拉致家族の帰国

〜 素直に評価しよう 〜



小泉首相が1年8ヶ月ぶりに北朝鮮を突然、再訪し、蓮池さんと地村さんの子ども五人を連れて帰ってきた。曽我さんの家族についても、すぐに日本へ連れてくることは出来なかったが、近々、北京で再会できることになった。これは、最近の膠着した両国関係を考えれば、かなり画期的な成果である。

ところが、これについてマスコミ、与野党、家族会など、批判の嵐である
最近、このコーナーもサボり気味だったが、今回の批判の嵐については、さすがに、どう考えても度を過ぎた批判としか思えないので、批判の批判を書く。
最初に断っておくが、僕はことさら小泉首相を評価する立場ではない。「じゃあ他に誰がおるのか」と言われれば、少なくとも自民党内では見あたらないので、消去法的に「自民党政権が続くのであれば小泉首相のままでいた方がマシだ」程度の認識である。もちろん「自民党政権が続けばいい」などとも思っていないよ。
しかし、かつての社会党のように「なんでも反対。かんでも反対。とにかく反対」のように、政府のやる事なす事反対するようなバカじゃないので、冷静に論じたい。


今回の訪朝の成果

まず、今回の成果で問題視されているのは、蓮池さんと地村さんの子ども五人が帰ってきた一方で、曽我ひとみさんの夫の元米兵ジェンキンスさんと娘二人が帰ってこなかった事だ。これまで結束してきた拉致被害者の明暗が分かれたことは事実だ。
ただ、これは北朝鮮の言いなりになったのではなく、小泉首相が直接、ジェンキンス氏に面会して日本へ来るように説得したにもかかわらず、本人が「アメリカに身柄を引き渡されるのではないか」と強い懸念を示して反対した結果だ。これについて「訪朝する前にアメリカから訴追免除という環境整備をしなかった首相の責任は重い」などと非難する論調が多い。そらまあそうやけど、僕もそう思うけど、しかし、この件に関するアメリカの態度は非常に厳しく、そんなに簡単に結論は出そうにない。これについては「大義名分も無いバカなイラク戦争に、お付き合いで自衛隊を派遣しているのに、もうちょっと柔軟な対応ができないのか」と、アメリカには怒りを感じるが、しかし、現実問題として、この解決を待っていたのでは、今回帰ってこられた5人の帰国だって先延ばしになってしまう。
帰れる人からだけでも早く帰ってきてもらうというのは、そんなに悪い事ではないと思う。拉致された蓮池さん夫妻、地村さん夫妻と曽我ひとみさんの五人の帰国は、一昨年秋の日朝首脳会談の直後だったが、それ以来、北朝鮮に残った子ども達と引き裂かれるという、極めて気の毒な状態が続いてきたのだ。そして事態は、明らかに膠着していた。とにかく、それを少しでも解消する事が、そんなに批判されるように悪い事なのだろうか。公然と批判する人の神経が理解できない。なぜ素直に喜ばないのか。

次に、北朝鮮が死亡などと伝えてきている安否不明者十人の真相解明が、再調査を命じる約束を取り付けただけにとどまったことが批判されている。再調査は北朝鮮との合同であり、調査期限も決めていない。つまりは、あんまり進展が無かったとは言えよう。前回の報告での、死亡日や死亡原因などの報告内容のずさんさを思えば、どこまで解明が進むか期待しにくいし、相手のペースで進む恐れも強いから、家族が強く反発するのは分かる。
ただし、一応、まがりなりにも金正日が再調査を約束したということは、少しは前進したとも言えよう。
また、それ以外の特定失踪者への言及が一切無かったことも問題視されている。支援団体の調査で拉致が濃厚とされた不明者は28人おり、他にも百人単位の疑わしい人がいる。このため、家族会からは「一体、何しに行ったのか」と怒りの声が上がった。しかし、まあ、これらの人は、一体全体どこへ行ったのやら、雲をつかむような話で、北朝鮮に拉致された可能性はあるんだろうけど、あのキチガイ国家に対して「こういう人、知りませんか?」なんて聞いても、ロクな返事が来るはずがない。最初からアテにできる問題ではない。なんとしても解決するのなら、それこそ戦争してうち負かさなければ、埒は空かない。現実的には、今後、地道に調査していくしかないだろう。

