文化の地域伝搬について

〜 高知県の後進性 〜



断っておきますが、以下の文章は、高知県を非難したものでもなければ、バカにしたものでもなく、純粋な客観的な考察です。

きっかけは、「三流ランナー日記」を書いておられる一流ランナー「シゲル」氏が「みんなの広場」に書き込んでくれた記事です。

昨日,会社を「自主休業」し,『狗神』というホラー映画(?)を見に行きました。
舞台が四国・高知県の山奥なんですね。
でもひどいんです。
現代なのに,男は女性を働かせ一日中酒を飲んでいて,すごく「男尊女卑」だし,古い因習にとらわれているし。
「高知はこんな所じゃない!」と高知県人会は抗議すべきような映画でした。

これに対して、我がバド探検隊の若きエース「バド3号」が反論しました。

くはまだ見ていませんが、R指定を受けた天海祐希の濡れ場にとてもとても期待していたので、少しがっかりです(劇場はやめて、ビデオで見ようかな)。
それはともかくとして、高知について二言。高知は他県に比べると野蛮で旧態依然としたところが多く、映画のイメージはけっこう合っているかもしれません。
しかし、男尊女卑ではありません。女がめちゃくちゃエラいです。強いです。仕事場でも宴席でも、男以上に大活躍する女がたくさんいます。頼りがいがある、というか、こわくもあります。それに比べて、男はまたい(か弱いの土佐弁)もんです。

これは、まさに本当です。
何も、これは、バド3号が、私生活においても完全に女性に主導権を握られて右往左往しているとか、職場生活においても恐いおばさんに怒鳴られてばっかり、なんていう事実無根な事実を言っているわけではありません。(なんのこっちゃ)
また、バド3号が、男の弱さを見せながら、それを武器に、かたっぱしから女性を落としている、なんていう空想科学を流布しようとしているわけでもありません。

本当だというのは、女性が強いってことです。
高知は遅れているところも多いですが、男尊女卑ではありません。
「男は女性を働かせ一日中酒を飲んでいて」というのも、結果的にはあるかもしれないけど、それは、男はだらしなくて一日中酒を飲んでいる一方で、女はしっかりしていて働いているので、知らない人が見たら、そのように見えることもあるかもしれないけど、女の方が圧倒的に強いのです。
この職場にもいますよう。何も、本人はロクに仕事もせずに毎日毎晩マージャンと酒におぼれて、給料の大半を浪費してしまっているのに、奥さんは3人の子供を立派に育て上げている県庁の人のことを言っているのではありませんが。

さて、いよいよ、立派なタイトルにふさわしい内容に転換します。
なぜ、高知に男尊女卑の風習が無いのか、ということです。
シゲル氏は、「すごく男尊女卑だし,古い因習にとらわれているし」と書いておられますが、それは東京とかの感覚です。東京を始め、日本の大半の文化圏では、確かに男尊女卑は古い因習です。しかし、高知は違います。高知には、そもそも男尊女卑という古い因習が伝搬してこなかったのです。

話を身近な例に移しましょう。
高知県には、公立の小学校に制服がありません。いまどき、小学校の制服が無いなんて、都会では当たり前です。東京でも大阪でも、どこでも公立の小学校に制服はありません。しかし、香川県なんて、制服が全盛です。香川に限らず、ちょっと田舎に行くと、公立の小学校は制服です。昔は都会も制服があったのだけど、それでは子供の個性が無くなる、なんていう目をつり上げたPTAおばさん達の圧力によって廃止されていったけど、地方では、まだそれが伝わっていないってことです。最近はテレビの影響や情報化の進展により、都会の影響はすぐ伝わるようになりましたが、まだまだ伝搬が遅い分野もあるのです。
それでは、なぜ、一番遅れていそうな高知では制服が無いのか?それは、そもそも制服文化が伝わらなかったからです。昔々は、日本中、田舎はどこも制服なんて無かった。貧しくて制服なんて買えなかった。それがだんだん豊かになって都会から制服文化が伝わってきた。ところが高知は、貧しかったこともあり、あまりの僻地のため制服文化が伝わらなかった。で、制服という存在を知らないまにテレビが普及したり情報化が進んで、都会でも制服が無いことを知り、なんの違和感も感じなかったのです。だから、他の中途半端な田舎地域では小学校に制服があるっていうことすら知りません。ドーナツの内側(都会)と外側(ど田舎)は制服が無くて、ドーナツ部分(普通の田舎)に制服が残っているのです。

男尊女卑の古き因習も同じです。そもそも、そのような因習が伝わらなかったのです。高知に限らず、南の海に浮かぶ島々(この辺りから流れてきた人達が沖縄や高知に住み着いたと考えられる)では、どこも男は一日中ヤシ酒を飲んでブラブラし、女達が働いて生活を支えているけど、何も男尊女卑ではなく、女が圧倒的に強い。女はせっせと働く働きバチで、男は種付けするだけの存在だが、実権を握っているのは女王バチなのだ。

このほかにも、他の地方では当たり前の事が、高知では存在しないっていう事例がたくさんあります。この狭い四国で、山を隔てた北と南で、こうまで文化が異なるものか、と驚きですよ。

(2001.2.13)



〜おしまい〜





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