星野監督の辞任

〜 辞めないでーっ! 〜


この10年間で、最下位が6回、5位が1回、4位が3回という信じられないような輝かしい記録を打ち立てた阪神タイガースを、18年振りという奇跡の優勝に導いた偉大なる星野監督が、今期限りで引退するらしい。
ひえ〜っ!びっくり!!
今日から始まる日本シリーズの指揮はとるけど、それを最後に辞めてしまうらしい。

持病の高血圧や不整脈など健康面の不安が最大の理由とされているが、ほんまかーっ!?って感じ。いったい、どうしたんだろう。何があったんだろう。ほんまに健康面の不安だけが理由なんだろうか?
確かに、星野監督が健康面で不安を抱えていたのは事実で、高血圧、不整脈、糖尿病など色々あるらしい。今季も7月27日のナゴヤドームでの中日戦の試合途中にベンチ裏で嘔吐し、一回裏から五回表までベンチを離れてトレーナー室で静養するアクシデントがあった。

巨人の原監督が辞任を表明した際に「せっかくの若い芽を摘んで、野球界はどうなっていくんや」と怒り狂っていたけど、これなんか、自分が体力のギリギリでやっているのに、体力・気力ともに元気な若い監督を無理矢理辞めさせる球団に対して怒っていたんだろうなあ。

また、数年前に奥さんを亡くしたうえ、今年もリーグ優勝の2日前にお母さんが亡くなったけど、大事な時期だったので伏せていた、など、精神的にも負担は大きかったと思う。なんちゅうても、どんなに弱くてもファンが離れない異常な人気球団なので、外からの雑音は非常に大きいだろうし、プレッシャーはものすごいもんがあるだろう。

しかし、本当に健康面とかだけが理由なんかなあ。まさか、とんでもないような陰謀が渦巻いてたりしてないだろうなあ。まさか、某常勝球団からの魔の手が伸びてきて、「来年も活躍すると、母親の次は今度はお前の命をもらうぞ」なんていうような脅迫があったとか。あるいは逆に、某常勝球団の監督に転身するとか。まさかまさか、それだけは無い事を祈っているけど。

ちょっと前から、「初の日本一監督になって勇退し、来季はゼネラルマネジャーとして常勝阪神作りに取り組むのでは」という電撃勇退説は根強く流れていた。でも、まさか、本当にそんな事になるとは思ってなかった。
僅か2年であっさりと優勝してしまったのが良くなかったのかもしれない。今季も優勝できなかったら、たぶん来年もやったろうなあ。でも、やっぱり、優勝はして良かったもんなあ。

この素晴らしい情熱家が、せっかく阪神タイガースの身内になってくれたんだから、このまま去っていくのはもったいない。ヘタに人気があるだけに万年最下位チームでも安住してしまい、ぬるま湯の泥沼化していた阪神を建て直した圧倒的な存在感を失うのは、なんとも惜しい。特に、現役時代から闘争心を前面に出した巨人キラーとしての心意気が阪神タイガースには絶対に必要なんだ。
監督を辞めたあともゼネラル・マネジャー(GM)として残留する可能性もあるらしいので、100%がっかりって訳ではないけど、本当かどうか分からないし、それに、やっぱり監督とGMじゃあ全然違うよなあ。

今期の奇跡の優勝は、4位に終わった去年の敗因を冷静に分析した上で戦力の大幅再整備を実行した事が基本だった。事実上のGMとして、広島の主砲だった金本や、米大リーグで活躍した伊良部らの獲得に成功し、チーム全体に大きな刺激を与えた。その一方で今岡、赤星、井川など生え抜き選手を、目先の結果にとらわれずにそれぞれの持ち味を生かして使い、確かな戦力に育て上げた。
その意味では、GMとして残ってくれれば、同じような事はやれるだろう。巨人がGM制度を導入しようとして、渡辺オーナーの肝いりで野球に全くど素人の三山代表を就任させたのが大混乱となって、原監督が辞任に追い込んでしまったのと対照的な成功事例となるだろう。
しかし、星野監督の手腕は、戦力の補強や育成だけではなく、「グラウンドで起きたことの全責任を監督が負う」という強力な牽引力が、万年Bクラスのチーム意識を変え、選手に自信を植え付けた事が大きい。それはGMにできることではなく、監督として選手と共に戦わなくては発揮できない力だ。

星野監督の後任には岡田が確実視されている。確かに、生え抜き選手で、そこそこまともな奴って事になると、岡田くらいしかおらんのかもしれんけど、岡田じゃなあ。いまさら田淵くんじゃあダメだし、掛布くんも岡田と同じようなもんだろうけど、技術うんぬんの話ではなく、性格の問題として不安が残る。なぜ、この17年間優勝できなかったのか、を考えれば、明らかに、人気に甘えたぬるま湯体質にあった訳で、それを立て直したのが熱血星野監督だった訳で、その役割を果たすのは、岡田のぼんでは無理じゃないかなあ。戦力的には、今期の立て直しで十分なものとなり、来期もこのまま突っ走れる体勢だけど、精神力が持つかどうか非常に不安だ。岡田のぼんではなあ。

なんとか星野監督の気が変わってくれんかなあ。日本シリーズで優勝なんかしたら、もうこれは絶対に辞めそうだから、ここは屈辱の4連敗でもして、再び闘争心が燃えさかり、日本一になるまでは辞めない、って事にならんかなあ。

(2003.10.18)



〜おしまい〜





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