日経平均株価が史上最高値を更新

〜 まだまだ高くないよ 〜



22日の東京株式市場で日経平均株価バブル期の1989年12月29日につけた終値としての史上最高値を更新して3万9098円68銭まで上昇した

(ピッグ)「幹事長としては大喜びですか?」
(幹事長)「もちろん嬉しいぞ」


金融資産の運用益が唯一の収入である私にとっては、株価の上昇はとても嬉しい。

(幹事長)「そうだよな、支部長?」
(支部長)「でもあんまり恩恵が無いのよねえ」


支部長も金融資産の運用益と畑の収穫物で食いつないでいるが、支部長が最近の株高であんまり恩恵を感じていないのは、個別保有株の値動きが芳しくないからだ。

そもそも日経平均株価というのは日経新聞社が適当に選んだ225社の株価を平均したものだ。
千差万別の株価を平均したものなので、高い株価のものに引っ張られてしまう
例えば、日経平均株価に採用されているものの中で最も株価が高いファーストリテイリングの株価は4万円を超える。
一方、住友化学は300円台、ENEOSは600円台、楽天グループは700円台だ。
すると、ある日の株価が住友化学もENEOSも楽天グループも全部大暴落して半値に下がったとしても、ファーストリテイリングだけ僅か3%上れば日経平均は上がる。
最近でも、日経平均株価は上昇しているのに、東証プライムに上場している全企業のうち2/3は値下がりしたって事がよくある。

なので、いくら日経平均株価が上昇しても、支部長のように自分の持ち株が上がらないと恩恵は受けない。
私も、マーケット全体に投資しているETFなどはどんどん値上がりしてきたが、個別保有株の動きはさっぱりだ。

だからと言う訳では全然ないが、最近の異常な株高について、頭の悪いマスコミがバカ騒ぎしているほど浮かれてはいない
そもそも、バブルが弾けてピークの水準に回復するまでに34年2か月もかかったという事実を冷静に考えてみよう。
あまりにも長かった、というのが率直な感想だ。ようやく34年前の水準に回復しただけであって、なんの成長も無い浮かれていられるような状況ではないのだ。

この34年間で、アメリカのダウ平均株価は14倍に上昇しているほか、ドイツのDAX指数は9倍に、またイギリスのFTSE100指数は3倍に上昇している。
なので、私は金融資産の半分以上を海外株式で運用している
何も、最初からそうしていた訳ではない。最初は資産運用の基本中の基本である4分割法、すなわち国内株式と国内債券と海外株式と海外債券の4つに分割して運用していた。
ところが海外株式の運用だけが突出して好調を続けてきたため、その比率が高まってきた。
本来なら時間軸のリスク分散も重要なので、資産のリバランスをやらなければならないところだが、国内株式はパッとしないし、国内債券なんて全く利益を生まないので、リバランスと言っても、債券からリートに移し替えたくらいしかやっていない。

このような状況が長年続いてきたんだけど、ここにきてようやく日本株も動き始めたって事だ。ただそれだけの事だ
これまで異常なほど長らく低迷していたのが、正常化しつつあるだけだ。
バブルに見えるかもしれないけど、冷静に考えてみれば、まだ2倍も3倍も上がっても何の不思議もない株価水準だ。
日本はようやく元に戻っただけだ。何も異常な事態ではない。

ちょうど5年前の2019年1月の株価水準と比べると、アメリカの代表的株価指数であるS&P500も日経平均も、ちょうどぴったり2倍になった
たまたますごい偶然ではあるが、これは何も日本株が異常に高騰している訳ではない事を如実に示している。
現在の株高を主導しているハイテク株がメインのナスダック指数は同期間に2.4倍近くにまでなっている。日本株は決してバブルになっている訳ではないのだ。

また、同じ株価水準とは言え、バブルの絶頂期にはPER(株価収益率)が70倍もあったが、今は16倍程度でしかない
株価が上がったとは言っても、PERはアメリカの水準よりまだ低いくらいだ。
つまり、まだまだ上がってもおかしくない水準だ。全くもってバブルではないのだ。

長らく低迷してきた日本株の株価が、ここへきて急速に上がってきた直接的な要因としては、日本銀行のしつこい金融緩和政策と円安、そしてアメリカ経済の好調さがあげられる。
これらについては、日本銀行もようやくマイナス金利政策を解除する可能性がある。
逆に、アメリカでは、ここんところの大幅な金融引き締めの影響で景気が減速してくる可能性があり、そうなると今度はアメリカが金利を下げてくる可能性が高い。
そうなると日米の金利差が縮小して円高になる可能性が高い
そうなると輸出企業の業績悪化により株安になる可能性が出てくる
ただ、それらは大した影響ではない。輸出企業は確かに業績が悪くなるだろうけど、円高によって恩恵を被る業界も多いし、日本経済にとっては必ずしも悪い事ではない。

日本株が復活してきた本当の根本的な理由は、近年の日本企業の構造改革により、企業の業績が向上してきている事だろう。
特に、中国経済の低迷により、投資先を失った海外投資家が、日本企業を再評価して大幅に投資額を増やしている事が大きな要因となっている。
もちろん、海外投資家にとっては円安により日本株が割安に映り、お買い得になっている面は強い。なので、円高になれば短期資金は一斉に引き上げる可能性もある。

ただ、東京証券取引所が打ち出した資本コストを意識した経営が浸透してきたことにより、多くの企業が株主を重視する姿勢に転換してきている事は重要だ。
かつては多くの企業が株式の持ち合い等により安定株主を確保していたため、株主をないがしろにしていた。そのため海外の投資家は日本企業をあまり評価していなかった。
しかし、東証の改革によって日本企業が変わり始めていることで、海外投資家の関心を高めている。

今の株価について「異常なまでに上がっている。これはバブルだ。近いうちに必ず弾ける」とわめき叫んでいる評論家が多いが、それはこの34年間の水準に慣れてしまい、発想が硬直化してしまっているからだ。
もちろん、いくらなんでもここんとこの急速な値上がりのスピードは異常であり、近いうちに調整が来る事は間違いないだろう。
だが、それは一時的な調整であり、すぐにまた上昇基調に戻るだろう。なぜなら、今の株価は決して高すぎる訳ではないからだ。

(2024.2.22)



〜おしまい〜





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