全国知事会の提案

新型コロナウイルスの感染が拡大していることに対して、全国知事会がまたまたトンでもない事を言い出した。
全国知事会は去年の第１波の時にも「都道府県境を越えた人の移動の最小化を推進するため、国が管理する国道などの道路の規制や駐車場の利用禁止を求める」という、子供が考えても実現不可能なトンでもないアホな提案をした。
そして今回はロックダウン（都市封鎖）を検討しろなんて暴言を吐いている。

全国知事会の連中は頭の悪い奴が揃っているので、ロックダウンの意味が分かっているのかどうか怪しいが、ロックダウンとは文字通り都市封鎖だ。つまり、特定の都市・地域への人の出入りを禁止するものだ。

諸外国では新型コロナウイルスへの対応としてロックダウンが行われるのは珍しくはない。
新型コロナウイルスを研究所から流出させて世界的感染の発生源となった中国の武漢市では、中国共産党の独裁政権が強圧的にロックダウンを行い、他の都市との往来が完全に遮断された。
独裁政権の中国と違い、ヨーロッパ各国では、そこまで強圧的な対応は取れなかったが、それでもロックダウンは各地で行われた。
多くの場合、単に他の都市との交通や交流を制限するだけでなく、外出禁止令などにより住民の行動も厳しく制限された。
民主国家の英国やフランスでも、生活必需品の買い出しなどを除いて外出が禁じられ、違反者には罰金が科せられた。

頭の悪い全国知事会の連中は、本当にそういう強権的な政策をやれ言ってるのだろうか？そういう強権的な政策が日本で可能だと思ってるのだろうか？
それとも、何も考えずにバカみたいに「日本でもロックダウンをやろう！」なんて意味も分からず盛り上がっているのだろうか？
でも、ロックフェスティバルじゃあるまいし、日本でロックダウンなんてやれる訳がない。そんな事、小学生が考えてもすぐ分かる。

もちろん、政府は「海外で行われている罰則を伴う強制的な措置は日本ではできないことになっている。個人に対する強制力のある措置は大きな私権制限になる。罰則の実効性確保などさまざまな課題もある」と即座に否定している。
当たり前だ。当たり前すぎる。

しかし、そういう「私権制限の問題」以前に大きな問題がある。
全国知事会のおバカな連中は、具体的に、どういうエリアをロックダウンしろと言ってるのだろうか？
例えば、都市封鎖なんて簡単に言うけど、日本の行政単位で考えると、都市の単位で封鎖は難しい。
広島市のように山に囲まれた都市なら、なんとか可能かもしれないが、多くの都市では周辺地域との境界に山や川があるわけでもないので、ベルリンの壁を築かない限り封鎖なんてできない。
なので、現実的には都市圏単位の封鎖になるだろう。例えば県単位の封鎖だ。これなら地域によっては比較的容易に封鎖ができそうだ。
四国の各県なんかは、他県と行き来できる場所が限られているので、なんとかなりそうだ。
あるいは四国全体を封鎖してもいい。これなら３本の橋と飛行場や港を封鎖すれば割と簡単にできる。

しかーし、四国を封鎖する必要はない。て言うか、意味が無い。なぜなら四国では感染が広がっていないからだ。
封鎖する意味のある都市は、もちろん東京や大阪だ。
東京の場合を考えてみよう。東京は多摩川や荒川で囲まれているから、そこを境界として封鎖できるかもしれない。ただ、西の方は境界があいまいで、どこで線を引くか難しいところだ。
しかし、それ以前に、東京と神奈川や埼玉を隔離することに意味は無い。東京で働く人の多くは神奈川県や埼玉県や千葉県から通勤しており、経済も何もかもが一体となった地域だ。
なので、もし都市封鎖するのであれば、東京と神奈川と埼玉と千葉辺りを全て含めた首都圏として封鎖しなければ機能しない。
しかし、それって意味あるのか？

そんな広い地域を封鎖するって、もう封鎖になってないがな。
日本全体を封鎖するのと変わらんがな。
日本全体は、他の国も似たような状況だが、国単位でほぼ封鎖状態やがな。

もしどこか小さな都市だけでウイルスが蔓延しているのなら、その都市だけを封鎖するのは意味があるだろうけど、今の状況で首都圏全域を封鎖するのに、一体、どんな意味があると言うのだろう。
或いは、京阪神都市圏全体を封鎖するのに、一体、どういう意味があるというのだろう。
弊害だけあって、何の意味も無いだろう。

全国知事会の頭の悪い連中は、こんな事も分からないのだろうか。たぶん、分からないのだろう。
なぜなら、去年の第１波でも、似たようなバカな提案をしていたからだ。あの時は「国道を封鎖せよ」なんていう妄想を掲げていた。
もちろん、都市封鎖と同様に、国道の封鎖にも子供でも分かる致命的な欠陥がある。
まず、国道を封鎖するなんて事は制度的にも物理的にも不可能だと言うことだ。日本の法制度として、中国の都市封鎖（ロックダウン）のように、コロナウイルス対策で国道を封鎖するなんて事はできない。
そもそも県の封鎖なんて物理的に不可能だ。本当にやるのなら、全ての国道の県境にバリケードを築いて通行止めにするしかないが、国道を封鎖したって、県道や市町村道へ迂回されたら、全く意味が無い。国道しか通ってないような地域は、山の中など、そもそも交通量が少ないところだ。交通量が多い地域は、国道を封鎖したって、他にいくらでも迂回路はある。
そして、もっと大きな２つ目の問題は、国道を封鎖して物流が途絶えると、県民は即死するって事だ。今、あらゆる物が県境をまたいで運ばれている。国道を封鎖したら、物流が止まってしまい、明日にでも死者が山積みになるだろう。

こういう小学生でも分かる簡単な事が、なぜ知事には分からないんだろう。よっぽど頭が悪いのだろう。
あるいは、県知事たちは自分の選挙の事しか考えてないから、選挙民にアピールする事に躍起なのだろう。頭の悪いスタンドプレーのオンパレードだ。
もちろん、政府はそこまで頭は悪くないから、去年も即座に否定していた。当たり前だ。当たり前すぎる。

そもそも「都道府県をまたいだ不要不急の移動を自粛しろ」ということ自体が非科学的だ。
なぜ都道府県内の移動は良いのに、都道府県をまたぐのは良くないのか？
意味があるとすれば、それはコロナウイルスが既に蔓延している大都市圏から、まだ蔓延の度合いが低い地方への移動を制限する事によって、地方での蔓延を食い止めるって事だ。
しかし、感染者が多くない地域同士の往来を規制するなんて、本当に何の意味も無い。

それに、そもそも、今時、県って何よ？
昔の藩じゃあるまいし、県どうしで内向きになる必要は無い。日本のような中央集権国家において、県なんて単なる行政の単位に過ぎない。
こんな頭の悪い知事が大勢いるんだったら、県なんて廃止して、都市単位の行政にした方が、よっぽどマシだ。県の存在意義は下がる一方だ。

（２０２１．８．４）

〜おしまい〜

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