猫は恐いぞ

〜 猫暗殺事件 〜



びっくりした。猫を殺した男が逮捕された。
動物愛護家が目をつり上げてヒステリックに叫んでいるイギリスなんかと違って、日本では動物を殺しても罪にはならなかったはずなのに。(その割には、イギリスではキツネを残虐に殺すキツネ狩りが続いていますが。ま、欧米人ってのは、自己中心的な人間ばかりだし)
もちろん、誰かが飼っている家畜やペットを殺したりしたら、当然、損害賠償の責任は負うのだけど、動物を虐待したからといって、それ自体が罪になったのは日本ではあまり前例が無いのではないかしら。

この男は、かのエリート銀行である日本興業銀行の行員で、地域総合整備財団に出向中の44歳の男だと言うから、まあ、そんなにおかしな人間ではないわな。職場の人も「温和な人で、職員の評判もよかったので、驚いている」と話しているけど、これはまあ、たいていの犯罪者の場合、職場での顔と私生活とでは豹変したりするから、どうでもいいにしても、とにかく精神的におかしい人とは思えない。それが洋弓銃(クロスボー)で猫を殺したとして、警視庁に逮捕されちゃった。「動物の愛護及び管理に関する法律」違反ということです。彼は「昨夏ごろから約10匹の猫を撃った」と言ってるらしいから、容疑自体は間違いないみたい。

もともと、僕も、個人的には、日本では動物を殺しても罪にならないのが不満で、それじゃあ動物さん達は泣き寝入りやなあ、と苦々しく思っておりました。だから、このような傾向は本来は喜ばしいのですが、ただ、この男が猫を殺し始めた理由というのが「猫が庭に入ってきて、フンをするので、腹が立ってやった」と供述していること。これは、実は、大問題なんです。
会社のアパートを出て自分の家を建ててから、とってもハッピーな人生を送っている私ですが、困るのが2つ。1つは庭で襲撃される蚊。これは、最大の問題。なんとかならんのか。地球上から蚊を抹殺してやりたいぞ。
そして、蚊に比べると比較的小さい問題だけど、猫のフンなんです。庭の芝生の中とかにフンされると、これが、あなた、臭いの何のって、もうメチャメチャ臭い。フンを除けたって臭いは残る。ホースで辺り一面ビショビショになるくらい水を流しても、やっぱり臭いは残る。雨でも降ればだいぶマシになるけどね。しかし、雨は雨で、また困る。猫ちゃん達も雨は嫌いなので、雨が降ると庭のウッドデッキに避難してきて、雨が上がったあとはウッドデッキの上は猫の足跡だらけ。ま、足跡なら拭けばすぐきれいになるけど。
とにかく、フンをされるとたまらないので、なんとか猫がこないようにできないものか、思案している。ホームセンターに行けば、猫が嫌がる粉末の薬なんかも売っているけど、これって効き目が薄いのよねえ。よく見かけるペットボトルにいたっては、100パーセント何の効果も無いし。

で、猫殺しである。もちろん、わたしゃ、いくらフンが嫌だって言っても、猫ちゃんを殺すくらいなら、フンの臭いを我慢します。フンさえしなければ、ま、汚れた足跡は気になるけど、猫ちゃんが訪問してくれる方が、なんとなく楽しいような気はします。下の子供(幼稚園児)も喜ぶし。言い方を変えれば、猫も来ないような庭にはしたくないよな。実は、自分も犬や猫を飼いたい気持ちもあるのだけど、上の子供が喘息が出ることもあり、やめているのです。
でも、やっぱり、フンはいや。自分の飼い猫なら躾をするんだけど、よそから来る猫はなんとかならんかなあ、と考えている。
そこへ猫殺しだ。猫を殺す奴は、とっても嫌いだけど、その理由は同情できるのである。そして、彼も最初は、手製の吹き矢で猫を追い払っていたらしい。でも、それって、ちょっと考えただけでも効果が薄いって分かるよね。それでそのうち、庭にエサやマタタビを置いておびき寄せるようになり、猫がくると鈴が鳴る仕掛けを作って、それをクロスボーで狙っていたらしい。つまり、最初は、とにかく追い払いたかったけど、それがだんだんエスカレートしたようだ。ていうことは、猫のフンを嫌がる人なら、誰でもそこまで発展してしまう可能性が無いこともない。もしかして、僕だって。すると、猫を追い払っているつもりだったのに、逮捕されて犯罪人となり、たぶん会社もクビになって社会的生命が抹殺されちゃうんだ。これって、メチャメチャ恐いぞ。
猫は恐いぞ。猫を殺すと、ただじゃ済まないぞ。

そして、さらに、実は恐いのは猫だけじゃない。直接逮捕の容疑となった殺された猫は野良猫じゃなくて、近所の老女(69)が飼っていた猫なのだ。そして、なんと、この老女が飼っている他の猫8匹にもクロスボーの矢が刺さったようなあとがあったらしい。なんのこっちゃ。つまり、この男が撃ったという10匹程度の猫というのは、全部この老女が飼っていたのだ。おい、おい。これって、ちょっと問題はないのか?犬を散歩させた時のフンの処理は、だいぶ常識化されてきたため、辺り構わずフンをさせまわる愛犬家も少なくなってきた(田舎では多いけど)。でも、放し飼いの猫のフンの後始末に関しては、飼い主は無頓着。この老女にしたって、10匹も猫を飼っておきながら、周囲に迷惑をまき散らしているという自覚は皆無なんでしょうな。まあ、猫ちゃんは家に閉じこめておくのも難しいので、放し飼いにするのが普通だろうし、管理はできないだろうけど、それなら10匹も飼うなよなあ、と言いたい。
私は、猫を殺す奴も嫌いだけど、猫を10匹も飼ってみんなに迷惑をかけている老女はもっと嫌いだ。

ところで、新聞報道によると、「この男は妻と2人の子どもがいるが別居中だった」とされている。たかが猫を殺したくらいで、こななことまで世間中に暴露されなければならないのか?
マスコミって、極悪非道な犯罪を犯しても、少年だと異常なまでに過保護になって、被害者の心情も省みずに、やたら犯罪少年のプライバシー保護に走るけど、たかが猫を殺しただけで、なんでここまでムチ打つのだ。だからマスコミは嫌いだ。マスコミと猫飼い老女は嫌いだ。

(返す返す断っておきますが、私は基本的には猫ちゃんを始め、動物さんはみんな好きですので、猫殺しは許し難い行為であると認識しております)

(2001.2.6)



〜おしまい〜





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