閉鎖的な共産党

〜 中国共産党を彷彿とさせる恐怖体制 〜



今、共産党批判が殺到している
元幹部で現役の共産党員が党首公選制の導入を求めた事に対し、除名処分にしたからだ。まことに憂うべき事態だ。

除名されたのは現役の共産党員でジャーナリストの松竹伸幸氏だ。
彼は一橋大学在学中の1974年に日本共産党に入党し、卒業後は党の専従職員となり、国会議員秘書や党本部の政策委員会の安保外交部長などを務めた元幹部だ。
それが、2005年に共産党の機関紙に寄稿した論文が志位委員長の批判を受け、自己批判させられ、翌2006年に党本部を退職した。
それでも松竹氏は共産党員であることは辞めず、党費も払い続けてきたし、所属する支部の会合にも出席を続けてきた熱心な党員だ。
その彼が年明けに刊行した「シン・日本共産党宣言」において党員の直接投票による党首公選制の導入を求め、党首選が実施されれば自ら立候補する考えも明らかにした事が問題視された。
松竹氏は記者会見を行い、22年以上も委員長を続ける志位氏の独裁体制について「国民の常識からかけ離れている」と指摘している。

この松竹氏の主張に対し、共産党は除名処分と言う最も重い処分で対応した。
ただ、その理由としては、異論をもっているから排除したわけではなく、規約と綱領からの逸脱が問題だとしている。
異論を党規約に基づく正式ルートで表明することを一切やらないまま突然、外部から党の規約や綱領の根本的立場を攻撃した事が許されないと言うのだ。
党内で意見を述べることを一切せず、外からいきなり攻撃することは、党の規約を踏み破るものと言うのだ。

また共産党は民主集中制を組織の原則としており、党首公選は、民主集中制を否定するものであるから、共産党では受け入れらないと言う。
具体的には、数年ごとに開催する党大会で選出された約200人の中央委員が委員長を選ぶというルールになっている。
そして、上級機関の決定が全てであり、一般党員は絶対服従を強いられる
要するに悪の帝国である中国の中国共産党や、その子分である北朝鮮の朝鮮労働党がやっている事と全く同じ専制独裁体制だ。
そのため、2000年11月に委員長に選出された志位委員長は在任期間が23年目に入るという世界でも稀有な超長期の独裁体制を敷いている。

この民主集中制について共産党では「共産党がとっている指導部の選出方法が一番、民主的で合理的だ」と言う。
その理由として「個人の専断を排し、集団指導によって民主的に党運営をやっていく上では一番合理的である」「派閥や分派を許さず、国民に対して統一的な責任を負っていく上で一番合理的である」としている。
これは理想的に機能すれば納得できる考え方ではある。本当に優れた指導者達による集団指導体制が機能すれば、頭の悪い親分とか大衆迎合的な扇動者が跋扈する選挙よりは、ずっとまともな指導部が期待できる
また、共産党は「共産党はそもそもポスト争いとは無縁な党だ。皆、国民の苦難の軽減、平和、社会進歩のために私利私欲なく頑張ろうということで、地位や名誉や金もうけをするために入っている人はいない。そこに党首公選なるものは合わない。あらゆる角度から見て、党首公選を押し付けるのは道理がないと思っている」という主張も一理はある。
実際に共産党の党員は、大半が理想に燃える真面目な人たちだ。民主党の連中とは人間性が違う。

ただ、いくら理念は立派だったとしても、それが実際に機能しているかどうかは保証はできない
集団指導体制は良いんだけど、その集団を選ぶ手段が非民主的で閉鎖的なため、間違えると中国や北朝鮮のような暗黒の独裁体制になる危険性がある。
志位委員長は68歳で在位23年目となる。これだけ超長期の独裁者は世界中を見回しても少ない。党内で彼に意見する事ができる人なんているのか?彼にたてつく事なんて不可能ではないのか?
仮に志位委員長が優れた人材だったとしても、23年も独裁体制を敷くなんて、他に優秀な人材はいないのか?
松竹氏は「志位委員長が23年も党首をつとめているというのは、国民の常識からかけ離れている」と言うが、それが多くの国民の率直な感想だろう。
いくら立派な人でも23年間も間違いなく党を運営できるだろうか?間違を犯さないだろうか?そんな事はあり得ないだろう?このような絶対的な独裁者の下で民主的な党運営なんでできるだろうか?

今回の松竹氏の除名処分について、「党の規約にのっとって、正式のルートで一度も意見を述べることをしなかった」事を理由に挙げているが、23年も独裁体制が敷かれる党の内部で意見を述べても抹殺されるだけだ
上に書いたように、松竹氏は2005年にも党の機関紙で意見を述べたが批判され、党本部を去る事になっている。このような閉鎖的な党の中にあってまともな論争はできないだろう。
何かについて外部が敵だというのは中国共産党が常に主張している常とう手段と同じだ。

もちろん、共産党が言うように、政党がどのような選出方法で党首を選ぶかは、党の自主性と自立性に任されるべき問題だ。党の外の人たちがとやかく言う筋合いのものではない。「ほっといてくれ!」と言うことだろう。しかし、松竹氏は党外の人ではなく、党員だ。
それに、かつて目指していたような暴力革命ではなく選挙によって政権を獲得しようとするのなら、一般国民が抱く印象は非常に重要だ。

また、「党首公選制導入は派閥・分派をつくることを奨励することになる」と言って批判しているが、分派活動って何よ?一人の党員が持論を述べたら分派活動になるのか?たった一人でも分派なのか?矛盾してないか?
なぜ共産党が松竹氏の発言を分派活動と批判するのかと言うと、今は一人だけど、党内に大勢の賛同者が出て分派になるのが確実だから、そうなる前に封じたのだろう。まともな論争になれば、党の執行部側が負けるのは明白だからだ。
そもそも分派活動を禁止するのは、自分たちとは異なる考えを持った勢力に権力を奪われる事態を避けるためだ。つまり、あくまでも権力を握っている人たちの自己保身のための制度だ。

共産党の党員数はピーク時の50万人から30万人を割り込むまでに減少し、党員の高齢化も進む。若い人たちからは見向きもされていない。国政選挙における退潮は深刻だ
松竹氏の訴えは、一般党員に広がる深刻な危機感の現れであり、「党首公選制導入で党内の政策論争が表面化する事により、共産党が国民に近い存在になる」としている。
その主張に対して除名などと言うトンでもない処分を下した共産党への国民の批判は強まるだろう。

共産党は平等な社会を目指す唯一まともな政党だ。その清廉潔白な党の体質は汚れ切った政界にあって清々しく極めて貴重な存在であり、腐りきった民主党なんかと違い、日本の政治にとって無くてはならない政党だ。

(石材店)「財テクであぶく銭を稼いでいる幹事長とは思えないお言葉」
(幹事長)「あぶく銭って言うな。生活費と言え」


しかし、今回の騒動に象徴される暗黒で陰湿なイメージは、一部の強固な支持者以外の国民からは敬遠されるだろう。
2021年の総選挙では共産党と選挙協力を行った立憲民主党が惨敗し、執行部が退陣させられた。共産党に対する国民のイメージは非常に暗いからだ。
今回の松竹氏の処分により、国民の共産党への違和感や嫌悪感はますます増大するだろう。
それで良いのか、共産党?

(2023.2.14)



〜おしまい〜





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