遺体なき殺人事件

〜 目指せ!完全犯罪 〜



埼玉県川口市のバーで2016年3月に、娘の元交際相手であるバー従業員に暴行を加えて殺害したとして殺人罪に問われた元暴力団組員の男に対して、さいたま地裁は懲役20年の判決を言い渡した
この事件は極めて興味深く、参考になる。

(ピッグ)「なんの参考になるんですか!?」
(幹事長)「読めば分かる」


この元暴力団組員は、仲間とともに、被害者が働く西川口のバーで被害者に暴行を加えて殺害した
被害者の従業員は元暴力団組員の娘とかつて交際していたが、別れていた。ところが、別れた後も娘名義の携帯電話を使い続けていた事に元暴力団組員が腹を立て、犯行に及んだらしい。
まずはトイレに従業員を連れ込み、顔を殴るなどした後、下半身をライターであぶったり、髪にアルコールをかけてライターで火をつけるなどした。
そして、全裸のままトイレの便器にロープで縛り付け、睡眠薬を飲ませた。
その後、長時間にわたる暴行の被害を警察に申告される恐れがあると考え、口封じのために殺害したらしい。

ま、ここまでは普通の殺人だけど、その後が興味深い。

(ピッグ)「普通の殺人じゃないでしょ!て言うか、普通の殺人って何なんですかっ!?」

興味深いのは被害者の遺体が見つかっていないことだ。

元暴力団組員は、他の仲間とともに従業員の遺体を運び出し、自分が経営する冷凍マグロ卸売会社が使用する超低温冷凍庫に運んだ
そこで凍らされた遺体を、マグロ用の切断機を使ってバラバラに解体し、魚のアラとともに焼却施設で処分したのだ。
警察は捜査を尽くしたが、遺体の一部も見つからなかったらしい。
完全犯罪だ。完璧な完全犯罪だ。

(幹事長)「どや?参考になるやろ」
(ピッグ)「な、な、な、何の参考ですか?」
(幹事長)「遺体なき殺人や」


誰しも人を殺したくなった事はあるだろう。

(ピッグ)「そなな事ありませんよ!」
(幹事長)「ほほう、随分のんきでお気楽な人生を歩んできたようじゃの」
(ピッグ)「普通ないでしょ?」
(幹事長)「奥さんに聞いてごらん。毎日、殺意を抱いてるかもしれんぞ」
(ピッグ)「ギョギョギョッ!」


もちろん、私にもこの世から抹殺したい人間の一人や二人はいる。当たり前だ。
ただ、捕まりたくないから踏みとどまっているだけだ。
だが、完全に遺体を消去できれば捕まらないのではないかと前々から考えていた。

具体的には、遺体を風呂場で解体する。血が飛び出しても洗い流せるからだ。
その後は細かく解体していく。かなり大変だろうけど、人を殺したんだから、それくらい苦労するのは仕方ない。
細かく細かく解体した後は、本当は焼却したところだが、今のご時世では焚火もなかなかできないので焼却処分は難しい。なので、肉は少しずつゴミ出しするのが現実的だ。
骨もできるだけ細かく砕いてゴミ出ししたいところだが、大きな骨を細かくするのは本当に大変そうだ。
なので、もっとスマートというか簡単な方法は無いかなあと常々思っていた。マグロの切断機と焼却施設を使うってのは、なかなかナイスなアイデアだと思う。

(幹事長)「ナイスやと思わない?」
(ピッグ)「あわわわわ!」


殺人事件にとって、遺体は最も重要な証拠とされる。なので、遺体なき殺人は立件が難しくなる。
とは言え、これまでも遺体なき殺人事件で立件ににこぎ着けたケースは少なくない。
今回も、さいたま地裁は「現場にいた目撃者の証言は暴行の詳細、殺害に至るまでの経緯など具体的で一致していて、被告の殺害行為の実行が認められる」と判断し、殺人罪の成立を認めた。
そりゃ、目撃者がいたらいかんわな。ただ、昨今は至る所に監視カメラが設置されており、完全に目撃者がいない状況を作るのも容易ではない。

(幹事長)「完全犯罪は難しいな」
(ピッグ)「良かったですね」


(2023.1.23)



〜おしまい〜





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