学歴詐称事件

〜 セコい話だなあ 〜



世間も国会も、民主党の古賀潤一郎衆院議員学歴詐称問題で大騒ぎしている。他に真剣に議論すべき問題が山積しているというのに、ほんまにバカらしい。世間も国会も、こななアホな問題に時間を割いている余裕は無いと思うのだが。
とか何とか言いながら、僕も貴重な時間を割いちゃう。アメリカに留学していた者の一人として、言いたいことがある。(ああ〜、またまた睡眠時間が少なくなるぅ)

まず最初に断っておきたい事は、真面目に議論するに値しない、ほんとに些細なしょうもない事件だということ。選挙における候補者の学歴って、どれほどの価値があるんだろう?有権者の判断は、候補者の学歴でどれくらい左右されるのだろう?って事を考えると、直接的には、それほど大きな影響は無いような気がします。だから、バカ騒ぎするような事件ではないと思うんだけど。早い話、そんなんどうでもええやんか、って気もする。
そうでもないんだろうか。学歴なんかを気にして投票する人も多いのだろうか。でも、それにしても、マスコミも国会も、こなな下らない事に騒ぎすぎでないかい?

ま、それは置いといて、この古賀議員の行動について理解に苦しむのは、もっと有名な大学の卒業を詐称するのなら分かるけど、こななペパーダイン大学だなんて聞いたこともないような大学の卒業を詐称したって何の役に立つのかなあ、って事です。もちろん、卒業はしてないものの、4年間通学した大学だから、そのまま詐称したんでしょうけど、どうせこなな聞いたこともないような大学なら「中退した」と言おうが「卒業した」と言おうが、何の変わりもない。敢えて「卒業した」なんて言う必要なんて無かったと思うのだけど。
僕もアメリカの西海岸に留学していたけど(ちゃんと卒業したよ)、ペパーダイン大学なんて、本当に聞いたことも無かった。一体どんな大学なんだ?と思って調べてみれば、授業料がやけに高いボンボン大学らしい。はっきり言って、卒業したからと言ってハクが付くような大学ではない。もちろん、何にも知らない有権者のおばちゃんが「うわ、すごっ。何やら知らんけど、アメリカの大学出とるで!」って感動する可能性はある。しかし、それだけで投票するかなあ。
どうせ嘘つくんなら、誰でも知っているハーバードとかスタンフォードとかにすれば良いような気もしますが、逆に、そのような有名大学だと、日本人留学生もいっぱいいるから、すぐ嘘がバレちゃうのかも。ペパーダイン大学なんかだと、わざわざ日本から留学する人間は皆無だろうから、ばれないって思ったのかも。そなな大学の事なら、まさかマスコミも、わざわざ大学に問い合わせてまで卒業したかどうかチェックするとは思ってなかったのかも。確かに、マスコミなのか選挙区のライバル山崎拓なのか知りませんが、よくもまあ、そななどうでもええ事を調べ上げたもんだわい。

とにかく、普通に考えれば何の価値もないような学歴だけど、古賀議員が経歴に箔を付けようと効果を狙っていたのは明白だ。それは彼のホームページの見れば一目瞭然だ。彼は自分の経歴として、
  ・ 警固中学校
  ・ 柳川高等学校(旧柳川商業高等学校)
  ・ U.C.L.A.(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
  ・ C.S.C.B.(カリフォルニア州立大学ベーカースフィールド校)
  ・ Pepperdine Univ.(ペパーダイン大学)

  ・ VIA MARINA WEST INC.(株ヴィア・マリナ・ウエスト)
  ・ 海外在住15年
なんて書いている。アメリカの大学が3つ並んでいるが、どこにも「卒業」とは書いてないので、ホームページでは学歴詐称はしていない。しかし、最後に「海外在住15年」なんて嬉しそうに書いているところを見ると、海外留学や海外生活が長いことを自慢にしているのは明らかだ。今回の「卒業詐称」事件も、この勢いが余ったってところか。

