しぶとい過激派

〜 けっこう恐いぞ! 〜



実は、私は、新左翼系である。
と言っても、活動をしているのではなく、興味の対象である。

最近の若い人に新左翼なんて言っても、なかなかピンとこないでしょうが、昔は結構、活発でした。僕が学生時代には、既にかなり下火になっていましたが、それでも僕が大学の寮に住んでいた頃は、寮内に革マル派の部屋があり、そこが対立している革労協の襲撃にあって死者が出た、なんていう事件もありました。同じように放火事件なんかもありましたなあ。
僕も自治会などの活動の場では、こういう過激派の奴らと議論をしたりしました。革マル派には、僕と同郷(丸亀市)のおねいちゃんもいたりして、よく話をしました。しかし、この人達は、意外に、そんなに変な連中ではありませんでした。革マル派のおねいちゃんも、襲撃されて大けがして包帯巻いてたこともありましたが、自分は襲撃なんかするような人間ではありませんでした。
実は、対立派を襲撃するような部隊は、全く別の人種で構成されていました。色々と勉強して、それなりの理論武装をして議論をするような学生とは違い、例えば地方の工場で地道に働いていたような工員を勧誘して、別働隊の殺人部隊に仕立て上げるのです。この当たりの手口は新興宗教と同じですね。表だって活動している学生などは、氏素性がバレていますが、警察に捕まるような非合法活動は一切しないので、堂々と活動しています。裏の襲撃隊は、完全に秘密にされ、あれだけ殺人事件を起こしても、滅多に警察に捕まったりはしません。このあたりは、ヤクザなんかと違って、組織のすごいところです。ほんま、恐ろしいです。

なんて書いても、やっぱり大半の人は、あまりにもマイナーな分野だと思うでしょうが、実は新左翼の過激派は、結構、色んなところでしぶとく活動しています。大きなところでは、例えばJR東日本の労働組合を牛耳っているのは革マル派です。
これは、国鉄民営化にあたって、実にうまい戦略があったからです。国鉄時代は、社会党系の国労が主導権を握っていましたが、それ以外に、民社党系の鉄労と、革マル派の動労がいました。数では圧倒的に国労が多かったので、国鉄時代は完全に主流派でした。
国鉄民営化に当たっては、国労は断固として反対し、経営側と協調路線をとる民社党系の鉄労と対立しました。当初、動労は、国労以上に過激なので、強烈な反対運動を繰り広げるのかと思ってました。だって、過激派なんだもん。ところが、なんと、動労は、ここで一気に主導権を握ろうと、突然、寝返って、民営化に賛成し、というか、自ら主導するかのごとく経営側に協力したのです。これには呆気に取られましたが、見事な戦略です。だって、そのせいで、国労の組合員はほとんどJRには採用されず、路頭に迷うことになったのです。いまだに裁判が続いてますが、負け続けています。本当に気の毒ですが、組合の戦略としては、全くアホです。見事なまでに社会党です。社会党のアホ連中も、年がら年中、バカの一つ覚えみたいな非現実的なスローガンを叫んで消滅していきましたが、国労も同じでした。
一方、民営化に協力した動労と鉄労は、ほとんど全員がJRに採用され、一気に主流派になったのです。それでJR各社で新しい組合を作ったのですが、これは民社党系の鉄労としては、あまり賢い戦略ではなかった。だって、相手は過激派の革マル派。そんなん相手に、民社党系の軟弱組合が対等にやっていけるわけがない。当然のように、JR各社の組合で主導権はあっさりと革マル派の動労系に握られてしまった。
で、これではいかん、ということで、鉄労系の組合員達は分裂して新しい組合を作り、その結果、以前と同じように鉄労系の組合と動労系の組合に分かれたのでした。その結果、例えばJR四国とかJR西日本では、穏やかな鉄労系の新組合が経営側と仲良くなって主導権を取りました。しかし、JRの盟主であるJR東日本とかでは、今も革マル派の動労系の組合が主導権を握っており、経営側と癒着しています。つまり、JR東日本の経営側は、革マル派とつるんでいると言っても過言ではないのです。これって、革マル派の実態を考えると、かなり恐いことです。そのせいもあって、JR東日本とJR西日本は、経営陣も対立の様相を深めています。

なぜ、今、過激派の話題を書いたかと言うと、なかなか面白い記事が見つかったからです。

12月10日午前5時ごろ、東京都清瀬市旭が丘3の路上で、近くのタクシー運転手、仲野茂樹さん(52)が血を流して倒れているのを通行人が見つけ、110番した。仲野さんは近くの病院に運ばれたが、頭の骨を折っており間もなく死亡した。警視庁公安部と東村山署の調べでは、仲野さんは過激派「革労協狭間派」主流派に所属しており、公安部は内ゲバ事件とみて殺人容疑で捜査している。調べでは、仲野さんは鈍器で殴られたとみられる。事件から約2時間後の午前7時10分ごろ、現場から南西へ約19キロ離れた昭島市松原2の駐車場で、時限式発火装置で放火されたとみられるワゴン車が全焼した。公安部は仲野さんを襲ったグループが逃走に使った車とみている。革労協狭間派は昨年5月、路線をめぐり主流派と反主流派に分裂した後、暴行事件が相次ぎ、今回の事件前までに9件が発生、6人が死亡している。

一般の人は、革労協なんて知らないだろうし、その革労協狭間派なんて、もっと知らないだろうし、そのまた革労協狭間派主流派なんて、新左翼オタクの僕ですら知りませんでした。外部の者から見ると、ほとんど違いの分からないような細かい路線の対立により分裂を繰り返すのが新左翼の大きな特徴ですが、革労協狭間派が主流派と反主流派に分裂しただなんて、知りませんでした。まあ、ニュースにはならんわな。
それにしても、その主流派と反主流派の対立という、めちゃめちゃ狭い世界で、わずか1年半で10件も事件があり、7人も殺されているだなんて、ヤクザ抗争とかだったらマスコミも大騒ぎするだろうし、警察もビシビシ逮捕していくだろうけど、ほとんど報道もされなければ誰も捕まらない。やっぱり、ものすごく恐い世界です。
それから、そういうメンバーがタクシーの運転手だった。つまり、こういう連中は、普段はどこに居るのか、一般市民にはなかなか見分けがつかないということです。これも、なかなか恐いことですね。
さらに、10件で7人が殺されている。ヤクザの抗争とかだと、組の事務所の外からピストルを撃ち込んだだけで逃げる、なんていう格好だけの腰抜け襲撃が多いですが、新左翼系は、徹底的にやります。しかも鉄パイプとかで、完全に殺すまで叩きのめします。これって、ピストルをぶっ放すのと違って、やる方も、かなり恐いと思うのだけど。当分、というか、一生、夢でうなされそう。

まあ、JR東日本のような大組織に足場を確保している限り、このような新左翼系過激派は滅ぶことはないでしょうね。僕のような、共産趣味者にとっては、喜ばしいことですが。

ところで、もし仮に、僕のように新左翼に興味がある人がいれば、「マル共連」というグループのサイトが面白い。これはマルクス主義共産主義者連合ではなく、「マルチメディア共産趣味者連合」という新左翼オタクのページで、本当によく出来たページです。
アドレスは、 http://marukyo.cosm.co.jp/menu.html ですだ。

(2000.12.22)



〜おしまい〜





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