チェコ上院議長の台湾訪問

〜 中国の幼稚さにゲンナリ 〜



チェコのビストルチル上院議長台湾訪問したことに対して、中国が強く反発している
チェコで上院議長は大統領に次ぐ地位にあり、このような高官の台湾訪問は初めてだ。
チェコは台湾と国交はないが、上院議長は経済人、研究者、メディア関係者らで構成された代表団89人を率いており、今回の公式訪問を通じて関係強化を図るつもりだ。

ビストルチル上院議長は台湾の国会で演説して「私は台湾人です」なーんて言った。
これはアメリカのケネディ大統領が冷戦下の西ベルリンを訪れて「私はベルリン市民だ」なーんて言ったのを真似したものであり、ちょっと恥ずかしいが、中国から圧力を受ける台湾への連帯を表明したものだ。台湾で、外交関係のない国の国会議長が演説するのは初めてとのことだ。
またビストルチル上院議長は蔡総統とも会談したが、これも異例だ。

(ピッグ)「久しぶりの書き込みですねえ」
(幹事長)「手術して入院してたからなあ」
(ピッグ)「でも退院してから1週間も経ってますよ」
(幹事長)「体がなまって、心もなまって」


ようやくランニングも復活させたので、この書き込みも復活しました。

それはさておき、なぜ今、チェコの高官が台湾を訪問したのかと言うと、色々と事情があるようだ。
まず、チェコ国内で中国に反発する世論が広がっている事が背景にある。
もともとチェコは、1989年にチェコスロバキア共産政権を非暴力で倒したビロード革命の立役者であるハベル初代大統領が、中国の圧力を受ける台湾の国際社会への復帰を願い、国連加盟の働きかけを行うなど、台湾との関係は深かった
一方で、悪の帝国である中国は、世界征服を目指して巨大経済圏構想「一帯一路」を打ち出し、まずは中東欧諸国を取り込んで、それをテコにヨーロッパとの関係強化を図る戦略を描いてきた
その中で、近視眼的なチェコのゼマン大統領は甘い飴につられて中国と密接に結びつき、訪中を重ねて経済協力の旗を振ってきた。
ところが現実には、中国からの投資事業は予定通り進んでいない。中国は嘘つきなので、アフリカなんかでもこういう事は日常茶飯事であり、各国でもめ事が頻発してるんだけど、チェコ国内には中国への失望が拡大している

そして中国への反発を高めたのは、中国の高圧的な態度だ。
今回の台湾訪問は、もともと1月に病死したクベラ前上院議長が計画していたものだ。
それを知った中国側は、チェコの大統領府に書簡を送り、「中国は複数のチェコの大企業にとっての国外最大の市場だ。台湾訪問は誰のためにもならない」なーんて言って、暗にチェコ企業の中国からの排除を示唆して脅した
こういう高圧的な中国の態度が強い反発を招き、後任のビストルチル上院議長は「チェコが自由で独立した民主主義国家だということを示す」として、中国への対抗姿勢をあらわにした。
そしてチェコ上院は、上院議長の台湾訪問への支持を圧倒的多数で決め、いったん中止となっていた台湾訪問が実現したわけだ。

今でも中国と仲が良い大統領や政府は、中国との協調路線に背く上院議長の台湾訪問とは距離を置いているが、世論が中国へ反発している中で、止めることはできなかった
このような動きは、プラハ市が北京市や上海市との友好関係を犠牲にして台北市と友好関係を結ぶなど、広がりを見せている。
て言うか、そもそも愚かなゼマン大統領とビストルチル上院議長は国内政治的には対立しており、台湾を取るか中国を取るかというのは、両勢力の争いという側面もある

さらに、チェコと中国の関係だけでなく、アメリカも絡んでくるからややこしい
アメリカは中国との対決姿勢を鮮明にしており、今回の上院議長の台湾訪問を歓迎している
今回の上院議長の台湾訪問の直前に東欧を歴訪していたアメリカのポンペオ米国務長官は、チェコ上院で演説して中国を非難し、チェコ代表団の訪台を強く支持した。
またアメリカのアザー厚生長官も、米国の閣僚として6年ぶりに台湾を訪問したばかりだ。1979年にアメリカが中国と国交を樹立して台湾と断交した後、台湾を訪問したアメリカの高官の中でアザー長官は最高位だった。
そのわずか2週間後にチェコの上院議長が台湾を訪問したわけだから、国際社会での台湾の孤立をもくろむ中国にとっては許し難い行動だろう。

なので、当然ながら中国は、今回の台湾訪問に対して強く反発してる
中国は中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を主張しており、今回の訪問はこの主張に反する「卑劣な行為」であり、「一線を越えた」として激しく非難した。
そして「上院議長は高い代償を払うことになる」なーんて恫喝し、報復の可能性をにおわせている。

もちろん、中国としては許せないのだろうけど、あまりにも子供じみたヒステリー反応だ。
中国の国家主権に対する深刻な侵害だ」とか「中国の内政問題への重大な介入だ」とか言葉汚く罵っているが、そこまで大袈裟な事ではないだろう。
さらには「1つの中国原則に盾突くということは、14億人の中国人を敵に回すことで、国際的な背信行為だ」とまで言った。
あまりにも幼稚な反応だ。中国は未成熟なガキ大将なので仕方ないんだけど、本当に我が儘で自分勝手な乱暴者だ。

このような幼稚な反応は、さらに反発を招いており、チェコの兄弟国であるスロバキアの大統領は「中国の威嚇は受け入れられない」と非難している。
またドイツ連邦議会の外交委員長は「チェコが中国の報復を受けないよう立場を一致させるべきだ」とEUに呼び掛けたほか、外務大臣も中国を非難し、チェコを支持する立場を表明した。
チェコは、はっきり言って力の弱い小国だけど、EUという強力なグループの一員なので、EUが結束すれば中国の邪悪な力に対抗できるだろう

このように中国が喚けば喚くほど、ますます中国への反発が高まり、国際社会から孤立していくから、好ましいことではある。
ただ、みんなから反発された中国とロシアが手を組んで、我々民主主義諸国と対立する冷戦時代へ逆戻りするってのも、どうかと思うのよねえ。

(2020.9.8)



〜おしまい〜





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