ゴールデンウィークの闘い

〜 考えが甘かった! 〜



生まれてこのかた、およそ「努力」とか「苦労」という概念に全く縁の無い、実にいい加減で適当な、その場限りの「浮き草人生」を歩んできたわたくしは、基本的に考えが甘い敢えて「救い」と言えば、「自分が甘い」って事を自覚していることくらいか。しかし、その自覚の度合いは、やはり低いということが分かった。

何を言うてるか、といえば、先日のゴールデンウィークのお出かけである。
そもそも、ゴールデンウィークなんて、どこへ行っても無茶苦茶混んでるので、本来的にどこへもお出かけしない主義だった。「どこそこへ行こうとして、高速道路の渋滞に巻き込まれてしまい、夜中になっても着かなかった」とかいう体験談を聞くたびに、ますます信念は強くなり、死んでもゴールデンウィーク中は家でゴロゴロする主義にしていた。

なのですが、下の子もだいぶ大きくなってきて(ただいま小学2年生)、どこへも行かないっていうのも寂しそうなので、ついフラフラと「今年はユニバーサルスタジオでも行こうかいな」って考えたのでした。
実は、最初は「海遊館へ行こう」と提案しました。まだ行ったことないし、オープンして10年以上も経つので、もうガラガラだろうと思ったのです。しかし、子供は「ユニバーサルスタジオの方がいいっ!」って言うので、あっさりと方針転換。
僕自身は、ユニバーサルスタジオがオープンした一昨年の暮れ、一度行った事があります。その時は、人気アトラクションに入るには1時間程度の待ちが必要だったとは言え、1日かければなんとか全部見て回る事ができました。ゴールデンウィークとなると、もっと人が多そうな気もしますが、一方で、最近、ユニバーサルスタジオの評判はとても悪い。火薬を使い過ぎたとか、飲料水にばい菌が多いとかで、やたらと役所から摘発されているし、1回行けば十分と言うことでリピーターが少なく、来客者数は減る一方とかなので、ま、ゴールデンウィークでも、そんなにすごくは無いだろう、なんて思ったのです。

ただし、「自分が甘い」っていう自覚はあるので、そうは言っても、さすがゴールデンウィークだから、できるだけ早く行った方がいいだろう、とは思ったのです。開園は9時なんだけど、9時に行ったのでは遅いやろ、と考え、「1時間前には行かんといかんな」と考えた。しかし、新幹線とか高速船とかバスとかの公共交通機関を使って、小さい子供を連れて8時までに行こうとすると、かなり厳しい。なので、ここは車で行くことにした。昨年の夏休みに、関西国際空港から南の島へ行った時も、他の交通機関では適当な時間に着けなかったので車で行ったけど、その経験から言えば、大赤字の本四連絡橋と高速道路のおかげで、極めて簡単に短時間で行ける事が分かっているので、車で行くことにためらいは無い。

ゴールデンウィーク中なんで、「高速道路も大渋滞で身動きが取れなくなるのでは」っていう意見も家族の一部から出ましたが、早朝だし、それは無いな、と思って、適当な時間に出発しましたが、案の定、大阪から出る方は、まだ少し渋滞があったけど、大阪に入る道路は全然混んでいない。
て事で、順調に8時頃にはUSJに着きました。さすがに入り口に近い第1駐車場とかは満杯になってたけど、第5駐車場まであるうちの第3駐車場には入れたので、なんとか作戦どおり、うまくいった。「甘い自分たちにしては、首尾良くいったわい。くっくっく」てな感じでした。ここまでは。

で、車内で熟睡している子供らを叩き起こして朝食を食べ、ゆっくりとチケット売り場へ向かうと、人が溢れていて、「あれれ、これはどうなってるのかなあ〜?」って感じで全体像を把握すると、なんとチケットを買おうとする人の列が何百メートルも続いている。もちろん、1列に並んでいる訳ではなく、だんご状態でその長さだから、ものすごい人の数。しかも、その列がほとんど動かない状態。
せっかく車を停める事ができたと言うのに、電車で来てる人が圧倒的に多いらしくて、どうしようもない状態。考えたら当たり前で、ユニバーサルスタジオなんて、関西圏の人は電車で来るだろうから、駐車場に停まっているのは、中四国、九州や中部、東海、北陸の車ばかり。

とにかく、どう見ても、そのまま列に並んだところで、チケットを入手できた頃にはお昼になりそうな感じ。「もうちょっと早く来れば良かったかなあ。せめて、あと1時間早かったら、スッと入れてたかも」なんて愚痴りながらも、実は既に頭を切り換える。一昨年に一度来ている僕の本音としては「一度来れば十分のユニバーサルスタジオに再度入園するくらいなら、まだ行ったことのない海遊館の方がいいかも。そもそも、当初考えていたプランだし」てな具合で、「よし!ここでウジウジしていたってどうにもならん。ここはあっさり退却して海遊館へ行こう!」と力強く宣言する。
家族は、と言えば、少なくとも、ユニバーサルスタジオを退却する事に関しては、拍子抜けするほどあっさりと同意する。家内はアメリカに居た頃に本場のユニバーサルスタジオへ行ったことがあるし、下の子は、最初から、本当は、あんまり良く分かっていない。上の子は、実は、本音は他にあるらしいし。

