高齢者の医療費自己負担の引き上げ

〜 強欲な医者を許すな 〜



75歳以上の高齢者医療費の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる方針について、与党の自民党と公明党の協議がようやく決着した。
対象は年収200万円以上の人で、引き上げの時期は2年後の2022年度後半となった。

75歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度は、財源の4割が会社員らが加入する健康保険組合からの支援金で賄われている
高齢者が少なくて現役世代が多かった時代には、それでなんとかやっていけたが、高齢化が進んで高齢者の医療費が増加しているため、健康保険組合の財政が圧迫され、現役世代の負担軽減を求める声が上がっている。

そのため、政府は、世代間の公平性を図りながら制度を維持していくため、団塊の世代が75歳になり始める2022年度までに所得に応じて負担を求める方針を示していた。
とは言っても、若い人と同じように3割負担を求めるのではなく、ある程度の所得がある人を対象に2割負担を求めるというものだ。
その対象をどうするか、つまり2割負担を求める所得水準をどうするかで揉めていた。
菅首相は、若い世代の将来の負担軽減を図りたいとして年収170万円以上を対象にしたかったようだ。これは所得税の課税対象となる水準にあたり、75歳以上の31%の人が対象となる。
一方、対象を広げると国民から嫌われて選挙に悪影響が出る事を心配する公明党は、年収240万円以上を対象にするよう提案していた。これでは対象は全体の13%に過ぎない。
結局、その中間の年収200万円以上の人を対象にすることになった。平均的な年金額を上回る水準とのことで、370万人が対象となる。

基本的には、高齢者の医療費の自己負担増は必要不可欠な政策だ。
少子高齢化が急速に進んでいるのだから、このままでは健康保険制度は破綻する。破綻すると国民みんなが困るんだから、なんとかしないといけない。
現行のように高齢者の医療費を若い人たちに全て押し付けるのは不可能になっている。

そういう観点からすると、今回の負担増は、いかにも不十分だ。年収が200万円を超えるかどうかで1割負担と2割負担に分かれるなんて、一気に2倍になるのだから、不公平の極みだ。
そもそも70歳未満の人は3割負担なのに、75歳になると1割とか2割になること自体が不公平だ。若者でも低所得者はいるのに高齢者だけ優遇されているのは不公平だ。

以前から指摘されているように、そもそも高齢者は病院に行き過ぎだ。かつては高齢者は無料だったから、病院は完全に老人サロンと化していた
それが少しは自己負担しないといけなくなったから、少しは利用が抑制されたかもしれないが、1割負担だとたかがしれている。それくらいだと、それほどの負担感は無いので、相変わらず病院に行くと高齢者で溢れている

今回の負担増により、現役世代の負担軽減は年間880億円と見込まれている。この額自体は、微々たるものだ。
しかし、効果はそれだけではない。1割負担が2倍の2割負担になることにより、高齢者の不必要な病院通いが抑制されることが期待される

ただし、急激な負担の増加を抑えるため、3年間は激変緩和措置として1ヵ月当たりの自己負担額増加を3000円までに抑えるらしい。たった3000円の負担増では、どれだけ節約効果があるのか疑問だ。
なので、基本的には私は年齢の区別は無くして、即刻、国民全員が3割負担にすればいいと思う。それくらいしないと健康保険制度は維持できないだろう。

(石材店)「自分も高齢者になりそうな歳の割には高齢者に冷たいですね」
(幹事長)「わしは個人的な損得よりも国家の将来を心配しているのだよ」
(石材店)「自分だけはいつまでも元気だろうと思ってるわけですね」


自己負担の引上げ時期は、選挙への悪影響を懸念した公明党が求めた「2022年夏の参議院選挙後」という要求に応じたものだ。
政治家は国家の将来なんてどうでもよくて、自分の選挙の事しか考えないから、こういう事になる。それでも、少しは自己負担を増やした菅首相の意気込みは評価したい。

一方、許せないのは医者の横暴だ。
医者が自分勝手で自己中心的であり、自分たちの事しか考えていないってのは、コロナウィルス対策に関しても声を大にして批判してきたが、医療費抑制に関しては、本当に腹が立って仕方ない。

今回の自己負担増について、日本医師会は猛反対だ。高齢者の自己負担が減ろうが増えようが医者に入ってくる収入は変わらないが、自己負担増によって高齢者が不必要な医者通いを止めると収入が減るからだ。
高齢者は医療費が安いから、不必要に病院に行ってハシゴする。ここが痛い、あそこが痛い、とか言って、なんでもかんでもやたら病院に行きまくる。医者にとって高齢者は金のなるカモだ
なので、高齢者の自己負担が増えて不必要な病院通いが抑制されると、金もうけに悪影響が出るのだ。

ただでさえ暴利を貪っている医者の欲望にキリは無く、既得権益を守るのに必死になっているが、「医者栄えて国滅ぶ」なんて事態は、なんとしても避けなければならない。

(2020.12.16)



〜おしまい〜





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