風力発電は環境を破壊する

〜 勘違いは止めよう 〜



私は環境問題にはうるさい。ヒジョーにうるさい。
環境や原子力の問題になると、徹底的に議論するぞ。24時間一本勝負してあげるから、大衆迎合の浅はかなNHKでも、自己中心的で独善的な朝日新聞でも、どこからでもかかってきなさい。
って言っても、誰もかかってこないから、寂しいな。

で、言いたい事や山ほどあるんだけど、前々から苦々しく思っていた事の一つに、風力発電の問題がある。なぜだか僕には信じられない事なんだけど、「風力発電は環境に優しい」と、とんでもない勘違いをして推進している人が大勢いることだ。

僕が最初に風力発電を見たのは、もう10数年も前にアメリカに駐在していた時だ。カリフォルニアの荒野に延々と並ぶ風車を見て、ぶったまげた。見渡す一面、草木も生えないような荒れ地に、何百機もの数え切れない風車がどこまでも並んでいるのだ。よくもまあ、これだけの風車を作って並べたなあ、と呆れた。なんだか国力の差を感じてしまった。世界各国の中でもダントツに多い原子力発電所を持ち、石油から石炭まで豊富な資源を持ち、おまけに広大な土地があるから風力発電も出来る。なんとまあ、うらやましいなあと思った。日本では、こんな草木も生えないような荒野は北海道の一部と青森の六ヶ所村くらいだから、日本じゃあ風力発電なんて無理だなあと思った。

ところが、ところーが、なんとまあ、今では全国各地で風車がどんどん立ちまくっている。この四国でもあちこちでニョキニョキ風車が立っている。こりゃあ、困ったことだ。環境がどんどん破壊されていく。
風力発電の何が環境に悪いかというと、なんと言っても、見苦しい。アメリカのような荒野に並べるのは問題ない。だって、普段は、人もいかないような土地で、誰もどこからも見たりはしない。しかし、この狭い日本では、どこに立てたってすぐに目に触れる。て言うか、何故か日本では、風車はたいてい山に立てている。たぶん風が強いからだろうけど、せっかく自然が残されている山の中に醜悪な風車が忽然と立っている。これを見苦しいと思わない感性が不思議だ。
ところが、これを見苦しいと思わない人が多い。四国でも山の多い高知では、あちこちで風車が立ち始めている。開発の波から取り残され、豊かな自然が温存されている大豊町でも山の上に醜悪な風車が突然、立っている。それを見て僕が苦言を呈していると、なんと信じられないことに、その大豊町出身の県庁の人が「風車があった方が景観が良い」なんて言う。たぶん、全国で風力発電を推進している自治体の人は、こういう考えなんだろうと思う。だって、風車を立てる理由は、発電できるから、というのは取って付けた理由であって、まずは観光名所にしようとしているのだから。
なんで風車が観光名所になるのか?それは単に日本ではまだ風車が珍しいからだけだ。アメリカの荒野で何百もならぶ風車を見れば、その醜悪な姿は、もう二度と見たくはなくなるはず。
珍しいものに飛びつきたがる日本人の性質と、地域振興のために藁をもすがる思いの地方自治体の考えも理解できるけど、後々に後悔しないためには、風車なんて絶対に立てるべきではない。何年か立てば山の中に取り残された灰色の醜悪な廃墟になるだけだ。地下深くに厳重に管理して処理している原子力発電の放射性廃棄物よりはるかに始末が悪い。

景観問題をクリアしようと思えば、バカみたいに山の中に立てていくのではなく、デンマークやオランダ、ドイツのように農地にずらっと並べるのがいい。これなら景観的には環境破壊にはならない。
しかし、風力発電機の害は景観にとどまらない。実物をそばで見たことがない人が多いし、それに日本では、せっかく立てても、ほとんど回っていないことが多いから分からない人も多いが、ものすごい騒音がする。そら、そうやで。扇風機の巨大なものと思えば、ものすごい音がしてもおかしくはない。とにかくすごい音がして、そばにいると羽根が飛んで来そうで怖い。それから電波障害もある。周辺ではテレビ等の電波が乱される。ヨーロッパのように平野が広くて、農地にずらっと並べても、民家から遠ければ、あまり問題はない。しかし日本で同じような立て方をしようと思えば、これまた北海道や東北の一部地域だけになるだろう。それに、土地の権利に厳しい日本の農家が、そう易々と風車を立てさせるとも思えないし。

ここまで環境を破壊し尽くす風力発電であるが、その発電効果となると、信じられないほど微力である。例えばかなり大型の風車だと出力1000KW程度だけど、これを1000基ほど並べると原子力発電所1基分に匹敵する、なんていうアホがいる。まあ、狭い日本で大型の風車を1000基も並べる土地があるとは思えないけど、それでも無理である。風力発電機の稼働率が、風の強い土地でも、せいぜい10%程度だからだ。風車を見に行っても、たいていの場合は止まっているか、ゆっくりゆっくり回っているだけだ。だから、原子力発電所の替わりにしようと思えば、本当は1万基くらい必要になる。日本中の環境を破壊し尽くさないと、そんなに多数の風車は立てられない。
しかも、さらにタチの悪い事に、風が吹くのは、まさに風まかせ。いつ吹くか分からない。みんな寝静まって、誰も電気を使ってない時に吹いたりする。真夏のカンカン照りでクーラーをバンバン使っているような時には風も吹かない。ここまで役立たずの風力発電機は百害あって一利無しと言い切れる。この点、同じように風まかせ的な太陽光発電は、夜は発電しないけど、夏のカンカン照りにはいっぱい発電するので、風力に比べるとはるかにマシである。

このように、まるでだめおの風力発電だが、例によって頭の悪いマスコミは大好きだ。環境保護派と言われている、実は環境問題に知識の乏しい感情だけに流されているヒステリー集団の尻馬に乗って、風力発電は環境に優しいから原子力発電の替わりに推進しようなんて言っている。
いかに彼らが環境問題を真面目に考えていないかが良く分かる。偉そうに言いながら、真剣に考えていないのだ。頭の中だけで適当に考えている。自分の家の横に巨大な風車が立ってもいいのか。そういう地に足の着いた発想で考えて欲しい。

と、今まで、あちこちで個人的に訴えてきたのだが、もちろん僕が訴えてきたからではないのだけど、最近になって、ようやく、風力発電が環境に良くないっていう認識が少しだけ出てきたらしい。
岩手県の三陸町は、住友商事と組んで風力発電所の建設を計画していたけど、予定地の近くにイヌワシが生息している可能性があり、県から環境調査を要求され、断念した。山形県でも新日鐵が風力発電所を計画していたけど、景観の破壊になるという理由で県が認めなかった。

四国はまだ遅れており、徳島県企業局が佐那河内村で風力発電所の運転を開始したほか、池田町周辺でも候補地を探している。また既に多くの風車が立っている高知県でも、素晴らしい景観の四国カルスト台地に醜悪な風車を立てるなんていうとんでもない計画がある。しかし、先進県では認識が改まってきており、景観破壊の元凶である風力発電所の無秩序な建設にはブレーキがかかりつつあるみたいだ。これは本当に喜ばしいことであり、四国の自治体も早く風力発電の環境破壊に気づいて欲しいものだ。

(2001.7.26)



〜おしまい〜





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