また、拉致問題と並ぶ大きな柱である核・ミサイル問題についても新たな展望は開けなかった。しかし、本来なら極めて重大である核・ミサイル問題だけど、正直言って、日本じゃあ拉致問題の陰に隠れて、あんまり重大視されてないんじゃないか。最初から大きな成果を期待していた人も少ないだろうし、小泉首相だって、正直なところ、最初から力を入れていたとは思えない。単に、マスコミが批判する材料として使っているだけだろう。

最後に、このように、見方によっては成果が少なかったとも言える状況にもかかわらず、日朝平壌宣言を順守する限り経済措置を発動せず、食糧援助や医薬品支援を実施することを表明した事について、大きな批判が巻き起こっている。確かに、首相が言っている「国際機関の要請を踏まえた人道支援であり、見返りではない」という言い訳は、誰も納得できない詭弁であり、明らかに、5人の子供たちの帰国の見返りとしての支援であろう。しかし「それでもいいんじゃない」なんて思うのだが。なんてったって5人の子供達が帰ってきたんだから、多少の見返りをあげてもいいんじゃないか。もちろん、今回の事件は、そもそも北朝鮮の犯罪なんだから、見返りどころか、罰を与えなければならないのだけど、そんな正論をいくら叫んだって、あのキチガイ国家が聞く耳を持つはずないじゃないの。いつまでも平行線をたどったままキチガイ国家が崩壊するのを待つ、という手もあるけど、そなな事をしていたら、それこそいつになったら解決するのか途方にくれる。


批判の嵐

とにかく、外交上、異例ともいえる再訪問した割には、ロクな成果も無く、会談の内容に詰めも感じられず、政治的なパフォーマンスに過ぎないとの批判も出ている。確かに、このタイミングでの訪朝は、年金問題の混乱収拾と参議院選挙を睨んだパフォーマンスであることは疑う余地も無い。全く無い。しかし、だからどうした?政治的パフォーマンスが一概に悪いとは言えない。結果が得られれば、政治的パフォーマンスかどうかなんて、どうでもいい。成果が上がればいいだろう?もちろん、批判している人は、成果が無かったと叫んでいるんだけど。

しかし、それにしても批判の嵐はすごい。家族会の「われわれの気持ちを裏切った」ってのは分かるけど、「子供の使いだ」ってのはどうかなあ。首相が行かなければ、5人だって帰れなかったんじゃないかなあ。これまでの膠着状態を考えると、他の手段は無かったと思うが、どうでしょう。
「最悪の結果と言わざるを得ない」ってのも、どうでしょう。今までの膠着状況に比べれば、なにはともあれ5人が帰ってきたのに、最悪って事はないんじゃないかなあ。もちろん、自分に取っては最悪の事態だったかもしれないけど、総合的に見れば、一定の成果があったと言えるんじゃないだろうか。もちろん、5人の子供達が帰ってきた蓮池さんと地村さんは、他の人に遠慮があるから、「いやいや、僕らは良かったですよ」なんて口が裂けても言えないだろうから、こういう批判コメントしか出てこないんだろうけど。横田めぐみさんの両親は「一昨年9月は涙を流す家族もいた。今回は涙の人は1人もいない。家族からは怒りの声が飛び交っており、その怒りが強すぎてどうなるか。最悪の結果と言わざるを得ない」としているが、本当にそうだったのだろうか。少なくとも蓮池さんと地村さんは喜んでいると思うのだけど。
「拉致問題を政治的パフォーマンスに利用した。許せない」って言うけど、政治家が政治的パフォーマンス以外で動く事が無いのは分かり切ったことなので、仕方ないと思うなあ。政治家はボランティアじゃないんだから。

