年金保険料未納問題

〜 呆れた政治家たち 〜



年金未納が大問題になっている。小泉内閣の閣僚たちが大挙して国民年金の保険料を払ってなかったのだ。これは、ちょっと呆れて物も言えない事件だ。


事件の発端

まず最初に国民年金保険料の未払いが発覚したのは中川経済産業相、麻生総務相、石破防衛庁長官の3人だ。防衛庁長官は直接関係ないにしても、経済産業相と総務相が未納だなんて、ほんと開いた口が塞がらないでしょ?

麻生総務相の場合は、初当選以降も麻生セメントの役員を兼務していたため厚生年金に加入し続け、その後、文部政務次官就任に伴って役員を辞めたため国民年金に移り、退任後は再び役員に戻って厚生年金に再加入し、さらに経企庁長官になって再び役員を退任した際に、国民年金への切り替えを怠ったという。何度も切り替え手続きをしているから、たまたま忘れてしまったという言い訳が一見もっともらしいが、それまでこまめに切り替えていたのに、最後だけ忘れていただなんて、それもおかしいぞ。総務相ともあろうものが、うっかりミスでは済まされないだろう。
石破防衛庁長官の場合は、農水政務次官や防衛庁長官に就任したとき、国家公務員共済に加入するものとして勘違いして手続きした、と説明しているが、国会議員ともあろうものが、そんな勘違いが許されるのか?ちょっと信じられない。
さらに中川経済産業相の場合は、衆院議員に初当選した際に国民年金への切り替えを怠り、それ以降ずうっと未納のままで、未納期間は強制加入後から計算しても18年にも及んでいる。これだけ年金が社会問題になっているのに、年金の事なんか、全く無関心だったと言うわけだ。

この3人がどれだけの意識を持って未納だったのかは分からない。悪意を持って払わなかった、というよりは、まあ、関心が無かったのだろう。未納額は一番多い中川経済産業相が240万円、麻生総務相が60万円、石破防衛庁長官が29万円程度といったところだから、閣僚にとってはどうでもいい額なんだろう。それなら払えよ、と言いたいが、最初から年金なんて無関心なんだろう。それに国会議員には互助年金があり、国庫負担が7割もあるため、たった在職10年で年に412万円もの年金を受け取れる。だから国民年金への関心は薄いのだろう。

それにしても、国民年金保険料の未納問題は、「国民年金を払え!」という宣伝に出ていた江角マキコが未納だったという全くお粗末な事件があったばかりだ。彼女の場合も、堂々と宣伝に出ていたくらいだから、勘違いというか、無関心だったのだろう。しかしタレントふぜいと閣僚とは問題の大きさが違う。年金改革を強引に進めようとしている内閣の閣僚が長期間未納だったなんて、信じられないと共に、許せない。
しかも彼らは、民主党の資料請求をきっかけに発覚するまで未納問題に無関心でいたところに、事態の深刻さがある。江角マキコ事件で大騒ぎになっていても自分の事には無関心だったのだ。最近、社民党化が著しくて頼りない民主党だが、今回はヒットだった。民主党の菅代表は「年金の掛け金を引き上げる提案をしたのに、こんな払っていない閣僚がいるのをどう思うか。ふざけている。未納3兄弟だ」と激しく攻撃したが、まさに、その通りだ。民主党の野田国対委員長も「年金を払っていない閣僚がいるのに法案を通すということはあってはならない」と言ったが、その通りだ。


どんどん増える未納閣僚

ここまで事態が進めば、当然、他の閣僚の状況も知りたくなる。誰が考えてもそうだろう。閣僚どころか、全国会議員の納付状況を明らかにしてもらいたい。それなのに、これまた信じられない事だが、政府は閣僚らの未納の有無について公表しない方針を正式に表明した。一体どういうこと?何を考えているの?ちょっと理解できない。野党が欠席しても採決を強行する一方で、自分たちの納付状況をひた隠すなんて、明らかに悪意を持って隠蔽しようとしているとしか思えない。
「個人に関する情報なので公表は差し控えたい」なんて理由だが、これはプライバシーとかの問題とは全く違う。年金改革をしようとしている人たち自らが保険料を払っているかどうかの問題なんだから、個人に関する情報とは言えないぞ。さすがに民主党は妥協せず、「そこまで拒否するってことは、未納4兄弟、5兄弟がいるのかもしれない」とし、「自分たちも公表するから、お前らも公表しろ」と政府に迫り、そこまで言われたら政府も逃げるわけにいかず、同時に公表することで折り合った。

