地」を意味するマラヤに基づき、「マレー人の地」の意。
・ミャンマー連邦(Union of Myanmar)
 インドのバラモン教の最高原理であるブラーマ(清浄)に由来するといわれる。
 旧称ビルマはミャンマーの英語訛り。
・モンゴル国(Mongolia)
 モンゴル人の名に由来するもので、モンゴルとは「勇敢な人」を意味する。
・ラオス人民民主共和国(Lao People's Democratic Republic)
 タイ系支族のラオ人の名に由来。ラオとは、古タイ語で「人間」を意味する。

アフリカ
・エジプト・アラブ共和国(Arab Republic of Egypt)
 古代エジプトのメンフィスの別称「ハトカプタ(創造主プタ神の居住地の意)」が、
 ギリシャ語訛りとなって定着したもの。
・エチオピア連邦民主共和国(Federal Democratic Republic of Ethiopia)
 古代ギリシャ人は、サハラ以南の地域を漠然とエチオピアとよんでいたが、
 エチオピアとはギリシャ語で「日に焼けた顔」を意味する。
   
小学館編「世界の国旗前図鑑」を参考にしました。    以上(2000.11.26記)













第152話 世界の国名の由来(3)イタリア以降

ヨーロッパ
・イタリア共和国( Republic of Itary)
 古代、半島南部で牛を大量に放牧していたことから、古ラテン語で(仔牛)を意味するビトルスより。
・オーストリア(Republic of Austria)
 中世にフランク王国の東端に位置していたことから、ラテン語で「東の辺境地」を意味する。
 自国ではエステライヒとよぶ。
・オランダ王国(Kingdom of the Netherlands)
 ポルトガル語をへて日本に定着した慣用名称で、自国ではネーデルランドとよぶ。
 オランダは、北海沿岸部のホラント地方の名に由来するもので「低地」を意味する。
・ギリシャ共和国(Hellenic Republic)
 ラテン語のグラエキアからきた日本独自の慣用名。先住民グラエキ族の名に由来し、
 その意味は「灰色の者の崇拝者達」といわれる。自国ではエラスとよぶ。
・グレートブリテン・北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)
 通称イギリスは、イングランド(アングル人の国の意)がポルトガル語をへて日本に定着した慣用名称。
・スイス連邦(Swiss Confederation)
 建国3州の1つであるシュピーツ(酪農場の意)の名によるもので、スイスはそのフランス語読み。
・スウェーデン王国(Kingdom of Sweden)
 スペリは「同胞の地」を意味する北方ゲルマン民族スペリ人の名から。自国ではスペリエとよぶ。
・スペイン(Spain)
 自国でよぶエスパーニアは、フェニキュア語で「ウサギ」を意味する言葉から。
 スペインはエスパーニアの英語読み。
・デンマーク王国(Kingdom of Denmark)
 先住民のデーン(谷間の意)人の名に基づくもので、デンマークとは「デーン人の地」を意味する。
 自国ではダンマルクとよぶ。
・ドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany)
 高地ドイツ語で「民衆、同胞」のこと。英語のジャーマニは、「異邦人」を意味するゲルマン民族の名に基づく。

        小学館編「世界の国旗前図鑑」を参考にしました。    以上(2000.11.28記)













第153話 世界の国名の由来(4)ノルウエー以降

・ノルウェー王国(Kingdom of Norway)
 古ノルマン語で、「北方へ行く」の意味。自国ではノルゲとよび、ノルウェーはその英語訛り。
・ハンガリー共和国(Republic of Hungary)
 騎馬民族でこの地に同化した「フン(人間の意)人」の名に基づき、「フン人の地」を意味。
 自国ではマジャーロルサグとよぶ。
・フィンランド共和国( Republic of Finland)
 自国ではスオミ(沼沢地の意)。フィンは、古代ノルマン語をへて英語に入ったスオ ミの意訳。
・フランス共和国(French Republic)  ゲルマン民族の一支族フランク(投げ槍の意)人の名に由来。
 フランク人は、投げ槍を象徴的武器として使用していたといわれる。
・ブルガリア共和国(Republic of Bulgaria)
 トルコ系とスラブ系の混血民族であったブルガール(ボルガ川流域の人々の意)人の名にちなむ。
・ベルギー王国(Kingdom of Belgium)
 先住民であるケルト系ベルガエ(沼の森林地の意)人の名にちなんだもの。
・ポーランド共和国(Republic of Poland)
 自国ではボルスカとよび、中世高地ドイツ語の「平原の人々」を意味する言葉から。
・ポルトガル共和国(Portuguese Republic)
 かってのボルタス・ガレ(穏やかな港の意)伯爵の名が、拡大されて国名となったもの。
・ルーマニア(Romania)
 「ローマ人の国」を意味し、古代ローマ人の移住者とスラブ系民族によって建国された歴史に基づく。
・ロシア連邦(Russian Federation)
 古称ルーシに基づくもので、古ノルド語の「櫓をこぐ人」を意味するという。
北アメリカ
・アメリカ合衆国(United States of America)
 コロンブスの到達した地が未知の新大陸である、との見解を示したイタリアの航海者
 アメリゴ・ベスブッチの名にちなんだもの。
・カナダ(Canada)
 イロクォい・インディアンの言葉で、「村落」を意味する。
・キューバ共和国(Republic of Cuba)
 自国ではクーバとよび、キューバはその英語読み、先住民インディオの言葉で、「中心地」を意味する。
    小学館編「世界の国旗前図鑑」を参考にしました。    以上(2000.12.1.記)












第154話 世界の国名の由来(5)パナマ以降

・パナマ共和国(Republic of Panama)
 インディオのクナ語で、「魚の多いところ」を意味する。
・メキシコ合衆国(United Mexican States)
 アステカ帝国の守護神メヒクトリ(神に選ばれし者の意)の名から。自国ではメ ヒコとよぶ。
南アメリカ
・アルゼンチン共和国(Argentine Republic)
 銀の産出地という誤解に基づき、「銀の国」を意味するラテン語から。自国ではア ルヘンチーナとよび、アルゼンチンは日本での慣用読み。
・コロンビア共和国(Republic of Colombia)
 新大陸到達者のクリストファ・コロンブスにちなんだ国名。
・チリ共和国(Republic of Chile)
 ケチュア語の「寒さ、雪」を意味するといわれる。自国ではチレとよび、チリは その英語読み。
・ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)
 赤色染料を採取するパウ・ブラジル(熱せられた炭火の意)の樹が繁茂していた ことに由来。
・ベネズエラ共和国(Republic of Venezuela)
 スペイン人航海者が、マラカイボ湖畔の先住民の水上ハウスを水の都ベネチアに みたて、「小さなベネチア」と命名したことによる。
・ペルー共和国(Republic of Peru)
 河口に開けた先住民の集落ピルー(水または川の意)の名にちなむ。
・ボリビア共和国(Republic of Bolivia)
 ラテンアメリカ独立解放運動の指導者シモン・ボリバルの名にあやかり、独立時 に命名したもの。
オセアニア
・オーストラリア(Australia)
 古来、未知の大陸名であったテラ・アウストラリス・インコグニータ(未知の南 方の大陸)から。
・ニュジーランド(New Zealand)
 オランダのゼーランド地方の名にちなみ、「新しい海の地」の意。
感想:国名の由来をよんで、その国の生い立ちの意味を知りました。
小学館編「世界の国旗全図鑑」を参考にしました。以上 (2000.12.1記)