そもそも、家族会と言っても、利害は必ずしも一致していない。以前、横田めぐみさんの両親が「孫娘になるキム・ヘギョンさんに会いに北朝鮮へ行きたい」と言ったところ、他の家族の猛反対で実現できなかった。それは、「横田さんが北朝鮮まで会いに行くと、北朝鮮まで会いに行くのが当たり前になってしまい、日本では会えなくなるから」というものだった。まあ、それはそれで理解できるけど、「横田さんが会いに行きたいって言ってるのだから、会いに行かせてあげたいなあ」っていうのが正直な感想だった。今回は、それと逆になっちゃった。横田さんに反対していた家族の思惑どおり、5人の子供達は、こちらから行かなくても日本へ帰してくれた。ところが、そうなると、横田さんの立場はないわなあ。ちょっと気の毒である。

小泉首相は、羽田空港に戻るまで、訪朝の成果にむしろ自信を持っていたらしい。だが、帰国した途端、家族の反発が強いことが報告された。家族会の批判は予想を超えていたため、急遽、面会を公開した。首相自身が熱心に語りかければ必ず家族の理解を得られるとの読みがあったようだ。ところが、そんな思惑とは裏腹に首相は家族会から集中砲火を浴びた。お気の毒に。
家族会の人たちの気持ちは痛いほど分かるんだけど、せっかく5人の子供達を連れて帰ってこれたのに喜びの声が小さいし、首相を批判するにしても、もう少し抑制した発言をした方がいいような気がします。これじゃあ、せっかく拉致問題で大きな力になってきた世論が反発してしまう懸念が出てくる。
実際、拉致被害者家族会の支援団体の「救う会」に対して、「5人の子供を連れて帰った首相への感謝がない」などと、批判のメールや電話が相次いでおり、既に数百本に上っているという。メールは、家族会が小泉首相と面会した模様がテレビで放送されてから届き始め、その内容は「5人が帰国したことへの祝福の発言がない」「自分のことしか考えていない」などといった家族会への批判が大半だった。抗議の電話もひっきりなしにかかり、1日で100本を超えたという。
どこかで聞いたような話だよね。そう、まるで、イラクで人質になった3バカトリオの家族に対する批判と同じような展開だ。そもそも、自分勝手な自己満足のわがままでイラクまでノコノコと遊びに行った3バカトリオと、北朝鮮に理不尽にも拉致された人たちでは、根本的に事情が全く異なるんだけど、あまりに一方的な政府批判ばかりしていると、一緒くたにされちゃう。家族会の気持ちは痛いほど分かるけど、これまで、なーんにもしてこなかった歴代の首相や外務省に比べれば、小泉首相の働きは画期的なものなのだから、もう少し良い関係でうまくやればいいのにな、って思う。

それでも、家族会の人たちは、自分たちの子供が行方不明なんだから、必死になるのも分かるし、同情できる。しかし、バカ政治家どもの発言になると、うんざりさせられる。「拉致議連でも反対がある中、独断で訪朝した。結果を残したならともかく、最低のことをしてきた。責任を取るべき」「首相は政治責任を追及されるべき」「首相の職にふさわしくない」なんてわめいているのは、あまりにも見苦しいなあ。
特に、年金問題でもミソを付けてしまった民主党は見苦しい。岡田新代表は「重大な国益のかかった外交に、参院選や年金問題などの政局を持ち込んだため、大失敗だ」としている。外交に年金問題や参院選を持ち込んだのは間違いないが、大失敗ってのは理解に苦しむ。民主党としては、なんとか攻撃材料を見つけようとしているのだろうけど、意味不明だよなあ。首相が会談で「日朝平壌宣言を順守している限り制裁を発動しない」としたことについては「宣言には拉致の解決は書いていない。まんまと北朝鮮にやられた」と批判しているけど、これも問題をすり替えているような感じだよなあ。小沢一郎前代表代行は「国民受けを狙った首相のパフォーマンスだ。食糧支援は身代金として差し出したものだ」と厳しく批判している。これは正しい。相変わらず、足元のおぼつかない民主党にあって、小沢一郎だけは信頼できる数少ない政治家だが、言ってる事は正しい。ただし、「だから何が悪いのか」というと、よく分からない。それでもいいじゃないの。政治的パフォーマンスであり、かつ食料支援が身代金だったとしても、このまま膠着状態が続くよりはマシじゃないか、ってことだ。
まあ、それでも、なんとか自民党を攻撃しないと参院選の惨敗が見えている民主党は仕方ない。見苦しいのは自民党内の反小泉勢力だ。「迫力を持って、時には経済制裁だってやるぞというくらいの気力でやってもらいたい。安易な妥協だ」とか「北朝鮮は平壌宣言を順守していないのだから経済制裁は国際的にも許される」と批判している。今まで何十年も拉致問題を放ったらかしにしてきた政治家どもが、よく言うわ、ほんまに。平沼などは「首相が行った割には大変お粗末。あれなら俺にでもできる」なんてほざいているが、断言しよう。お前が行ったって、屁の突っ張りにもならんぞ!