そして、遂に今日の公表となったのだが、まあ出てくるわ、出てくるわ、なんぼでも出てきた。なんと福田官房長官自身が未納だったのだ。なるほど。どうりで強固に公表拒否を続けてきたわけだ。福田氏は3閣僚の未納が発覚した時点で、「60歳当時は納付している」と言うだけで、「個人の情報を言う必要はない」の一点張りで公表を拒否してきたのだ。結局、言わざるを得なくなったのだが、往生際の悪いやっちゃなあ。見るからにあくどそうな奴ではあるが。
さらに谷垣財務相、竹中金融・経済財政担当相、茂木敏充沖縄・北方担当相にも未納期間があったことが分かった。竹中は、税金を脱税するために日本とアメリカとで頻繁に住民票の移し替えを繰り返しているようセコい男だから、やっぱりなあ、って感じ。

これで小泉内閣の未納閣僚は計7人となったわけだ。しかも官房長官、財務相、総務相、経済産業相など主要閣僚ぞろいだ。国民に年金保険料の負担増を求める年金関連法案を国会に提出する一方で、主要閣僚がそろって保険料を払ってなかっただなんて、何度考えても腹が立つわな。


民主党にまで発展

ところが!これで終わりじゃなく、なんと、追求していた民主党の菅代表も厚相在任時、国民年金保険料を納付していなかったことが分かったのだ。「厚相に就任して国家公務員共済組合に加入した際、年金も加入したものと考えて脱退したようだ。共済は医療保険には適用されるが、年金は適用されず、未加入となった」と説明しているが、これは、さすがに本当だろうなあ。そうでなけりゃあ「未納3兄弟」なんて追求したりはせんわなあ。しかし、悪意が無かったとはいえ、なんともお粗末だよなあ。
さすがに民主党は自民党とは違い、「次の内閣」メンバー19人のうち未納があったのは菅代表だけだった。でも閣僚の未納を国会で一番厳しく追及してきた菅直代表自身が未納だったなんて、民主党のイメージダウンも大きいよなあ。「行政上の扱いのミスで、私は恥じるところは全くない。脱退手続きは大臣官房が事務所に代わって手続きをとった」と厚生省に責任があるとしているが、追求する際に、まず自分の事も調べてからにすればよかったのにね
小泉首相はこれについて、「菅代表はうっかりしていたのではないか」と言っているが、まあ、これまた呑気なコメントだが、自分の閣僚が7人も未納だったから追求できる立場じゃないにしても、ちょっと危機感が乏しすぎるよなあ。


年金制度崩壊の危機

それにしても、事態は深刻だ。自民党の安倍幹事長は「払っていない人はもらえないのだから自己責任ではないか」と呑気な事を言っているが、こいつ、意識が低すぎて話にならないぞ。年金は、そういう問題ではないんだぞ。「払ってなければもらえないのは分かっているが、年金制度に不信感があるから払わない」という人が激増し、それで年金体制が崩壊しかかっているから、それをなんとか食い止めようというのが年金改革だ。払わない人は自己責任だから放っておけ、というのは、すなわち、年金制度が崩壊するのを放置しておけ、ということだ。それはそれで1つの方法だが、今、自民党が強引に進めようとしている年金改革とは正反対だ。
小泉内閣の17閣僚のうち未納していた閣僚が7人ということは、内閣の未納率は4割を超える計算だ。未納者が激増しているとはいえ、国民年金全体では4割弱だから、それを上回っている。ここまで意識の低い奴らに年金改革なんてできるのか?閣僚が率先して未納しているんだから、これじゃあ、確信犯的に未納していた国民は、絶対に払わないぞ。

小泉首相は7人もの閣僚が未納だったのに「うっかりしていたんでしょう」と問題視していないが、「うっかりミス」で済まされるほど閣僚の責任は軽くないだろう。「意図的に払わなかったわけでない。ミスはミスだが、国会議員の年金制度の複雑さや社会保険庁から丁寧な説明がないことも問題だ」なんて言っているが、それはそうだろうけど、政府の人間が言う言葉じゃないだろう。それは政府に反対している人の言い訳だ。制度が複雑なことや社会保険庁がざっとしてるってことは、すなわち政府がだらしないってことなんだから、閣僚の言い訳にはならない。
確かに、貴重な保険料を自分達の飲み食いや不要施設の建設に浪費する一方で、未納問題に対処できていない社会保険庁のあり方は大問題だ。国民年金保険料の未納率が過去最悪になった最近になってようやく、体制を見直し、悪質滞納者に対する強制徴収に乗り出しているが、ちょっと遅すぎただろう。しかも悪質滞納者と言えば、真っ先に閣僚じゃないか。国民の不信感を引き起こすという意味では、一番悪質だ。社会保険庁はなぜ閣僚らに督促をしなかったのかという疑問が出る。政治家への遠慮があったのではないか。
そもそも、これまで「全国民が強制加入」と言いながら、ぜーんぜん強制じゃなかった。自己申告だ。こんなんで納めるはずないじゃないの。強制徴収というのなら、税金と同じように徴収すべきだ。我々安サラリーマンの厚生年金は安月給の中から強制天引きされているんだから、国民年金だって税金と同じように強制徴収すべきだ。いっそのこと、社会保険庁なんてだらしない役所に任せるんじゃなくて、税務署にまかせたらどうだろう。彼らの方が徴収に関しては、はるかにプロだし、その方が効率的だ。

