緊迫化するイラン情勢

〜 失態が続くイラン 〜



イランを取り巻く情勢が緊迫化している。
最初に断っておくが、どちらかと言うと私はイランびいきだ。紀元前のペルシャ帝国から続く長い歴史は魅力的だし、伝統的に日本とは友好関係にある。
知らない人も多いと思うが、イランは中東の大国で、人口は約8千万人、面積は日本の4倍以上もあり、世界有数の石油の産出地でもある。

このイランとアメリカが仲が悪いから、ややこしいことになる
かつてはアメリカの傀儡政権とも言えるようなイラン政府だったため、アメリカとの関係は非常に緊密だったが、イスラム革命が起きて、一気に反米となった
また、同じ中東のイスラム国家でありながら、イランはシーア派の中心的存在なので、スンニ派の中心であるサウジアラビアとの関係も悪く、シリアやイエメンの内戦では異なる勢力を支援して代理戦争を行っている。イスラム教徒って、他の宗教に対しても悪いことばかりしているが、内部対立もひどいものだ。その流れで、シリアでは、非スンニ派のアサド政権を支持し、影響力を高めている

そしてイラクでは、かつてはスンニ派のサダムフセイン政権がイランに戦争を仕掛けたりして仲が悪かったが、フセイン政権がアメリカによって滅ぼされた後はイランが影響力を増し、今ではイラクはアメリカとイランと言う敵対する両国の影響下にあるという複雑な事態となっている。

ただ、イランはちょっと調子に乗りすぎたようだ
イランの影響下にあるイラクのシーア派民兵が、バクダッドのアメリカ大使館を襲撃したのだ。これにより、トランプ大統領は報復措置として、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した

もともとアホで間抜けなトランプ大統領は、頭が悪いから国際情勢におけるアメリカの立場を理解できてなく、長期的なアメリカの利益なんて考えもせず、その場限りの場当たり的で短絡的な行動を繰り返してきており、イラクを含む中東からの米軍の撤退を考えていた
アメリカもかつては中東地域から大量の石油を買っていたため、中東は最重要地域と見なしていたが、今や石油や天然ガスは自国で大量に産出するようになったため、相変わらず中東にエネルギーを頼りっきりの日本と違い、アメリカにとって中東地域の重要度は格段に落ちている。なので、アメリカが中東から引き上げて、中東が混乱状況に陥っても、トランプ大統領は平気だ。
(このような情勢なんだから、相変わらず中東にエネルギーを頼りっきりの日本としては、少しは軍を派遣するべきなのに、頭の悪い民主党やマスコミは、軍の派遣に反対している)

ところがイランがバクダッドのアメリカ大使館を襲撃したもんだから、さすがにトランプ大統領も何もしない訳にはいかなくなった。別にトランプ大統領は戦争がしたい訳ではないんだけど、イランに襲撃されたのに何も報復しないと、弱腰な奴との批判を浴びて、来る大統領選挙に悪影響が出るかもしれないから、仕方なく報復したに過ぎない。

これに対して、イランも似たような状況だ。いくらイランが中東の大国だからと言っても、まともにアメリカと戦争したら100%負ける。本気でやればやるほど、一気に壊滅する。隣国のイラクでフセイン政権があっという間に滅ぼされたのを目の当たりにしているんだから、まともにアメリカと戦争しようなんて発想は出てこないだろう。
同じ反米ということで何かにつけてイランの肩を持つロシアや中国だって、本気になって一緒に戦争はしてくれない。一部の頭の悪いバカどもが「第三次大戦」なんて言葉を乱用しているが、仮にアメリカとイランが戦争したって、世界大戦になる可能性はゼロだ。
しかし、イラン政府としても、反米で沸騰している国内世論を静めるためには、何らかの報復はしないといけない。て事で、仕方なく報復したのが、イラク内にあるアメリカ空軍基地へのミサイル攻撃だ。
イランは、この攻撃により「アメリカ軍人が80人死亡」なんてホラを吹いているが、もちろんこれは完全な嘘で、実際にはアメリカ側に死傷者はいない。イラク政府には事前に攻撃を通知しているから、その情報はアメリカにも筒抜けのはずだ。わざと人のいない施設を狙って攻撃したものであり、完全に形式的な攻撃だ。
しかも、イランの外相は「イランは戦争を求めていない」なんて公言している。

これに対して、やはり本音では戦争したくないトランプ大統領も「米国人に死傷者はおらず、被害も最小限だった。軍事力は行使したくない」なんて言って、報復への報復はしなかった。お互いに折り合いをつけ、ホッとしたことだろう。

て事で、一応は落ち着いたように見えたイラン情勢なんだけど、ところが、想定外のトンでもない事態が起きたウクライナ国際航空機の墜落だ。
今のところ、明らかになっている映像や様々な状況証拠から、これは機体の不具合や操縦ミスでは無くて、何かに撃墜されたのは確実だ
機体の不具合や操縦ミスなら、飛行機が突然、爆発したりはしない。せいぜい燃えながら落ちていくくらいだろう。しかし今回の墜落は、映像を見ると、突然爆発して破片が粉々に散らばっているのだ。誰がどう考えても撃墜だろう。おそらくミサイルによる撃墜だろう。
これがアメリカによる撃墜なら、新たな展開になるが、場所を考えると、イランによる撃墜だろう。イランがウクライナ航空機を撃墜する同機は無いから、おそらくは誤射だろう。でもイランによる撃墜は間違いない。

これに関し、イラン当局は「ミサイルによる撃墜説」を真っ向から否定し、機体の不具合が原因だと強弁しているが、これだけ状況証拠が出ている中で、いつまで持ちこたえられるだろうか。
ただでさえ、国際的な非難を無視して核開発に邁進するイランにとって、国際的孤立を一段と深めかねない状況だ。

(2020.1.10)



〜おしまい〜





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