さらに、許せないのはマスコミだ。ま、マスコミは常に許せないから、いつもの事であり、「ああ、またか」って思うくらいだけど。
本当にマスコミって節操が無いわなあ。テレビはバカバカしくてNHK以外、見る気もしないが、新聞も例によって批判記事一色だ。マスコミ批判は、もう疲れたのであんまりしないけど、せっかく5人が帰国したのに、どうして楽しい話題を載せないんだろう。


冷静な世論

ただし、「家族会の反発が収まらなくても、世論は最終的に首相を理解するはずだ」との政府筋の声があったが、なんと、まさに、その通りだった。新聞社各社が緊急に実施した世論調査では、今回の成果を評価する声が大半だった。

まずは悪の権化である朝日新聞の世論調査だが、今回の首脳会談を全体として評価する人が67%に達した。民主支持層や無党派層でも肯定評価が過半数を占めている。年金問題で下落していた内閣支持率も54%に上昇した。政治的パフォーマンスとして再訪朝に踏み切った首相の決断は成功したと言えよう。一方、食糧や医薬品を援助することには過半数が反対であり、北朝鮮と「国交を結ぶ方がよい」と答えた人が「そうは思わない」を上回った。

次にミニ朝日の小悪である毎日新聞の世論調査だが、ここでも日朝首脳会談について「評価する」との回答が62%で「評価しない」の32%を大きく上回った。同様に小泉内閣の支持率も58%と急上昇している。日朝国交正常化については早期正常化には慎重な見方が強かったが「正常化する必要はない」は6%だった。

最後に、論調は正論なんだけど、ジャイアンツの親会社って事で好きになれない読売新聞の世論調査だが、今回の首脳会談を全体として「評価する」人は63%で「評価しない」の計33%を上回った。一方、安否不明の拉致被害者10人の消息の再調査や、北朝鮮に対する食糧、医薬品の支援などについては批判的な声が多かった。日朝国交正常化については、「正常化すべきだが急ぐ必要はない」54%が最も多く、「正常化する必要はない」は11%だ。

どうでしょう。僕の意見と全く同じじゃないですか。つまり、いくらご都合主義のマスコミやバカ政治家どもがわめき叫んでも、国民ってそんなにバカじゃないから冷静に判断しているってことですよ。
新聞社の世論調査っていうのは、自社が世論操作しようとしている論調に沿うような結果を引き出せるような質問形式にしているから、中立公正な調査とは言い難いのだが、それでもこの高い支持率を考えると、本当の支持率はもっと高いかもしれない。また、どの新聞社の調査でも似たような数字が出ている事を考えれば、どんな聞き方をしたところで、国民の冷静な判断は狂わせられないって事だ。

この調査結果についてマスコミは戸惑い気味である。そら、そうやわな。あれだけ声を大にして批判しているのに、国民があくまで冷静に評価しているから、自分たちの無力感を感じているかもしれない。そもそも、結果に対する論評が少ない。掲載記事が小さい。もし反対の結果が出ていれば、鬼の首でも取ったような大騒ぎをしていただろうが。また、個別の質問で厳しい評価が出た項目だけをやたら強調したり、前回の一昨年の日朝首脳会談直後の調査に比べると「評価する」が少ない、などというような意味不明の批判を展開している。バカか。

