圏央道訴訟

〜 おかしな裁判官 〜



圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の「あきる野インターチェンジ」建設に反対する地権者らが、土地収用に向けた国土交通省の事業認定と東京都の収用委員会の収用裁決取り消しを求めていた訴訟で、東京地裁が請求を認める判決を下した。

圏央道なんて聞いたことも無かったので、どうでもいいような気もするし、さらにあきる野市って、これまた馴染みの無い名前だし、平仮名まじりで意味不明な地名なので、この類の新しい市の名前って嫌悪感を感じるので(と言っても四国中央市なんていう極端に低レベルな名前よりは300倍くらいマシですが)、まさに、どうでもいい判決なんですが、結構、画期的な判決らしいです。

普通、行政による道路建設に対しては、ほぼ自動的に必要で公共性があるものだと見なされてきた。そもそも、それが、おかしいと言えば、おかしい。絶対に必要な道路建設が一段落した現在、どう見ても不必要な道路の建設が各地でどんどん進んでいる現状を見ると、単に役所の権限維持と土建会社の生き残りと公共事業による景気対策くらいの意義しか見いだせない。今回の判決は、その公共性や公益を疑うと同時に、事業の適法性について、より厳格な検討と証明を求めた。まず「判断の過程に見過ごせない誤りがあり、認定は違法」として、事業認定と収用裁決を取り消し、住民側勝訴の判決を言い渡した。自動車専用道路建設で、土地収用手続きが否定される判決は初めてだ
おまけに圏央道事業全体の是非にも言及し、国や都が主張する「都心部の交通渋滞の緩和や経済効果」は期待できず、騒音や大気汚染被害が起きる懸念があるとし「事業の合理性は全く裏付けられていない」と断じた。「建設事業で得られる公共の利益」と「土地収用で原告が失う利益」とを比べると、得られる利益が勝っているとはいえないという判断である。ここまで公共性を否定した大胆な判決は、確かに極めて珍しい。

行政訴訟法には、たとえ司法がその行政処分を違法だと判断しても、取り消すと著しく公益を害する事情がある場合には請求を棄却できる「事情判決」がある。過去には、ダム建設計画の事業認定や収用委裁決が違法だとされながら、ダム本体が完成していることを理由に、反対住民の請求が退けられたケースもあった。
今回の案件も、既に建設予定地からの建物移転がほぼ終了していることもあって、「事業を継続すべきだ」との意見も強い。しかし、逆を言えば、これでは、裁判に時間を費やすうちに工事が進んで既成事実化し、結果的に「つくり得」になる恐れが強い。この意味で今回の判決は、従来の悪しき判例が覆されたという意味で画期的だ。一度こういう判決が出ると、行政側も「とにかく作っちゃえ」ってな発想での建設が難しくなるのではないか。

ただ、本当に圏央道の必要性が無いのか、と言えば、疑問は残る。圏央道なんて聞いたこともなかったのだが、実は、東京周辺の高速道路のあり方には非常に疑問を感じていた。僕は車で遠出するのが好きで、どこへでも車で行く。東北へ行ったことも何回もある。そういう時、一番、困るのが、東京で高速道路を乗り換える時だ。全ての高速道路は東京へ続いてるのだけど、それらの相互連絡が非常に悪い。例えば大阪や名古屋なら市街地をバイパスして山陽道や中国道から名神高速や東名高速へ移っていけるが、東名高速から東北道や関越道へ移ろうとすると、一般道や渋滞の激しい首都高速を通らないと行けない。全ての高速道路は東京の役人が作っているので東京を始点にした発想しかないからこうなる。東京を素通りする人の発想が無いのだ。だから東京都心をバイパスする道の必要性を感じないらしい。しかし、我々にとっては、東京をバイパスする高速道路が必要なのだ。
そして、今回の圏央道ってのを調べてみると、これがなんと、僕が望んでいた東京をバイパスする道路らしい。こら必要やがな。てことは、今回の画期的な判決を出した裁判官は、あくまでも東京中心の視点で物事を考えているだけの偏った独善裁判官なのかもしれない。

もちろん、大規模道路工事の事業認定取り消しは極めて異例で、国側は控訴するとみられる。国側が控訴すれば、一審判決に収用を止める効力はない。
また、圏央道の沿線9市町村でつくる「圏央道建設促進協議会」は「公共の利益を全否定するもので極めて遺憾。理不尽な判決にひるむことなく早い全線開通が図れるよう強く希望する」とコメントしたが、これは、まあ、行政側としては当然の反応でしょう。
それより面白いのは、石原慎太郎東京都知事のコメントだ。「野球の打撃率は5割超すと大変なものだが、あの裁判長の高裁での逆転率はもっとすごいんでしょ。ああいう常識の無い裁判官がいると、裁判全体に対する信用というか権威の問題になってくると思う」と語っている。石原都知事と言えば、極論と暴論ばかり吐くトンデモナイ奇人なので、こんな奴に「常識が無い」なんて言われた日には「お前だけには言われとうないわいっ!」って怒りたくもなろうが、でもやっぱり、この裁判官は石原都知事に並ぶ常識はずれの奇人らしい。トンデモナイ判決を繰り返しているみたいだ。
てことは、やっぱり今回の判決は、トンデモナイ判決がまた1つ増えたってことなのかもしれないなあ。こういう裁判官を野放しにしてほしくはないのだけど、日本の制度では裁判官の身分は保障されており、いくらトンデモナイ仕事をしてもクビにはならない。それなら、例えば家庭裁判所に回すってことはできないものかなあ。

(2004.4.23)



〜おしまい〜





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