てな相談をしていると、とどめのアナウンスが。「ただいまから入場制限をします。チケットの販売を中止します。入場再開の目途は夕方5時です」ななな、なーんと、今から並んで入れるのは夕方となっ!
僕たちは、「これから並ぼうか、どうしようか」なんて状況だったので、あっさりと吹っ切れたんですが、それまでに、たぶん、1時間以上は並んでいると思われる人々は、一体、どうするんでしょうねえ。あと、もう少しでチケット売り場じゃ、なんて喜んでいた列の最前列の人々は、暴動が起きますぜ。そこまで列が並ぶ前に警告してくれたらええのに、と思います。
最初は「あと1時間早く来れば入れただろうになあ」なんて悔しがった僕ですが、ここまでくると「むしろ、遅く来て入れなかった方がラッキーだった」って思います。一昨年に来た時は、12月のとっても寒くて客が少なかった時だったけど、入り口は全然待たずにスッと入れたのに、それでも中では人気アトラクションは1時間くらいずつ待ったから、入園するのに何時間もかかるような、こんな日には、人気アトラクションは5時間くらい待たんといかんかったのでは。1時間早く来て入園できたとしても、1日かかってもせいぜい2つか3つしかアトラクションに入れなかったのでは。

駐車場へ戻ると、既に駐車場も満杯で、入り口に車が延々と並んでいる。その車に向かって係員が「駐車場はいっぱいです。それよりなにより、今は入場制限しとるんで、入れませんぜ。待っても無駄でっせ!」なんてスピーカーでどなっている。
しかし、そもそも車で来てるんは遠方の人ばっか。遠方から来て、入る直前で「待った」をかけられたって、もう、どないもこないも、しようがおへんで。
っちゅうことで、いつまで経っても車の列は無くならないのです。その列にしたって、前の方の車は、係員の声が聞こえるから事情は分かるけど、後ろの方に、あとからあとから並んでくる車は「いつまで経っても全然動かんけど、一体、どないなっとんや!」って怒り爆発やろうなあ。

ま、そういう車を横目で見ながら、「今頃来るなんて、僕らよりも甘いなあ」なんて、せせら笑いましたが、自分たちの未来も決して明るい訳ではない。取りあえず、駐車場を確保している点が違うだけ。
で、車の中から海遊館に電話してみる。すると「もうすぐ駐車場がいっぱいになるきん、来るんやったら、早よこんといかんで」と言われる。しかも、その駐車場とは、かなり離れたとこにある臨時駐車場らしい。つまり、もう誰にも相手にされなくなってガラガラ状態やと思った海遊館でさえ、本日はいっぱいらしい。むむむ。
「おいっ!あの海遊館でさえ、急がんと入れなくなるぞ。急ごう!」って言ったところ、上の子供が「海遊館行くんやったら、吉本新喜劇に行きたい」などと言い出す。なんやてえ!確かに吉本は面白いけど、ゴールデンウィークにわざわざ家族揃って車で出かけてきて行く場所でもないよなあ。でも、取りあえず吉本にも電話する。すると「今やったら、3時の公演なら2階席がちびっとだけある。けど、当日やから電話予約はいかんで。直接買いに来てな」と言われる。今やったらあるかもしれんけど、現地まで買いに行ったんでは、売り切れる可能性があるなあ、とも思ったけど、取りあえずチャレンジすることにする。

吉本へ行くにしても、或いは、海遊館へ行くにしても、駐車場を確保するのが危ないかもしれんし、取りあえず車はユニバーサルスタジオの駐車場に置いたまま、吉本へ電車に乗って出かける。しかし、甘い僕ちゃんでも予想できたとおり、吉本へ到着すると、3時からのチケットは、既に売り切れ。やっぱりのう。でも、それでも、6時45分からの最終公演のチケットが、2階席やけど、ちびっとだけ残っとりまして、それをとにかく買い占める。

で、それまで、ものすごく時間があるので、やっぱり海遊館へ向かう。
ところが、海遊館へ行ってびっくり。なんと、こななところでさえ、入るのに1時間待ちやあっ!!!があ〜ん。もうすっかり寂れていると思ったのに、ゴールデンウィークだけは例外らしい。ユニバーサルスタジオに入れなくて流れてきた人も多いだろうなあ。
炎天下、1時間も並ぶ元気も無いので、取りあえず昼食を取る事にする。朝から、何の実績も無いまま、既にお昼になっていたのだ。できるだけ時間をかけて、ゆっくり昼食を取って、さらにアイスクリームをなめながら再び列に並ぶと、今度は30分くらいで入場できました。少しは良かった。
でも、中はもちろん満員電車状態で、なかなかゆっくり見れません。下の娘は、どんなに混んでいるコーナーでも、子供であることを良いことに、むちゃくちゃ図々しく割り込んでいって、いつも一番前でかぶりついていました。結構、生命力あるやんか。後の3人はぐったりとついて行くのみ。2時間くらいおったら、完全に疲れ果てました。

それから再び難波へ。まだ少し早かったけど、終わってからでは遅くなるので夕食をたらふく食いだめしてから吉本へ。座席は2階席ながら、まあまあマシな席だったし、とっても面白かったので、一応、満足。でも終わったら9時半頃。
そっからUSJに引き返したら10時過ぎ。普段なら7時に閉まるUSJなので、駐車場へも入れなくなるのですが、連休中なので10時までやっていて、そのおかげで駐車場の門も、まだ開いていたのでした。良かった。
しかし、ちょうど閉園時間と重なったので、車を出して、近くの高速道路のインターに乗り込むまでに、またまたものすごく時間がかかる。高速道路を走り始めたのは12時頃やったかなあ。
それから車を飛ばして最終的に家に着いたのは夜中の2時を過ぎてました。

実は、2週間前から風邪気味だったのですが、なんとか重症に至らずに耐えていたのに、このユニバーサルスタジオ日帰り強行ツアー(って、ユニバーサルスタジオには行けてないけど)のおかげで、一気に疲労困憊し、風邪がものすごく悪化してしまい、翌日から死んでいる私でした。

やっぱり、僕って甘いのね。

(2003.5.11)



〜おしまい〜





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