世論調査の結果に戸惑っているのはマスコミだけではない。「訪朝は大失敗」として、年金問題とともに終盤国会での政府攻撃の的にしようとしていた民主党は大いに困っている。家族会やマスコミが大批判していたので、これは新体制での反転攻勢の足がかりになると期待していただけに、ガックリだ。「あれだけテレビで家族会などが批判しているのに」なんて露骨に失望している声も漏れているが、世論が冷静だったって訳だわな。

一方、政府側は、予想以上の反響に驚いている。「首相自ら率直に話せば、わかってくれると思っていた」「国民は冷静に見ている。一歩前進と評価されたのだろう」などと語っているが、正直、ホッとしただろう。売国奴集団のバカ外務省の言う事などをきかずに政治的判断で出かけていったのは正解だったということだ。「準備不足との評論もあるが、国民は評論より行動を望んでいる」と語っているが、まさに、その通りだ。ゴチャゴチャ言うより、少しでもいいから成果を出せばいいじゃないの。

そもそも、拉致事件に対しては、マスコミに偉そうなことを言える資格は無い。マスコミが拉致疑惑について少しでも報道し始めたのは、ほんのここ数年来の事だ。政治マニアの私は、ずっと以前から拉致事件に関心があったが、一般のマスコミは、新聞もテレビも拉致事件について一切報道しなかった。「今さら偉そうに言うな」と言いたい。遺族と一緒になって「なぜ今まで手を打たなかったのか」などと政府を批判しているけど、批判されるのはマスコミも同じだ。


どうすればいいのか

「たった5人しか帰ってこれなかった」からと言ってマスコミは政府を批判しているが、売国奴マスコミが大好きな中国・朝鮮の一部である韓国では、朝鮮戦争以降、北朝鮮により486人が拉致されている。しかし、それなのに、金大中政権以来、韓国は南北対話路線を取っているため、韓国政府は韓国人の拉致問題に消極的姿勢を取り続けている。それに比べれば、ごく最近になってからの事とはいえ、日本政府の動きはマシだぞ。

外務省は今回の訪朝について、かなり批判的だったらしい。外交慣例から言えば、首相が出かけていく限りは、かなりの成果の確約が無いとダメらしい。つまり、事前に事務レベルで、実質的な成果をまとめ上げ、首相は単にセレモニーに行く、だけだ。ま、普通はそうだろう。外務省が有能で、かつ首相が無能な場合は、それがベストだろう。いきなり首相が行ったって、時間も無いし。
しかし、無能集団の日本の外務省が、まともな成果を出せるはずがないじゃないの。だから、前回、首相が訪朝してから1年半もなるのに、何の進展も無かったのだ。このままいけば、永遠に解決は無いだろう。外務省は自分らが無能だからお膳立てできないだけなのに、首相に「行くな」というのは本末転倒だろう。ま、外務省が役立たずのクズの集まりってのは首相も分かっているので、外務省が反対したって気にしない。外務省の言う事だけを聞いていたら、それこそ日本は滅びちゃうよ
そもそも、長年にわたって今まで何もしてこなかった外務省は、偉そうに人の足を引っ張れる立場ではない。マスコミと同様に、拉致事件を放ったらかしにしていた責任は非常に重い。河野洋平を代表格とする奴隷外交を繰り返してきた歴代の外務大臣と外務省は日本人のクズだ。

