環境省の風力発電規制

〜 景観破壊の風力発電にストップを! 〜



先日、環境省が、「建造物の設置が制限されている国立・国定公園内でも、一定の基準を満たす場合は風力発電施設の設置を認める」という基本方針を明らかにした。
これは、風力発電業者が「国立・国定公園内に90万kW以上の発電施設の建設が可能だ」として、規制の緩和を要望していたのを受けたものだ。数万kW以上の大規模発電を行うには、風環境に優れた山岳地域や海岸に高さ100m級の大型風車を並べて建てる必要があるからだ。政府としても、地球温暖化対策推進大綱に、2002年度末に46万kWの風力発電を、2010年度までに300万kWに引き上げる導入目標を掲げていることから、ある程度の規制緩和を迫られていた。

この問題は、風力発電による環境破壊を強く訴えてきた僕にとっては、誠にゆゆしき問題であり、非常に危機感を持っている。
僕は百害あって一利無しの風力発電が大嫌いだ。「風力発電は環境に優しい」などという脳天気な勘違いをしているバカが大勢いるため、全国の過疎地で醜悪な風車がニョキニョキと増殖しているが、本当に見苦しい。日本に美しい自然が残されている数少ない地方に、醜悪な風車が忽然と立ち並び、景観が台無しだ。この美的感覚の欠如ぶりは中国人に匹敵する。(中国の環境破壊と景観破壊は想像を絶しますぜ)
それに風車は醜悪なだけでなく、ものすごい騒音がするし、電波障害もひどい。ここまで環境を破壊し尽くすくせに、風力発電の発電効果はバカバカしいほど微力である。発電できるのは風まかせで、本当に電気が必要な時には止まったままで、不要な時にガンガン回ったりする。おまけに、時には火を吹きながら回ったりするんだぜ
このように風力発電の害は山ほどあるが、やはり何と言っても最悪なのは景観破壊だ。そして、風力発電による景観破壊に歯止めをかける唯一の規制が、国立・国定公園内の建造物の規制なのだ。そして、その規制が緩和されたりすると、最後の砦である国立・国定公園内に醜悪な風力発電機がニョキニョキ立ってしまうのだ。

ただし、今回、明らかになった方針は、それほど危機的状況ではないようだ。と言うか、風力発電の醜悪な増殖をなんとか食い止められるかも知れない
環境省の検討会の議論を見ると、「環境に優しいエネルギーとはいえ、人工物に変わりない」など慎重論が強く、山あいの目立たない場所などには認めるものの、景観を損なう尾根は山頂付近に建設することは容認できないとの意見が大勢を占めた。
その結果、明らかになった環境省の方針では、
@ 国立公園特別保護区や野生生物の重要生息地は、建設対象から除外する。
A それ以外の地域でも、
  ・公益性や立地の必然性が極めて高い場合に限る
  ・山の尾根筋など、景観を乱す場所は避ける
  ・野生生物の生息環境に著しい影響を与えない
  ・建設後の環境影響調査を義務付ける

など、かなり厳しい内容になっており、これなら日本の美しい山々に無秩序に醜悪な風力発電機が乱立することは無いかもしれないと期待できる。
まず、山の尾根に建設することを禁じたため、あまり目に付く場所には建てられなくなった。これは非常に喜ばしい。仮に建ったとしても目立たない場所に限られるのなら、随分マシだ。
また公益性や立地の必然性が極めて高い場合に限る、とされたのも有効だ。一体、どこの世界に、風力発電などという百害有って一利無しの醜悪物に必然性があるもんか。
また、野生生物の生息環境に影響を与えないってのも、いざとなれば環境破壊を阻止する訴訟の手段として使えるかもしれない。

これまで環境省と言えば、気候変動枠組み条約の京都議定書(日本が一方的に不平等に不利になる一方で、CO2を大量に発生している中国なんかが不参加なため、地球全体で見れば効果が乏しい)を強引に進めようとピントはずれのバカ政策を企てたり、腹立つことばかりやってきたが、今回の方針は、なんとか良識を示してくれたと言えよう。

これに対し、当然、業界団体の風力発電事業者懇話会や、風力発電で町おこしを進める地方自治体の風力発電推進市町村全国協議会は、「実質的に風車設置を禁じる内容」と反発している。そらそうだ。文字通り、実質的に風力発電機の建設を禁じる内容なんだから。
「温暖化抑制や地域経済への配慮に欠ける審査基準を緩和してほしい」なんて言っているが、これはおかしい。地球温暖化抑制に最も有効なのは、環境負荷が圧倒的に少ない原子力発電だ。原子力発電に比べれば、風力の環境破壊は著しく大きい。また、「地域経済のためなら環境を破壊してもいい」なんて発想が今どきあること自体が理解不能だ。まるで高度成長期にある中国のような発想だ。

風力発電による環境破壊問題に対して、マスコミの態度は犯罪的だった。役立たずな上に危険な風力発電なのに、頭の悪いマスコミは、環境保護派と言われている知識の乏しい感情だけに流されているヒステリー集団の尻馬に乗って、「風力発電は環境に優しいから原子力発電の替わりに推進しよう」なんて言ってきたからだ。だから、風力発電による環境破壊なんて、全く無視してきたのだ。
しかし、さすがに、今回の環境省の方針は無視できないだろう。だって、環境省が打ち出した方針は環境を守るためのものなんだから。いくらマスコミがバカだからって、環境破壊を推進しようとする業者の肩を一方的に持つのは無理だろう。

(2004.1.21)



〜おしまい〜





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