巨額の発明報酬

〜 無知な裁判官を野放しにするな! 〜



裁判官なんて奴らは、数学ができないから仕方なく法学部に進み、やたらバカみたいな丸暗記が得意だったから司法試験に合格したような連中だから、もともと頭は悪い。おまけに司法試験の受験勉強に必死なため、全くの世間知らずだ。もちろん、裁判官になってしまえば、ますます世間知らずに磨きがかかってくる。だから時々とんでもない判決を出したりする。バカ丸出し。

しかし、それにしても、青色発光ダイオードの発明者が、勤務していた企業を訴えた裁判の判決は、あまりにもお粗末すぎる。問題の発明は、中村修二氏(現在カリフォルニア大学教授)が徳島県の日亜化学工業に勤務していた時に成功したものだ。で、その対価が604億円であり、そのうち訴えていたのは200億円だから、全額の支払いを命じたのだ。あまりの事に呆然としますなあ。


画期的な発明

もちろん僕は、彼の発明が大したことないと思っているのではない。ものすごい発明だと思う。ただし、中村氏が自分で言っているように「100年に1回ぐらいしかない」とは思わない。それって、ちょっと言い過ぎじゃない?ちょっとどころか、無茶苦茶言うたらいかんよ。100年に1回の発明ってのは、あなた、ロケットとかコンピューターとか原子力とか自動車とか、そういうものよ。て言うか、これらだって20世紀に集中しているから、100年に何回も起こっているくらいだから。
まあ、それはともかく、それでも中村氏の発明は、ノーベル賞をもらった田中耕一氏の発見よりはすごいと思う。数年内には中村氏はノーベル賞をもらうんじゃないかなあ。なんと言っても、彼の発明は、社会への影響力が世界的規模で極めて大きい
発光ダイオードは既に赤と緑が発明されており、青も発明されると、光の三原色が揃い、白をはじめフルカラー表示ができるようになるため、大いに期待されていたのだが、非常に難しく、20世紀中は無理だと言われていた。それを中村氏は極めて独創的なやり方で発明し、そのおかげで携帯電話の表示装置から大型スクリーンまで、世界の情報化の推進に大いに貢献しているのだ。
さらに、おまけとして、より強い光を出す青色レーザーダイオードの開発にもつながっている。青い光は波長が短いため、細かい情報の書き込みや読み取りができる。例えば、青色レーザーを使う次世代光ディスクは、従来の物の5倍以上の記憶容量を持つ。
まさに時代に合ったグッドタイミングな発明だったのだ。


1つの成功を生み出す多くの犠牲

しかし、発明の素晴らしさと、それに対する報酬とは分けて考えなくてはいけない。今回のバカ判決は、企業の実態というものを全く理解していない。
そりゃあ、中村氏の発明は画期的であり、企業の利益にも多大な貢献をしただろう。しかし、だからと言って、それを発明者が半分も独り占めしていいのだろうか。余りにも無茶苦茶な判断だ。企業というのは、数多くの儲からない事業を、ほんの少数の儲かる事業で補っているのが現状だ。特に製造業、なかでも数多くの製品を作る機械部品製造業なんて、まさにその典型だ。それは、時代の流れの中で、たまたま1つの製品が大きな利益を上げているだけであり、他の事業を捨てれば良いというものではない。利益を上げている事業だって、いつ不利益になるかもしれないし、利益を上げていない事業が、いつ企業の救世主になるかもしれない。だから、1つの事業で上げられた利益の半分を独り占めさせるような、こんな不当判決がまかり通れば、多くの企業が潰れてしまうだろう。
さらに言えば、事業化以前の問題として、何百、何千、何万という数多くの研究の中から、たまたま偶然に利益を上げる成果が出てくるのだ。それは、田中耕一さんのように、怪我の功名で、たまたまラッキーに発見や発明ができた、って事もあるし、たまたま時代のニーズに合った、って事もある。どんなに画期的な発明だって、時代に合ってなければ何の利益も生まない。研究開発型企業は、そのような無数の研究テーマを抱えながら、そのうちの1つでも利益を上げてくれれば良いと考えて数多くの研究者を雇っている。
バカ裁判官は、「貧弱な研究環境の下、個人的能力と独創的な発想で世界的発明を成し遂げた」と述べているが、まさにそれと同様な無数の研究者の中から、誰か1人が偶然に偉大な発明発見をするのだ。たまたまうまくいったというだけで、その人にだけ巨額な報酬を与えていたら、他の大多数の研究者の報酬はゼロにしなくちゃだめになる。
研究者は安定した給料をもらって好きな研究に没頭し、たまたまうまくいった成果だけを強調するが、そもそも無数の研究に資金を注ぎ込んで投資リスクを背負っているのは企業だ。日亜化学工業が言うように、「安定収入とリスク報酬の二重取りを求めるもので理論上許されず、もし認められれば日本企業の研究開発活動は成り立たない」と言うが正論だろう。
もちろん、日亜化学工業が言っている「中村氏の方式では現在の製品にはできず、利益には全く貢献していない」っていうのは、説得力が無い。しかし、これは、バカみたいな額を請求されたから対抗して言ったようなものだろう。


