原子力推進ミサイル

〜 日本はどんどん取り残される 〜



ロシア北部アルハンゲリスク州にある海軍実験場でミサイル用原子力エンジン爆発事故が起きたようだ。 事故のあった近隣では一時的に放射線量が基準値を超えているので、原子力事故であることは間違いない。
おそらく、事故を起こしたのは、プーチン大統領が昨年開発を発表した最新兵器で、距離無制限とされる原子力推進型巡航ミサイルのようだ。

原子力推進型巡航ミサイルと言っても、原爆と原発の区別もつかないような頭の悪い原子力反対派には、何のこっちゃら訳が分からなくて、普通の核ミサイルと区別がつかないだろうけど、これは通常の核兵器とは全く異なる画期的な優れものだ。
何が違うかと言うと、通常の核兵器は核爆発によるエネルギーで敵に損害を与えるというものだが、原子力推進型巡航ミサイルは原子力を推進力に使って長距離と言うか無制限に近い距離を飛ぶものだ。その存在理由から言って、原子力推進型巡航ミサイルも弾頭として核兵器を搭載しているだろうから、そういう意味では核兵器なんだけど、弾頭の核兵器とは別に推進力としても原子力を使っている点が画期的であり、超すぐれものの兵器だ。

原子力の利用としては、大きく言って核兵器平和利用に分けられる。このうち、核兵器はそれほど複雑なものではない。制御が難しい点もあるが、北朝鮮やパキスタンが開発できているくらいだから、それほど難しいシステムではない。核エネルギーを一気に放出させるものであり、放射線管理なんか不要だからだ。日本ならやろうと思えば数年で簡単に作れるだろう。
それに比べて平和利用は巨大でややこしいシステムが必要となる。ジワジワと核反応を進め、放射性物質を出してはいけないだとか、色々と制約があるからだ。
平和利用の大きな柱が原子力発電だが、原子力発電と同じように原子炉を利用したシステムとして原子力船などもある。原子力船の大半は原子力潜水艦原子力空母なので、これは平和利用なのかという疑問も出てくるだろうが、そんなことはどうでもいい。要するに、核兵器としての原子力利用ではなくて、動力源としての原子力利用だという点が重要だ。
原子力船の場合は、普通の原子炉を小さくして船に乗せたものなので、技術的には原子力発電所と似たようなものだ。て言うか、歴史的に考えれば、まず軍用艦としての原子力船が開発され、その原子力船の原子炉を地上に持ってきたのが原子力発電所だ。核エネルギーを一気に放出させる核兵器と違って、原子力発電所や原子力船の原子炉は制御されていて、ものすごくゆっくりと核反応が進む。ものすごくゆっくりと進むからエネルギーをジワジワと長期間取り出すことができるのだ。

ただし、原子力推進型巡航ミサイルの場合は、ちょっと異なるようだ。どう考えても、原子炉のような複雑なシステムをミサイルに搭載するのは無理なので、違う形でエネルギーを取り出すものと思われる。原子炉を搭載できるのなら、ミサイルより前に原子力飛行機ができそうなものだが、それは不可能と思われる。なので、原子力推進型巡航ミサイルの場合は、核爆発を小規模で行っているような、少し核兵器に近いようなシステムを使っているのかもしれない。

原子力推進型巡航ミサイルの存在意義は、もちろん半永久的に飛ぶことができることだ。なぜミサイルを半永久的に飛ばさなければならないかと言うと、それが核の抑止力になるからだ。もしアメリカかロシアの一方が先制核攻撃をして相手の国を徹底的に滅ぼしたとしても、ずっと空を飛んでいた敵のミサイルが後から報復措置として落ちてきたら、自分の国も滅んでしまうから、先制核攻撃を控えるというものだ。。
これまでは核兵器を搭載した戦略爆撃機を常時飛ばすという方法で対処してきた。核の先制攻撃をして相手の国を滅ぼしても、空を飛んでいた爆撃機を撃ち落とさない限り、後から核兵器で報復される。ただし、戦略爆撃機は通常の飛行機なので燃料を定期的に補給しなければならず、制約が大きい。でも、原子力推進型巡航ミサイルなら燃料補給が不要なので、いつまでも飛んでいられるって訳だ。

原子力潜水艦の存在意義も同じで、燃料補給が不要だから、海の中に半永久的に潜んでいられるので、もしも相手が核の先制攻撃を仕掛けてきたら、海から即座に報復攻撃ができるというものだ。ただ、原子力潜水艦は人間が乗っているので、定期的な寄港は必要であり、ある程度の制約はある。
その点、原子力推進型巡航ミサイルは無人なので、一度打ち上げれば、文字通り半永久的に空を飛んでいて、捕捉されない限りいつまでも抑止力になりうる

ということで、原子力推進型巡航ミサイルは画期的で超すぐれものの兵器だ。しかし、当然ながら、技術的には簡単ではない。アメリカも当然ながら研究しているだろうけど、まだ成功したという話は聞かない。
プーチン大統領は去年3月の演説で「射程が事実上無限の原子力推進型巡航ミサイルの発射に成功した」と明らかにしたが、本当に成功しているのかどうか分からないし、今回の事故が致命的なものなのか、大したことないものなのかも分からない。

しかし、はっきり言えることが1つある。日本は全く蚊帳の外に居るってことだ。
中国による侵略攻撃の危機に常にさらされているにもかかわらず、クソ憲法に縛られて通常の軍事力もロクに持てない日本にとっては、究極の防衛力が核兵器による抑止力ではないだろうか。あくまでも防衛のためのものであり、クソ憲法にも合致している。
そして、今さら莫大な費用がかかる原子力潜水艦体制を構築するよりも、原子力推進型巡航ミサイルの開発を進めた方が早いのではないだろうか。日本は原子力に関する高い技術力を持っており、またロケット開発の力もついてきている。中国が少しでも怪しい動きを示したら、即座に原子力推進型巡航ミサイルで攻撃するという姿勢を見せることができれば、国民は安心だ

(2019.8.19)



〜おしまい〜





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