タバコの恐ろしさ

〜 呪いは続く 〜



私はタバコが嫌いだ。
私はタバコを吸う人が嫌いだ。
私はタバコを吸う女が、特に大嫌いだ。

タバコを吸うか吸わないかは、あくまでも個人の嗜好の問題だから他人がとやかくいう問題ではない。
私は酒が好きだ。生まれつきアルコールをあまり受け付けない体質なので大酒は飲まないが、1年365日のうち362日は酒を飲む。酒をやめて長生きするくらいなら、酒を飲み続けて早死にした方が人生は充実すると考えている。
しかし、酒は周囲の人に迷惑をかけない。(て事もないけどね)
私がタバコが嫌いなのは、煙を撒き散らして周囲の人が健康を害するからだ。他人が吸っているタバコの煙をかがされるほど気分の悪い事はない。吸うのなら、周りに人のいないところで吸って欲しい。

これだけ他人に迷惑をかけながら、しかも酒とは比べものにならないくらい自分の健康にも悪い。他人にも悪いけど自分にも悪い。特にスポーツする場合は最悪だ。マラソンランナーにもタバコを吸う人がいるんだけど、これはもう信じられない。まさに自殺行為だ。心臓が止まるぞ。
タバコを吸う人が嫌いなのは、これだけ悪いものをやめることのできない惰性が嫌いなのだ。コントロール力の無さが嫌いだ。

さらに、タバコを吸う女が嫌いなのは、これはもう生理的なものかもしれない。とにかく嫌いだ。クビを締めてやめさせてしまいたいほど嫌いだ。

私はタバコを吸っていた。もう20年以上前の話だ。かなり吸っていた。中毒になって習慣性で吸っていたわけでもなければ、ストレスが溜まって吸いまくっていた訳でもなく、単にタバコが美味しかったから吸っていただけだ。20年以上経った今でも、タバコの味は覚えている。あー、美味しかったなあ。ああーん、思い出しちゃう。
ところが、付き合っていた女性がタバコを吸い始めた。その頃から、自分が吸っているくせに女性がタバコを吸うのが許せなかった私は、「タバコなんかやめろ!」と彼女に言った。すると彼女は「自分も吸ってるくせに、偉そうに言わないでよ」と言ったのだ。正論だ。で、カッときた僕は「じゃあ、俺もやめるから、お前もやめろ!」と言ってしまい、二人で一緒に止めたのだった。中毒性でもなかったので、そんなに苦労することもなく止めることができた。
その女性とは、結局、その後、もっと深刻な理由によって別れてしまい、ほろ苦い青春時代の墓標となったのだけど、タバコを止めたという点については、良かったなと思う。

自分が以前、吸っていただけに、自分が吸う煙の美味しさを知っているだけに、周囲に撒き散らされる煙の気分の悪さに苛立つ。自分が止めたのに平気で吸っている人が悔しい、という意味ではなく、タバコ本来の煙は美味しいのに、周囲に撒き散らされる煙が余りにもまずいのだ。なんでやろ。
また、自分が吸っていた頃は、辺り構わず吸い殻を撒き散らしていたが、今、そのマナーの悪さが目に付く。自分が吸っていた頃は、歩きながらも平気で吸っていたが、同じく、今、そのマナーの悪さに腹が立つ。これは、自己中心的で自分勝手な僕としては、当たり前の感情ですね。
それから、自分が簡単にやめただけに、止めようと思いつつ、止められなくていつまでも吸い続けている奴を軽蔑したくなる。これも独善的ですが。
さらに、自分だけでなく胎児への悪影響なども考えれば、タバコを吸う女性への嫌悪感はますます高まる。これは、どう考えても理性的ではないが、嫌いなもんは嫌いじゃ。
タバコのポイ捨てには罰金10万円とか、周りに人が居る所では一切禁煙とか、タバコ1本に税金100円とかの過激な政策を期待したいくらいだ。

しかし、それにしてもタバコは恐ろしい
実は、つい先日もタバコを吸っている夢を見たのだ。
タバコを止めてしばらくは、しょっちゅう夢を見ていた。たいていは、遂に我慢できなくなって吸ってしまい、「しまった!」と後悔している夢だ。その夢の頻度はだんだん少なくなり、1ヶ月に1度くらいだったのが、1年に1度くらいになったが、それでもなかなか終わることなく、最近まで続いていた。それがこの2〜3年、見なくなり、「遂に僕もタバコの呪いから解放されたか」とホッとしていたら、なんと、久しぶりに見てしまったのだ。別に何かあった訳でもないんだけど、突然夢に見てしまうタバコって、20年以上も経ったのに本当に怖いなあと思いました。ぶるぶる。

(2002.9.15)



〜おしまい〜





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