いずれにせよ、年金改革を強引に進めようとしている内閣の閣僚が長期間未納だったなんて、信じられないと共に、許せないのだが、こんな事件が無かったのごとく、政府は強引に衆院厚生労働委員会で年金改革関連法案を採決し、自民、公明両党の賛成多数で可決した。連休明けにも衆院を通過させる方針であり、参院での審議を経て今国会で成立する見通しとなった。


年金なんてアテにするな

まったくやりきれない事態だが、そもそも、年金って、随分前から将来的な危機が予想されていたのに、なぜ最近になって急に大問題になったんだろう。僕なんか、もう最初っから国の年金なんてアテにしてこなかったけど、これだけ問題になってきたって事は、多くの人がアテにしてたってことなのかなあ。でも、既にもらっている人は、そのまま減額されることもなくもらい続ける事ができるんだから、そういう人にとっては問題ではないよなあ。もうすぐもらえるようになる人だって、今もらっている人と同じように、ちゃんともらえるんだから、やはり問題はない。問題になるのは、もっと先になってようやくもらえる若い人だ。でも、僕なんか、ほんと、最初っから国の年金なんて全くアテにしてないけどなあ。
なぜ急に問題になったのかと言えば、たぶん、今までも冷静に考えれば破綻しかかっているくせに、どうにもこうにも解決が難しい問題だから、政治家も役人も、なるべく関わり合いにならずに放っておいたんだろうな。それが、遂に破綻しそうになったので、これ以上は放っておけない、って事で、ようやく制度をいじりはじめたので、問題が一気に明るみになって吹き出してきたって事でしょう。たぶん。

これだけ平均寿命が延びて高齢化が進んで年金受給者が激増する方で、少子化が進んで労働人口が減少していくんだから、今までの年金制度が破綻するのは当たり前。年金受給年齢を引き上げるのは当たり前。年金を受給している高齢者世帯より、子育てに大変な若い世帯の方が収入が少なかったりするんだから、給付額を減額するんだって当たり前。こういう当たり前の事を、前々からやっておれば問題が大きくなる前にマシになっていくのに、問題をずうっと放ったらかしにするから大問題になるんだ

これだけみんながみんな自分勝手な文句ばかり言うのなら、国の年金制度なんて止めてしまえばいいんじゃないか、って思えてしまう。我々サラリーマンは毎月強制的に何万円もの厚生年金保険料を天引きされている。一方で、自営業者などの国民年金は、月々の掛け金が少ないにもかかわらず未納者が非常に多い。もちろん、掛け金が多ければ年金受給額も多いのなら納得もできるが、その差は、非常に少ない。国民年金の何倍もの掛け金を取られても、受給額はそんなに多くないのだ。バカみたい。それなのに、独善的なマスコミは、国民年金の事ばかり話題にして「生活が苦しくて支払えない」なんていう声ばかり紹介する。ほんまか、お前ら?って言いたい。そんな少額の国民年金を、本当に払えないのか?って問いつめたい。
まあ、そういう未納者を放っておけば、すぐに国民年金は破綻するだろうが、問題は、国民年金が破綻しそうになった場合、絶対に厚生年金と一本化してしまうだろう、と予想だれることだ。そして、国民年金の未納者の尻ぬぐいを、強制的に天引きされている厚生年金で補填してしまうのだ。どうして僅かな国民年金を払わずに誤魔化している人を、我々貧乏サラリーマンが面倒見なくちゃならないんだ。もういっその事、国の年金なんて一切廃止して、老後の生活ぐらい自己責任でやってほしい。

なーんて怒り嘆いても、全く仕方ないので、年金問題に関しては、なるべく考えないようにしている。腹が立って仕方ないからなあ。ただ、自分の老後に関しては、国の年金なんて全くアテにせず自己責任で考えている

(2004.4.28)



〜おしまい〜





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