千葉県知事選挙に思う

〜 流れは止まらない 〜



長野県知事選挙にも思ってしまったので、今回も思ってしまうのだが、千葉県知事に堂本暁子さんが当選した。誠に喜ばしいことである。

実は、千葉県なんて四国の住民からすれば最も関心の低いどうでもいい地域である。長野県も同じくらい遠いところだが、公共事業に依存した田舎の体質は四国と同じであり、そういう地域で新しい政治の流れが出てきたというのは大いに関心がある。他の地方圏にしても同様であり、各地の政治の動きには無関心という訳にはいられない。また大都市圏にしても、大阪を始めとする関西圏の動きは、広い意味での関西経済圏の影響を強く受ける四国にあっては関心は高い。また東京は、なんといっても日本全体に及ぼす影響が大きいので、これも無関心ではいられない。しかし、その東京に隣接する地域って、はっきり言って、何の関心も無い。ぜーんぜん関係無いもんね。まるで影響ないし。

しかし、今回の堂本さんの当選には無関心ではいられない。
実は以前、知人の知人経由みたいな感じで、堂本さんの事務所から翻訳の仕事を分けてもらったことがあるのだ。アメリカの雑誌(確かタイム誌だったかな?)に掲載された彼女の記事を、彼女のホームページに記載するから和訳して欲しい、という依頼であった。それまでなんとなく名前は聞いたことがあるかな、というくらいの政治家だったが、その記事を翻訳するに当たり念入りに読んだため、かなり親近感を持ってしまったのだ。

しかし、そななどうでもええ事だけではないぞ。無党派知事の当選が続いている全国的動きは注目に値するのだ。
もっとも、堂本さんの場合、無党派知事の誕生と言うことで話題になっているが、無所属といっても長野県知事のように純粋な無党派ではなく、以前は社会党やさきがけ所属の国会議員だった。ただし、今回はどこの政党からも支持をもらわず、自民党だけでなく民主党にも勝った。環境問題や消費者問題に取り組む市民グループや主婦層の勝手連が支援し、それを支持したのは、まさしく無党派層の有権者だった。

無党派知事の元祖と言えば、私がつい最近まで勤務していた高知県政策総合研究所の生みの親である橋本大二郎高知県知事だ。


橋本知事とわたくし

他にめぼしいところと言えば、やはり田中長野県知事である。ほかにも青島幸男東京都知事や横山ノック大阪府知事もいたが、これは無党派というよりタレント候補だわな。それから元役人の宮城県知事や元代議士の三重県知事や元市長の栃木県知事も、既存政党の知事に選挙で勝っているわけだから、その支持層は無党派層とも言えるが、役人や政治家出身なので、ちょっとニュアンスが違うかな、って感じは否めない。堂本さんも国会議員出身なので、その点では同じだが、彼女の場合は、元々が市民活動家的存在であり、その活動の過程で国会議員にもなったという感じなので、やはりどちらかと言えば無党派層的な存在である。それから、個人的には決して嫌いではない石原慎太郎東京都知事も、既成政党と戦って当選したとは言え、れっきとした政治家であり、やはり素人ではないな。

今回、堂本さんを支援した環境問題や消費者問題に取り組む市民グループっていうのは、一般的に言えば、私はとってもとっても嫌いな連中である。まるで頭が悪くて短絡的で、目先の事や自分の事しか考えていないヒステリーおばちゃんが主体だし、またそれをうまく操って政治的に利用しようとする腹黒リーダーもいるし。ほんと、迷惑千万な存在である。しかし、今回のような選挙に関して言えば意義がある。いくら無党派層が増えたとは言え、タレント候補でない限り、ある程度の選挙活動は不可欠だからだ。

かつて、投票率がどんどん低下してとどまるところを知らなかった状況からすれば、若干ながらも投票率が盛り返し、その結果、既成政党の支持を受けない候補が当選するようになった。て言うか、既成政党しか出なかったら馬鹿らしくてみんな棄権するけど、そうでない候補が出たら投票に行く人が多いってことだわな。裏を返せば、そういう候補が出てくる選挙は幸せな選挙であり、従来型の候補者しか出ない地域は悲しい地域である。選択肢が無いもんなあ。
千葉県といえば東京に隣接している割には金権選挙で有名な保守王国で、その意味では田舎型の選挙だったけど、それは既成政党からしか候補が出てなかったからであり、実は住民は東京へ通勤、通学する千葉都民がかなり多いので、目新しい候補が出てくれば、かなりの期待票は集まるわけだ。

それから、堂本さんの場合は、無党派知事というだけでなく、大阪、熊本に次ぐ3人目の女性知事というのも嬉しい。大阪と熊本は既成政党からの支持を受けた立候補だったが、無党派層の男性知事より、むしろ既成政党でもいいから女性知事の方がいいと思う。僕はあらゆるレベルの議会で、定数の半分は女性に割り当てるべきだと思っているので、こうやって女性知事が増えていくのは好ましい。かつてのように開発と経済発展が政治の主眼であり、結果的にもそれで順調に日本が発展していた時代は男性ばかりの政治でも良かったが、生活している市民と政治家の目線がズレてしまい、それが日本の発展に悪影響を与え始めている現在、女性の政治家が増えて軌道修正してくれることが望ましい。
このような観点からしても、旧態依然とした発想からの政策しか打ち出せない既成政党が負けるのも致し方ない。自民党は、今回の敗北を受けて「有権者がきちんと政策を理解していないからだ」ってコメントしているが、そうじゃなく、有権者は細かな政策じゃなく、政治のあり方と目指すべき方向を判断しているのだ。従来の路線上でいくら目新しい政策を打ち出したところで、たかが知れている。政治の在り方を抜本的に変えていかなければならないのだ。
今回の選挙の票の結果だけをみれば、民主党と共産党が共闘していれば勝っていたかもしれないが、それができない現実を見ると、自民党だけでなく、野党も画期的に発想を変えないと厳しい情勢は続くと思われる。

(2001.4.1)



〜おしまい〜





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