市町村合併って必要?

〜 鳥取県西部地震での対応を考える 〜



なんか、めちゃめちゃ固くてつまんなそうな話題ですが、本当につまんないので、関心の無い人は読まなくても損しませんよ。
そんな事わざわざ言わなくても、読まないか・・・。


市町村合併の必要性が叫ばれて久しい。財政危機に悩む政府は、行政の効率化と経費節減のために市町村合併を推進している。

確かに、小さな自治体が単独で存在するのは、大きな無駄がある。
香川県だと、香川のチベットと呼ばれる塩江町(来週はいよいよ塩江マラソンじゃ)でさえ4千人近い人口がいるので、さほど危機感は無いかもしれないけど、高知県では大川村とか本川村といった人口が千人に満たない村がある。愛媛県にいたっては、別子山村とか魚島村といった人口300人前後なんていうとんでもない村が存在する。こんな村でも村役場があって村長がいて議員さん達がたくさんいる。四国電力の太田アパートでさえ、人口は600人はいると思うので、それだけで1つの自治体を形成しているなんて、どう考えても無理があるぞ。自治会ならともかく。
特に、今年は介護保険がスタートしたが、この制度の運営は市町村が責任を負わされており、人口も少なく経済基盤も脆弱な町村では、このような制度の維持は簡単ではない。小さな自治体は合併して、基盤を強化するべきかもしれない。

これとは逆に、都市部周辺のベッドタウンは中心都市との合併が自然かもしれない。高松市で言えば、周辺の国分寺町や牟礼町といったベッドタウンは、多くの住民が高松市に通勤、通学しており、生活圏としても高松市と一体化しており、住民の意識としても合併に対する違和感は少ないだろう。昔は交通機関が未発達だったため、多くの自治体がそれなりの中心地を持っていたけど、今や車でどこへでも簡単に行けるようになったおかげで、中途半端な中心街はすたれてしまい、単独で存在する意味合いは薄れている。

自治体の中には、自ら合併を強く進めているところもあり、香川県東部の大川郡では、郡内8町が5つと3つに分かれて合併の動きがある。どうせなら全部一緒になっちまえばいいのに、とも思うけど、色々と事情があるのでしょうね。仮に全部一緒になっても、面積は高知県の中村市より狭いくらいだから、そんなに不便でもないし、人口は10万都市になるのに。
僕も、丸亀市の実家に住んでいた頃は、周辺市町を吸収して20万都市になればいいのに、なんて漠然と思ってました。この動きは、かなり強く進められていたのだけど、今は消えてしまったのかなあ。

ところが、先日の鳥取県西部地震での対応を見ていると、もしかして、自治体というのは、地域に密着した単位でないといけないのではないか、って思えてきました。

て言うのは、鳥取県の溝口町では、地震で壊れた住宅の建て替えについて、独自の補助金を打ち出したのです。独り暮らしの高齢者など、家の建て替えに緊急を要する人が居るので、雪が降り出す年末までに完成を目指すらしい。行政とは思えない圧倒的なスピードです。
素直に考えれば、家が壊れてしまった人が建て替えるのに補助金を出すって言うのは、とっても分かりやすい施策だし、みんなの税金から捻出すると言っても、被害があった時は助け合いましょう、って感じで不満は無いと思う。阪神大震災の時だって、住宅建て替えに税金を投入してあげればいいのに、と素直に思いました。仮に1万戸の家に1000万円ずつ補助したとしても、全部でたった1000億円です。国民1人当たりたったの千円です。10万戸にしても1人1万円。自分の家が壊れた時に助けてもらえると思えば、安心料として、それくらい安いものです。

ところが、今回の溝口町の対策について、周辺自治体の反応は否定的で、「単独でそんな事をやらないで欲しい。足並みを揃えて欲しい」なんていう近隣町もあれば、米子市では「都市部では被害件数が多いので財政的に無理だ」という。確かに、それはそうかもしれない。
隣の島根県庁は「建て替えに対する直接的な公費助成は税金投入であり、国民、県民の合意が必要だ。慎重に対応すべきだ」などと厳しい事を言っている。それも、もっともです。
島根県の安来市では「今回、補助を出せば将来の災害時にも出さざるを得なくなる。過去の災害の被災者との整合性も問題だ」と言うし、岡山県新見市では「今後、全ての災害でも市が住宅建設補助をしなければならず、議会とも相談して慎重に判断すべきだ」と言う。

全部、ごもっともです。おっしゃる通りです。
しかし、もうすぐ雪が降り出す地方で、慎重に判断していたら、今、ビニールハウスの中で雨風をしのいでいる高齢者は、いったいどうなるんだっ!
過去の災害の被災者との整合性も大事だけど、それを言っていたら永遠に行政サービスは向上しないぞ。本当は、向上させたくないというのが本音だろうけど。
それに、将来の災害時にも出さざるを得なくなるだろうけど、出したらええやないの。
とにかく、目の前でビニールハウスで冬を迎えようとしている年寄りが居るんだから、それくらい補助したってバチは当たらんぞ。

と、エキサイトしてしまいましたが、こういう対応を見ていると、自治体って言うのは文字通り、住民の自治組織であり、基本は顔の見える範囲の住民同士の自治であるべきだと思う。もし溝口町が米子市と合併でもしていたら、こういうスピード溢れるきめ細かい対応はできなかったでしょう。

全国には、合併を進めた結果、いわき市や静岡市のように香川県の面積の60%以上もあるような巨大な市になったところがあるけど、そんなところに住んで幸せと言えるかしら。

(2000.11.18)



〜おしまい〜





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