CDがコピーできなくなる!?

〜 或いはMDの復権 〜



私はMDが嫌いだ。
ま、嫌う必要は無いのだけど、存在する必要性の無い物をメーカーが売りまくっている姿勢に対して腹立たしい気持ちがあったって事です。

こういう物は他にも多く、例えば横長テレビなんて、腹が立ってくる。ハイビジョン対応とかなら許せるけど、単に普通の映像を無理矢理横長に(すなわち縦を短く圧縮して)映しているだけの横長テレビって、真実をゆがめているだけのシロモノ。人間はみんなお相撲さんのように太っちょになっちゃうし。インチ表示だって、同じインチなら、普通のテレビに比べてかなり小型になってしまうという詐欺のような計り方をしているし。白物家電が不振で困ってしまった家電メーカーが、なんとか消費者を騙して儲けようと企んだのは、企業努力として評価できなくもないけど、あまりにもえげつないよなあ。しかし、不思議な事に、それに騙されて買っている消費者の多いこと。信じられない。あななひずんだ画面で満足できるんかなあ。
さらに言えば、そもそもハイビジョンにしたって、存在価値はあるのか?そんなに必要性があるのか?もちろん、画像は非常にきれいになる。でも、今の画面でも、ちっとも不満は無いぞ。テレビで一体何を見るというのだ?これ以上きれいな画面で見たいっていう欲求があるのか?音楽にしても、アナログレコードからCDになったとき、確かに音質もよくなったけど、それよりも使い勝手が良いから普及したものであって、音質そのものはそれほどこだわってなかった消費者がほとんどではないか。音質のことを言い出せば、カセットテープなんてひどいもんだけど、そんなに不満はない。要はコンテンツであり、技術的なものは二の次だ。

ま、テレビの話は置いといて、なぜMDを持ってなかったのかには大きな理由がある。各種携帯音楽再生機の機能を比較してみよう。

@音質で比較すれば、なんと言ってもCDが一番良い。原データなんだから当たり前。アナログレコードからCDに変わったとき、頭が古くて新技術についていけない一部の音楽評論家が「アナログレコードの方がCDよりも柔らかで暖かみのある音が出る。CDの音は機械的で冷たい」なんて批判していたけど、それは大きな勘違い。確かにアナログの方が音が丸くなる。なぜならアナログレコードの場合、細かい部分が消えてしまっているから。CDはかなり細かい部分まで忠実に再現するから、柔らかみは無い。しかし、それは、あくまでも原音に忠実に再現した結果だ。つまり、CDの音が冷たい、って評論する奴は、生の演奏を聴いても同じ評価をするわけだ。「生の演奏は冷たくて機械的だけど、アナログレコードにすれば音が丸くなってよろしい」って言ってるのと同じ。これって、ちょっと変じゃない?丸く加工された音よりは、原音に忠実な方が存在価値があると思うけど。ま、こういう古い人種の中には、さらには「大昔のSPレコードはヴォーカルの中音域が強調されいて良かった」って言う人もたくさんいるから、まともに相手にする必要はない。単なるノスタルジーと、新技術についていけない自分の正当化と自己防衛だから。
(なんて書くと、僕はアナログレコードを切り捨てているようだけど、実際は、過去の膨大なレコードコレクションを死蔵させないために、最近も新しいレコードプレーヤーを買い換えたりしている。でも使い勝手が圧倒的に悪いので、パソコンに取り込んでデジタル化し、CDにコピーしている。元の音源がアナログだし、雑音も入るのでCDにしたところで音質は悪いのだけど、使い勝手はとっても良くなる)
とにかく音質の良いCDなんだけど、これをコピーすると、テープに録音する場合はデジタルからアナログになっちゃうし、テープ固有の雑音も入るので、テープの音質はかなり悪くなる。
それに比べればMP3やMDは一応デジタルだから、随分マシ。それでもCDに比べればデジタルデータを数分の一に圧縮しているから音質の劣化は免れない。ま、普通に聴いている分には、なかなか分かんないけどね。
それから、そもそも携帯CDプレーヤーだったら所有するCDをそのまま聴けるが、テープやMP3やMDで聴こうとするといちいち録音せんといかん。面倒くさいやないの。

ただし、A携帯するときCDプレーヤーは大きくて不便。それに音飛びもするし。カセットテープはCDプレーヤーに比べれば小さいし、音飛びは無いが、激しく揺れると回転ムラによる音のゆらぎが出てくる。駆動部があるから、どうしても避けられないよな。
それに比べてMP3プレーヤーは極めて小さいし、メモリーに録音されているから音飛びは有り得ない。MP3プレーヤーは携帯するには完璧だ。
これに比べると、MDプレーヤーは小さいとは言えMP3プレーヤーほどは小さくないし、音飛びもある。なんだか中途半端だ。
なぜそこまで携帯性にこだわるかと言えば、僕が携帯音楽再生機を使うのはランニングする時と通勤する時だからだ。ランニングする時に使うには、音飛びは極めて大きな問題になる。通勤はお天気次第で電車で行ったり自転車で行ったりしているが、そういう場合はCDプレーヤーでも全然問題ない。大きさだって許容範囲だし、音飛びもしない。でもランニングする時にはCDプレーヤーは大きすぎるし、音飛びと言うか、振動がひどすぎてそもそも再生できない。カセットテープだと音飛びは無くても音がゆらぐし、ランニング時に携帯するにはまだまだ大きい。その点、MP3プレーヤーは極めて優れている。非常に小さくて軽いので携帯している実感も無ければ音飛びも有り得ない。