しかし、卒業してないのなら、3つも大学の名前を並べたって、何の突っ張りにもならないぞ。アメリカの大学は日本の大学と違って、真面目に勉強しないと卒業は必ずしも簡単ではないが、入学するのはとても簡単だ。もちろん、一流大学はそれなりに難しいところもあるが、大半の大学はとても簡単だ。UCLAなんかでも、とても有名な大学だが、州立の公立大学なので入るのは非常に簡単だ。州内の高校を出ていれば誰でも入れる、みたいなノリだ。
じゃあ、実際に誰でも行くのか、と言えば、そんなことはない。まず、真面目に勉強しなけりゃ卒業できないから、真面目に勉強するのが嫌な人間はいかない。誰でも入れる事はみんな知っているから、卒業できなければ、入学する事自体には何の価値も無いのよ。
さらに、アメリカの大学は、どの分野にしても、一般的に大学院を出ていないと、あまり役に立たない。例えば弁護士は大学院であるロースクールを出ていないと資格が無い。て言うか、学部レベルでは日本の大学のような法学部は無い。ビジネスにしても、大学院であるビジネススクールを出ていないと、誰も相手にしてくれない。日本では、理系はともかく、文系の人は、大学院を出た人は少ないが、アメリカの有名な人の経歴を見ると、大半の人が大学院を出ている。で、これら大学院への入学は簡単なのか、と言えば、これは難しい。ただし、大学院は、みんな優秀でやる気満々の学生が集まっているし、学費も高いので、入学した学生の大半が卒業する。
要約すれば、
 ●アメリカの大学は、有名大学を含めて、学部レベルでは入学は非常に簡単だ。
  卒業は入学に比べれば難しいが、すごく難しい訳ではない。
 ●一方、大学院レベルは入学も卒業も難しい。
  その代わり、良い大学院を出ていれば、高く評価される。

逆に言えば、有名大学でも、学部レベルの卒業だけでは、それほど評価はされない。ましてや、ペパーダイン大学だなんて無名大学なら、卒業したとしても、あんまり価値はない。ましてやましてや、入学はしたけれど卒業はしていない、なんて奴は何の価値もない。100%価値が無い。
だけど、地元のおばちゃんが感動してくれるのなら、選挙で詐称する理由にはなる。

と、ここまでは予備知識だ。これからが本論。
古賀議員は、議員を辞職せず民主党を離党して議員活動を継続すると言う。これには、びっくり。「そうか、その手があったのか」と一瞬思ったけど、そなな姑息な手が通用するかなあ。「有権者に支援を頂くならば、政治活動で報いるために衆院議員を継続させていただきたい」なんて全く意味不明の訳の分からない事を言ってましたが、こいつ自分でしゃべっている言葉の意味を理解しているのかなあ。党を離れて、これから先、一体何をどうやるんだろう。まあ、相手が山崎拓なので、選挙には勝てるかも知れないけど。
まあ、それは勝手だけど、議員を辞めない理由として「故意にやった事ではない」からだ、としている。しかし、これは大いに疑問だ。て言うか、これは絶対に嘘だ
自分が大学を卒業したかどうか知らない人っている?あり得ますか?存在しますか?
仮に、何かの勘違いで実は1単位足りなかった、なんて事はあり得るかもしれない。もちろん、それにしたって本人が知らないってことはあり得ないと思うが、100%無いとも言い切れない。しかし、こいつの場合、なんと19単位も足りなかったそうだ。わざわざバカみたいに恥の上塗りでアメリカまでノコノコ出かけていって、大学の事務局から「あんた19単位も足りませんぜ」って言われているのだ。そんなに足りなくて、卒業したと勘違いするって事、あり得る?どういう勘違いだ?ほんの1ヶ月くらいの夏休みに語学留学したんじゃなくて、15年も海外在住した人(これも本当かどうかは不明)が、そんなとんでもない勘違いなんかする?
それから、勘違いした原因として、「現地の弁護士任せで卒業が可能と認識していた」なんて、これまた全く意味不明の言い訳をしているが、一体どういう事?って感じ。プロ野球の契約更改じゃあるまいし、たかがペパーダイン大学なんてところを卒業するのに、なんで弁護士が出てくるの?まさか、英語がまるで分からずに、卒業の仕方が分からなかった、なんて事はないでしょう?4年間も通学したんだから。それとも4年間通学していたのは代理の弁護士だったのか!?
僕が卒業した時は、みんなマント着て帽子被って、うやうやしく卒業式に出ました。そらそうやろ。苦労して留学して卒業したんやから、普通、卒業式に出て喜び合うよなあ。それを弁護士に任せていて勘違いしたなんて、あり得ないぞ。しかも「弁護士の名前とかは覚えていない」だなんて、あまりにもヘタな嘘やなあ。

