恐怖の同時テロ

例によって幼稚園児の娘と一緒に早々に寝ていたら、家内が飛び込んできて叩き起こされる。浮気がバレて怒り狂っているようだ。いや、違う。何やら叫んでいる。「国際貿易センタービルやペンタゴンに飛行機が次々と飛び込んでいる！」ううむ。やっぱり、まだ寝ぼけているようだ。
と思いながら居間のテレビを見に行くと、信じられない映像が映っている。あのニューヨークの貿易センタービルが燃えている。しかも、旅客機が突っ込んできて。余りの事態に呆然としていると、次々と驚愕の事態が伝えられる。２棟あるビルの１棟づつに、連続で正確に旅客機が突っ込んできた。ほぼ同時に、ワシントン郊外のペンタゴンにも同様に飛行機が突っ込んできて炎上している。おまけに、他にもハイジャックされた飛行機が１０機程度あり、ピッツバーグ付近にも落ちているらしい。
これは、一体、何なんだ、と思考停止状態になってボーゼンとチャンネルサーフィンしていると、なんと、炎上していた貿易センタービルが崩壊していく。確かに、大型旅客機が突っ込んだ割には、ビル本体はびくともせずに、しっかりと立っていたので、さすがに超大型ビルだけあって、基本が堅牢に出来ているので、大型飛行機がぶつかっても大丈夫なんだ、と感心していたのだが、なんと２棟のビルが次々と崩れ落ちていく。もう、びっくりして声も出ない。
全身の鳥肌が立ってきた。まるで世界規模で核戦争が勃発したかのような恐怖だ。テロリスト側も、社会的アピールを狙っているだろうから、世界貿易センタービルやペンタゴンを狙ったのであって、この世界の片田舎の日本を攻撃なんかはしないだろうとは思いつつも、背筋が寒くなる。世界核戦争が起きれば、こんな恐怖を感じるんだろうなあ。
アメリカに長らく住んでいた僕としては、単なる野次馬根性では済まされない。本当に、怖い。何年か前に、同じ世界貿易センタービルで爆弾テロがあったとき、友人の銀行員が煙の中を延々と階段で非難したっていう話を聞いたけど、彼は大丈夫だろうか？

ところで、犯人は？と言うことになるが、てっきりアフガン系かと思ったら、ただちに否定声明が出た。パレスチナ関係では、犯行声明が出たという情報がある一方で、公式には否定声明が出ている。しかし、これだけ大規模なテロを、見事なまでに成功させた組織力と資金力を考えると、このどちらか以外には考えられない。もちろん、北朝鮮も能力的には可能だろうが、北朝鮮が現状で置かれている立場と政治的駆け引きを考えると、有り得ないだろう。これは今後の交渉を有利に進めるためではなく、信念としてアメリカを攻撃したとしか考えられないから、いずれにしてもイスラム系だろう。

何千年も前に住んでいたというだけの理由で、それ以降の何千年も住み続けていたパレスチナ人を追い出して勝手に国を作り、その後も、数限りないパレスチナ人を虫けらのように殺戮しまくっているイスラエルには非常に腹立たしく思っている僕としては、パレスチナ人のテロは心情的に応援したくなる一方で、アフガンの仏像破壊に象徴されるように、狂信的な傍若無人ぶりを示すイスラム教徒にも恐怖と嫌悪を感じる。そのため、パレスチナ問題は、どうなるのが好ましいのか、勝手に悩んでいるのだけど、ここまで恐ろしいテロを目の当たりにすると、それ以前に、心底、恐怖を感じてしまい、どっちが良いとか悪いとかじゃなくて、「怖いから止めて」と言いたくなる。

そう、お願いだから、こんな怖いことは止めて！

ところで、どうでもええ事ですけど、個人的な業務にも影響が出そうです。
今月中に６００万ドルを売らなければならないのですが、今日の東京市場では１円５０銭程度も円安となり、１０００万円程度も有利になったので、そろそろ売り時かな、とほくそ笑んでいたのですが、このテロで一気に３円程度もドル安となってしまい、一気に１５００万円ほどの損になりそう。明日、日本のマーケットが開き始める頃には、もっとドル安円高が進んでいれば、もっと大損になりそう。
さらに、今月中に２００数十億円の取引をアメリカの金融機関と行う予定でした。でも、ニューヨークの金融街が閉鎖になるみたいだから、この取引も取りやめになりそう。そうなると、代わりにヨーロッパの金融機関と取引をしなけりゃならなくなり、そうなると条件面での違いで、少なくとも数千万円の損を被りそうです。
がーん。

（２００１．９．１２）

〜おしまい〜

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