それからB価格的にも、かつては高かったCDプレーヤーはかなり安くなってきているし、カセットプレーヤーは山盛りいくらで売っている。それに比べてMP3プレーヤーとMDプレーヤーはまだまだ高い。それでもMP3プレーヤーには携帯性で圧倒的に優れているが、MDプレーヤーは高いくせに機能が中途半端。

以上を表にまとめてみましょう。

携帯音楽再生機の機能比較

音質 携帯性(大きさ) 携帯性(音飛び) 価格
CD × ×
カセットテープ ×
MP3 ×
MD × ×


ってことで、最近までとてもMDを毛嫌いしていた僕なんだけど、最近、事態が急変してきた
音楽CDをパソコンでコピーできなくする動きが出てきたのだ。
以前はレンタルCDを借りてきてテープにダビングしていたが、パソコンにCD−Rが搭載され初めてすぐにパソコンを買い換え、それ以来は、CD−Rにコピーしている。ついでにパッケージなんかもスキャナでコピーしたりして、本物とうり二つの物を作り上げたりしている。最近は、そっくりなものを作る事自体に喜びを感じすぎてしまい、コピーした後はあんまり聴いていない本末転倒状態だけど。
しかし、ついにレコードメーカーが対策に乗り出したのだ。ここまでパソコンも普及し、CD−R機も安くなってきたら仕方ないわなあ。

従来はパソコンでもCDを再生できるようにしていたので、簡単にコピーも作れたけど、パソコンで読めなくするなんて簡単だろうから、レコードメーカーがコピー防止策を講じれば、素人ではパソコンでは読みとれなくなるだろうなあ。これまでもパソコンでは読めなかったプレイステーション等のゲーム機CD−ROMについてもコピーに命をかけているマニアがいるので、やり方はあるだろうけど、それなりの機器も必要だろうし。

そう言えば、昔、パソコンソフトがフロッピーディスクで供給されていた頃、大半のソフトはコピー防止が施されていた。それをいかにコピーするかは、僕らにとって大問題だった。色んなコピーソフトがあって、中には強力なものもあったなあ。(基本的には「内容を理解しながら読む」という方式を取るとコピーガードされちゃうので、「機械的に片っ端から無意味なデータとして読んでいく方式」のコピーソフトが強力だったような記憶があります)
ところが、今はソフトは全部CDで供給されているけど、何のコピー防止策も施されておらず、簡単にコピーできちゃうのは、なぜなんだろう。もちろん、ソフトウェアのコピーは犯罪であり、バレると損害賠償を請求されるけど、個人で使っている限り、バレる事なんてないだろうしなあ。

とにかく、音楽CDがパソコンでコピーできなくなると困る。そうなると昔々レンタルレコードでレコードを借りてきてテープにコピーしていたようにテープに落とすしかないのだけど、今さらテープも使いにくいし音質も劣化する。
てことで、ここでいよいよMDの登場じゃ。確かに携帯音楽機器としてのMDは中途半端で採用する気になれないけど、CDのコピーが作れなくなれば、テープよりはマシなので、コピー用にMDを活用するしかないかな、ってことです。なんか癪に障るけど仕方ない。音質や使い勝手はテープより良いもんな。ほとんど使ったことのないミニコンポのMDを活用するしかないなあ。
って事で最近初めてMDを買ったのですが、とっても安いのね。1枚100円くらいなのね。CD−Rも今どきは1枚5〜60円だから驚くこともないのだけど、カセットテープより安いくらい。知らなかった。

ところで、今、重大問題に気づいちゃった。音楽CDをコピーするにはCD−Rを諦めてMDにするとして、例えばMP3とかに変換する時はどうなるんだろう。通常はパソコンで変換するから、パソコンで読めなくしちゃうと変換できなくなっちゃうぞ。それから最近の音楽パソコンのようにハードディスクに音楽データを蓄積していって、ステレオじゃなくてパソコンで音楽を聴くっていう形態をとっている場合も困ってしまうぞ。
これらを解決するには、パソコンで読めなくするのじゃなく、読めるのは読めるけど、コピーできなくしちゃう、っていう方式になるかもしれない。もしそうなら、まだなんとか解決策が見つかるかも知れないなあ。

(2002.1.18)



〜おしまい〜





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