彼の言葉を信じられない理由は他にもある。マスコミでも問題になっていたが、U.C.L.A.の名前がホームページにも書かれているが、大学の記録には彼の名前が一切無いってことだ。一時、「いや、これは、C.S.U.L.A.(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)の間違いだった」と訂正しておきながら、C.S.U.L.A.からも「そななおっさんの名前は記録に無いで」と言われて、再びU.C.L.A.に戻したあげく、「これは公開講座に出ただけなので記録には残っていないかもしれない」なんて居直っている。
そもそも、公開講座に出ただけで学歴に書くか?普通そんな事しますか?公開講座なんて、よく市民ホールでやっている夏季市民大学講座みたいなもんで、その辺のおばちゃんでも誰でも聞きに行けるぞ。それって「学歴」か?

また、同じようにC.S.C.B.(カリフォルニア州立大学ベーカースフィールド校)っていう記載もあるけど、この大学からも「そんなおっさん知りまへんで」と、あっさり否定されている。この大学だって、そんな大した大学ではないけど、そんなところの名前まで詐称して否定されるなんて、ほんとに赤っ恥もいいところです。
そもそもC.S.C.B.は、今はC.S.U.B.(California State University of Bakersfield)という名前で、C.S.C.B.(California State College of Bakersfield)という古い名前だったのは古賀議員が子供の頃だ。もし本当に古賀議員が通学したのなら、間違える事は無いと思うのだが。

このように、彼の留学歴は嘘で塗り固められているので、「弁護士に任せていて勘違いした」なんていう言い訳は100%嘘です。断言しましょう!
そして問題は、「公選法に抵触するかどうか」とか、「そなな大学も卒業できないほど頭が悪いのか」なんていう事ではなく、選挙に勝つためなら、そういう嘘を平気でつきまくる、という人間性の問題。山崎拓の女性スキャンダルを追求して当選した古賀議員だが、こいつの方がタチが悪いんと違うか?(て言うか、僕は山崎拓は、政治家としてそんなに悪いことをしたとも思えないんだけどなあ。有権者を騙した訳でもなく、あくまでもプライベートなゴタゴタなんだから)
古賀議員は、山崎拓の対抗馬として、テニスのうまいスポーツマンで海外経験も豊富な好青年、ってイメージで売りまくっていたが、よおく考えてみましょう。金さえ出せば誰でも入れるようなアメリカの片田舎の大学に、わざわざ日本の片田舎から留学する学生って、一体どういう人だろう。普通に考えれば、日本の大学に行けなかったので、誤魔化すために、アメリカに行って、大学卒、しかも留学という肩書きを手に入れるために高い授業料を払って入学した、ってところでしょう。僕の知人にも同じような事をした金持ちの息子がいます。金さえ払えば誰でも行ける大学でも、何も知らない地元のおばちゃんは「うわ、すご。あそこの息子さん、アメリカに留学したんやって!」なんて、実際に感動してました。
僕がアメリカに留学していた頃も、語学留学と称して、わざわざアメリカにまで来て、日本人しかいないような語学学校で時間を浪費している若者がわんさかおりました。古賀議員が通学していたのは、誰でも行けるとは言え、アメリカ人学生が大半の大学だから、そんなんよりは遙かにマシとは思う。でも、4年間も通学して、19単位も足りなくて卒業できなかっただなんて、一体なにしてたんやろ。テニスばっかりしよったんかいな。
それにしても、大学も卒業できずに、そのまま海外在住15年だなんて、一体何をしよったんかなあ。怪しすぎます。

さらに、留学時にテニス大会で優勝した、という経歴についても、疑惑が生じているらしい。まさかテニスも弁護士が代理でやったんと違うやろなあ?
さらにさらに、米国滞在中に、パスポートとビザを失効させ、5年間も不法滞在していたらしい。これはアメリカでの永住権を取るためにやったことらしいが、しかし、そんな事する人を議員にしてもえんかなあ。

(2004.1.31)



〜おしまい〜





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