来県を拒絶する知事

〜 短絡的で独善的な対応 〜



全国知事会が「新型コロナウイルス感染症対策に係る緊急提言」なんてものをとりまとめ、政府に提出した。その内容は、ゴールデンウィーク期間中、都道府県境を越えた人の移動の最小化を推進するため、「国が管理する国道などの道路の規制や駐車場の利用禁止」を求めるものだ。

(幹事長)「知事って、頭悪いの?」
(石材店)「ノーコメント」


国道を封鎖せよという知事の妄想には、致命的な欠陥が2つある
まず1つ目は、国道を封鎖するなんて事は制度的にも物理的にも不可能だと言うことだ。日本の法制度として、中国の都市封鎖(ロックダウン)のように、コロナウイルス対策で国道を封鎖するなんて事はできない
そもそも県の封鎖なんて物理的に不可能だ。本当にやるのなら、全ての国道の県境にバリケードを築いて通行止めにするしかないが、国道を封鎖したって、県道や市町村道へ迂回されたら、全く意味が無い。国道しか通ってないような地域は、山の中など、そもそも交通量が少ないところだ。交通量が多い地域は、国道を封鎖したって、他にいくらでも迂回路はある。
それよりもっと大きな2つ目の問題は、国道を封鎖して物流が途絶えると、県民は即死するって事だ。今、あらゆる物が県境をまたいで運ばれている。国道を封鎖したら、物流が止まってしまい、明日にでも死者が山積みになるだろう。

こういう小学生でも分かる簡単な事が、なぜ知事には分からないんだろう。

(幹事長)「やっぱり知事の脳みそって、小学生以下じゃないの?」
(石材店)「だからノーコメント」


もちろん、政府はそこまで頭は悪くないから、菅官房長官が「道路は物流などに重要な機能を果たしていることに配慮する必要がある」として否定的な考えを示している。当たり前だ。当たり前すぎる。

来県して欲しくないっていう声は、特に首都圏周辺の知事から上がっている。
山梨県知事は、富士北麓地域に来訪しないよう要請し、富士スバルラインを通行止めにするらしい。東京の隣県なので、その気持ちは分からなくはないし、「断腸の思い、苦渋の極みだが、一日も早く終息させることが当地や観光客にとっても重要だ」と述べているので、なんとなく同情はしたくなる。
千葉県知事も、「千葉は観光に力を入れているので、普段は『千葉県に来てください』と言っており、本来ならば、この時期は書き入れ時だが、ここは歯を食いしばって、外出を控えていただきたい」と低姿勢だ。
なので、一概に全ての知事が悪いとは思わない。

しかし、高速道路のパーキングエリアや主要国道などの県境で来県者の検温を行い、追い返すなんていうトンでもない事をやらかす県もあるようだ。なんと、この知事は「取材されて顔をさらされることはごめんだと思ってもらいたい。我が県に来たことを後悔するようになればいい」なんて暴言を吐いているのだ。ここまでの暴言を吐いた知事は他にはいない。
つい、こないだまで「我が県に観光に来てください」なんて笑顔を振りまいていたのが、手のひらを返したように「来たことを後悔しろ」なんてトンでもない暴言を吐くなんて、呆れてものが言えない。もちろん、このような検温は強制的に実施できるものではないから、何の実効性も無い。

そもそも一律に「都道府県をまたいだ不要不急の移動を自粛しろ」ということ自体が非科学的だ。
なぜ都道府県内の異動は良いのに、都道府県をまたぐのは良くないのか?意味があるとすれば、それはコロナウイルスが既に蔓延している大都市圏から、まだ蔓延の度合いが低い地方への移動を制限する事によって、地方での蔓延を食い止めるって事だ。しかし、地域全体として、どの県もまだまだ発症者が少ない地方において、県境をまたいだ移動を自粛する事に何の意味もない。県内移動と県外移動の差は全く無い。
それなのに、県内の商業者やパチンコ店に対して「客が来た際に県外客でないことを確認し、県外客の入場はお断りするなどの対応を行ってもらう」なんと言うトンでもない要請をする県もある。パチンコ店に対して休業要請するのではなく、県内客だけを入場させろと言うのだ
さらに、県内で県外ナンバー車の実態調査を行うらしい。もちろん、これがどれほどの効果があるのか極めて疑問だが、直接的な効果以外の、トンでもない事態が発生している。何かと言えば、こうした県知事の発言に触発されて、住民から県外ナンバーの車に対して「暴言やあおり運転、投石、傷つける」といった犯罪行為が発生しているのだ。このような状況の中で、自己防衛するため、「県内在住者です」と明記したステッカーを車に貼る人も出てきた。
もちろん、このような言語道断の嫌がらせを行う地元民が悪いのだが、それをそそのかしたのは県知事だ。

また、まだ感染者が一人も明らかになっていない岩手では、千葉から岩手に帰省していた妊婦が破水して緊急搬送されたものの、2つの病院に受け入れを断られるなんていうトンでもない事態が起きている。
彼女は、何も里帰り出産をしようとして岩手に帰省していたのではない。たまたま帰省中に破水してしまったものだ。それなのに受け入れを拒むなんて言語道断だ。
岩手県は、いまだにコロナウイルス感染者がゼロだと言い張っている素晴らしい県だ。
今はまだ、感染の初期段階においては何の薬も治療方法も無いのだから、むやみに検査して感染している事が分かっても、隔離されて村八分にされるだけなので、検査する事に何の意味も無い。ほとんどの人は感染しても発症しないし、発症しても軽症で済むのだから、ちょっと熱が出て具合が悪い程度なら、誰にも言わずに家で大人しくしてるに限る。なので、むやみに検査をしない岩手県の対応は素晴らしいものだ。
それだけに、今回の妊婦たらい回し事件には憤りを覚える。

また、一部の海岸ではサーフィンする人で賑わっているが、これを知事たちは批判している。でも、サーフィンでコロナウイルスが感染する確率はゼロだ。はっきり言って、100%ゼロだ。私はサーフィンはしないので、全くどうでもいいんだけど、あまりにも非科学的でヒステリックな発言が多いので、非常に苦々しく思っている。何度でも言うが、サーフィンでコロナウイルスに感染する可能性はゼロだ。
知事がサーファーを批判すると、またまた地元民がサーファーに石を投げたりするので、こういう無責任で不用意な発言はするなと言いたい。

(2020.4.24)



〜おしまい〜





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