緊迫化するイラン情勢(その2)

〜 あっさり認めちゃった 〜



アメリカとの緊張が続くイランで起きたウクライナ旅客機の墜落をめぐり、イラン軍は「ミスにより誤射してしまった」と認めた

明らかになった映像や様々な状況証拠から、機体の不具合や操縦ミスではなくて、ミサイルのようなものに撃墜されたのは確実なのに、これまでイランは「技術的なトラブルが原因だ」として撃墜を全面否定していた。アメリカとの緊張が高まる中で、海外の調査団の受け入れも見通せない中、真相の究明には時間がかかりそうだった。
ところが、意外にあっさりとミスによる撃墜を認めたのだ。

そもそも、誰がどう考えても撃墜としか思えない墜落だった。機体の不具合や操縦ミスなら、飛行機が突然、爆発したりはしない。せいぜい燃えながら落ちていくくらいだろう。しかし今回の墜落は、映像を見ると、突然爆発して破片が粉々に散らばっているのだ。どう考えても、ミサイルによる撃墜だ。
現場を目撃したイラン人の証言でも「アメリカの飛行機をイランがミサイルで撃墜したのだろうと思った」とか「アメリカのミサイルにより撃墜されたものと思った」とか、みんながみんなミサイルによる撃墜だと分かっていた。それほど明らかな撃墜だったのだ。
それなのにイラン政府は機体の不具合か操縦ミスによるものだと強弁していたが、これだけ状況証拠が出ていれば、バレるのは時間の問題だって思ったのだろう。

それにしても早かった。のらりくらりと、もっと時間を引き延ばし、ほとぼりが冷めた頃にウヤムヤに誤魔化すのかと思っていたが、犠牲者の大半がイラン人とあっては、ウヤムヤには済まないと思ったのだろうか
イラン軍は「人的ミスであり、故意ではない」と強調しているが、そらそうだろう。イランにとってウクライナ航空機を撃墜する動機は無いし、犠牲になった乗客の大半はイラン人だ。

今回の誤射は、アメリカがイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことに対する報復として、イラク内にあるアメリカ空軍基地へミサイル攻撃した数時間後に起きたものだ。なので、イラン軍はアメリカによる報復の報復に対する厳戒態勢を敷いていた。ちょっと過敏になっていたのだろう。
また、撃墜に用いられた防空システムはロシアから購入したもので、素晴らしい命中性能を実証したが、発射後は進路を変えることができない古いシステムだったので、取り返しがつかなかったのかもしれない。

イランがあっさりと非を認めたので、これ以上、事態が悪化することは避けられたが、マスコミの論調で気になった事がある。
相も変わらず世界中のマスコミはトランプ大統領に批判的な論調を繰り返しているが、今回のイラン軍による誤射に対しても、「トランプ大統領がイランの司令官を殺害したことに起因する緊張状態の中で勃発したものであり、そもそもの原因と責任はトランプ大統領にある」などとトランプ大統領を非難している
アホで間抜けなトランプ大統領を批判した気持ちは分かるが、あまりにもお門違いな批判である。批判すべきはあくまでも誤射したイラン軍だ

(2020.1.11)



〜おしまい〜





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