自閉隊

〜 気の毒な自衛隊 〜



最近、イラクに派兵されたりして、自衛隊の存在感が高まっている。もちろん、何年も前から色んな国にPKOで派遣され始めてから存在感は高くなってきたが、今回の派兵は国連とも関係なく、アメリカへの協力として独自に軍隊として派遣したんだから、長らくタブーだった海外派兵への道が開けてきたと言えよう。
しかし、ここでは海外派兵の是非を論じようと言うのではない。(論じたいけど、時間がかかるので、別の機会に)

論じたいのは石破防衛庁長官の発言だ。彼は自民党衆院議員のパーティーで「自衛隊は自閉隊」などと発言したのだが、それが問題になって謝罪したのだ。で、僕が少し驚いたのは、その発言を問題視して謝罪させたのが、自衛隊じゃなくて、自閉症サイドだったことだ。

一般的に、自閉症と言うと「家の中に閉じこもって暗くなっている子供」をイメージしがちであり、事実、ほとんどの人がそう思っている。しかし、それは自閉症ではなく、単なる引きこもりだ。もちろん、引きこもりも重大な問題だが、あくまでも心の病気であり、カウンセリング等で治す事も可能だ。
石破防衛庁長官も同じように誤解しており、「自衛隊は今まで半分やゆ的に、自閉隊と言われてきた。自閉症の子供の自閉と書いて自閉隊。『いいんだ、分かってくれなくたっていいんだ、一生懸命、自分たちがやればいいんだ』ということで、積極的にPRをしてこなかったかもしれない」と述べている。これは自閉症ではなく、単なる引きこもり症状を念頭に置いた発言だ。

本当の自閉症は、言語発達やコミュニケーション能力に遅れが現れる「発達障害」だ。原因については、脳の機能障害や中枢神経系の神経伝達に関係する異常など、さまざまな説があるが、いずれにしても心の病気や性格の問題ではなく、れっきとした病気だ。現代の医療では治すことは難しい。
石破氏は謝罪して、「以前に読んだ書物や論文から引用したが、自閉症の子供を持つ親など関係の方々につらい思いを抱かせたのは誠に不適切だった。深くおわび申し上げ、今後このようことがないよう自戒したい」と述べているが、本当に理解しているのかなあ。単に引用を謝罪しているだけじゃないかなあ。

まあ、それはいいんだけど、最初、このニュースを聞いて、てっきり自衛隊からクレームが付いたのかと思った。石破防衛庁長官が自閉症に対して誤解していようがいまいが、いずれにしても自衛隊に対しても随分失礼な発言だと思うのだけど、自衛隊は何も言わなかったのかなあ。いくら長官だとは言え、このような不適切な発言をされたら、何か批判的なコメントが出てもいいと思うのだけど。
自衛隊のようなガチガチの管理組織では、上層部の発言に対する批判は許されないのかもしれないし、また独善売国奴的マスコミが報道しないだけかもしれない。

それにしても、相変わらず自衛隊は気の毒だ。
他にも、京都の浅田農園の鳥インフルエンザ問題でも驚いた事がある。何も、「善良そうな顔をした会長が、実は悪い事ばっかりしよった」とか、「それでも自殺したんだから、本当は善良な人だったんじゃないか」とか、そなな事はどうでもええんですけど、何万匹もの鶏を処分するために自衛隊が動員されたんですよ。これって、どう思う?地震や山火事ならともかく、なんで死んだ鶏の処分まで自衛隊がやらされなければならないんだ?自衛隊は「何でも屋」か?
それだけでも驚きというか気の毒なのに、思い上がった、というか、ふざけきった京都府は、「夜間の作業は騒音とかで近隣に迷惑がかかるから、作業は昼間だけにして欲しい」なんて事を言ったらしい。そもそも自衛隊にお願いする根拠として緊急性が要件にあるのに、「夜間はやめて」なんて言うのなら、緊急性なんか全然ないじゃないの。バカにするにもほどがあるよなあ。

すぐ隣に、北朝鮮だけじゃなく、潜在的には、はるかに脅威の中国があるんだから、軍隊の必要性について、根本的に意識を改めなければならないのではないか?

(2004.3.30)



〜おしまい〜





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