スポーツとは事情が違う

中村氏は、イチローを引き合いに出し、「スポーツ選手に比べて研究者の報酬が低すぎる」としている。それには全く同感だ。しかし、その是正は、むしろ逆に、スポーツ選手のバカげた巨額報酬を抑制する方向で調整すべきだろう。昨今のプロ野球選手の報酬の急騰は、どう考えても異常だ。異常さは、スター選手の報酬が巨額すぎる問題だけでなく、大勢の底辺選手との差が極端に開いている事だ。一部のスター選手の報酬に巨額のお金をつぎ込むため、大半の選手の報酬は抑えざるを得ないのだ。一部のスター選手は良いけれど、数年で芽が出ずに辞めていく大半の選手には厳しい状況だ。
今回のバカ判決は、プロスポーツ界の二極分化と同様な状況を研究者の間に生み出そうとしているのだ。そもそも、自分だけが頼りのプロ野球選手と、共同作業で成果を出す研究者とは立場が全く異なる事を理解していないのだが、これではスター発明者ばかりが優遇され、そのアイデアを実現するための地道な実験を重ねる周辺の研究者が軽んじられてしまう。余りにも不平等だ。
中村氏は、判決後、「技術者や研究者にやる気を与える判決だ」なんて言っているが、本当にそうだろうか。一部の発明者にだけ利益が回るようになれば、その他大勢の研究者はやる気を無くすんじゃないだろうか。


企業存続の危機

企業に勤務している人なら誰でも分かると思うのだが、事業というものは、発明だけでなく、製品としての商品化や生産、管理、販売など様々な人の努力と、最初に事業に出資した投資家を含む全ての人の共同作業の集大成だ。とかく研究者は自分の成果だけを強調しがちで、それをいかに生産するか、なんて事は大した事とは思っていない。現実には、生産までもっていく事の方が難しいにもかかわらず。ましてや、製品を販売する営業部隊なんて、全くバカにしている。かつて、人々がモノに飢えていた高度成長期には勢いのあった研究開発主導型企業が、モノが豊かになったとたん、社会のニーズからかけ離れてしまって低迷したのは、販売努力やマーケティングや商品開発に関する意識が低かったからだ。

今回、問題になっている青色発光ダイオードの製品も、中村氏の発明が極めて重要な役割を担っているのは間違いないが、さらに多くの付加価値がついており、バカ裁判官はそれらの価値を全く無視している。例えば、車はタイヤが無ければ走れないから、タイヤの価値が半分をしめる。エンジンが無ければ走れないから、エンジンの価値が半分を占める。てな感じで、どんどん分けて考えれば、実際の車の価値の何十倍にもなってしまう。それと同じだ。いくら中枢部分とは言え、たった1つの特許を過大に評価しすぎている。その他の多数の研究者や企業を構成する様々な人たちの貢献を全く無視している。
いかに裁判官が世の中の仕組みを理解してないかが分かる。裁判官は、ぜひとも定期的に社会勉強のため、企業研修をするべきだ

このようなバカげた判決が出てしまうと、今後、研究者が集団訴訟を起こす可能性もあり、企業の利益は出なくなってしまう。何も分かっていない人は「社長が独り占めしようとしていた利益を半分ずつにするってことでしょ」なんて事を言ったりしているが、全然違うぞ。その辺の商店主が店員の給料をピンハネするのとは訳が違うぞ。企業の事が分かってないぞ。たまたま発明に成功した人に利益の半分もを取られると、他の従業員全てが利益の分け前にあずかれないだけではない。企業の利益が出なくなるってことは、出資者に利益が還元されなくなるって事であり、研究開発型企業に出資する人なんていなくなるってことだ。つまり、日本では研究開発型企業が存在できなくなるってことだ。技術立国の日本にとっては致命的な問題だ
これほどのリスクとコストを負担させるなら、日本から研究開発拠点を撤退させる企業が出てくるだろう。こんなバカげた理不尽な判決が出るような国では外資企業は投資しなくなるだろう。事実、似たような状況にあるドイツでは、実際に企業が研究施設を置くことを敬遠しているらしい。アメリカでは、企業は研究者と契約で発明の報酬を含めた処遇を決めておくため、このように後になって多額の対価を要求されることはない。

そもそも、一体全体、この中村氏は、何を血迷ったのだろうか。判決では発明の対価が604億円とされたことから、訴えていた200億円との差額も追加の訴えを起こす事を検討しているらしい。いつからそんな金の亡者になったんだろう。たぶん、絶対に、金儲けの事しか考えていない強欲弁護士にそそのかされたんだろう弁護士と言えば裁判官と同じく、頭の悪い世間知らずだ。金儲けの事しか頭にない連中だ。そういう悪い奴らにそそのかされて中村氏も落ちるところまで落ちたか。

(2004.2.1)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