僕は北朝鮮が大嫌いだ。なんて大声で言うと、以前は「ちょっと控えた方がいいんじゃないの」なんて忠告されたりしたが、最近は、誰もがはばかりなく「北朝鮮は嫌いだ!」って言えるようになった。とにかく、僕は中国と北朝鮮が大嫌いだ。あいつらの言うことは信用できない。家族会などは「北朝鮮が出した安否情報は全く根拠がない。死亡とされた8人も生きている可能性が高い」としているが、確かに、北朝鮮の言う事が全く信用できないってことは同感だ。だから、家族としては、死んだとは思いたくないだろう。これは理解できる。
しかし、第三者的に冷静に考えれば、まだ生きている人を死亡したと言うメリットってあるかなあ。死亡日とか死亡原因は信用できないとしても、まだどこかで生きている人を死んだと言って、わざわざ日本国民の総反発を引き起こすメリットって、無いような気がする。もちろん、拉致事件は、北朝鮮内部の様々な機関が関わっているらしいから、それら機関ごとの対立とか誤魔化しとかいった事情により、あっさり出してくれた人と、まだ隠されている人がいる可能性はある。でも、少なくとも、孫が出てきた横田めぐみさんの場合は、とっても気の毒だけど可能性は少ないように思える。娘を隠して孫を出してくるなんていう、そんなややこしい事をするメリットは無いだろう。
僕は北朝鮮が中国と並んで大嫌いだが、ヒステリックな反応はしない。冷静に考えてみれば、あのキチガイ暗黒帝国が、拉致した人々を、そんなに大切に扱うわけはない。あの暗黒帝国で、全員が無事に生きていると考える方が楽観すぎる。生きている人がいてラッキーくらいだ。あの国は、そういう国だ。だから、非常に気の毒だが、多くの人が死んでいた、或いは殺されていたっていう事実は、特段驚くような事ではない。あの国は、そういう国なんだ。ずうっと昔から。

それから、ちょっと視点を変えて冷静に見てみよう。
拉致事件で殺された人の数は、長い植民地支配の間に日本が朝鮮人に対して行った行為の結果で死んでいった人に比べれば、圧倒的に少ない。何万人か何十万人か何百万人か、分からないほど多くの朝鮮人や中国人が日本の犠牲になって死んだりしたんだから、それに比べれば、今回の拉致事件がそれほど特段、無茶苦茶ひどいって訳でもない。
もちろん、戦争中に日本がした事が一方的に悪かったとは言わない。戦争と言うのは、どちらかが一方的に悪いのではなく、様々な要因があって戦争に至り、結果として勝った方が正しくて負けた方が悪者になるだけの話だ。日本の朝鮮、中国侵略も、当時の欧米列強のアジア進出の実績を考えると、特に日本だけが悪かったとも思えない。だから、日本による植民地支配や太平洋戦争の必然的な結果として悲惨な運命をたどった朝鮮人や中国人の死の責任を日本が一方的に取らなければならないとも思わない。しかし、死んだ朝鮮人や中国人が可哀想なのは、紛れもない事実である。そして、北朝鮮の人が日本に対して抱く嫌悪感は、拉致されて死亡した日本人の家族と同じくらい強烈なものではないだろうか?拉致されて亡くなった人は、本当に可哀想だけど、それは日本の植民地支配、太平洋戦争、朝鮮戦争といった歴史の後に必然的に存在した日朝間の険悪な関係によってもたらされたものであり、一方的に北朝鮮だけに非があるわけでもない。
こんな事を言うと、北朝鮮の回し者みたいだけど、北朝鮮が「拉致問題ばかり言うけど、昔、日本軍が朝鮮で行った行為に比べれば大した問題ではない」とうそぶくのも、まんざら根拠の無い話ではない。家族会は「北朝鮮は、もっと謝罪しろ」と叫ぶが、日本政府は、これまで中国や朝鮮に対して、どれだけ丁寧に謝罪したのかな。

北朝鮮とすれば、今回の成果は大きかったと言える。食糧や医薬品の援助を受けた見返りと言えば、単に5人の帰国を認めただけだ。失ったものは何も無い。 北朝鮮のメディアは、単に小泉首相が食糧支援をするために訪朝したような報道だし、都合の悪いことは一切報道していない。いずれは帰す事になっただろう5人の帰国を認めただけだから、何も痛くも痒くもない。
しかし、見方によっては、そうとも言えない。北朝鮮にしてみれば、1年8ヶ月前の日朝平壌宣言に戻っただけとも言える。あの時、北朝鮮が拉致問題を認め、謝罪した事は、あのキチガイ国家としては画期的な事だった。それは大きな援助を期待しての事だった。それなのに、あの時、多くの拉致被害者が既に死亡していたという事実により、日本の世論が猛反発し、援助どころではない状態になった。北朝鮮にしてみれば「約束が違うじゃないか」って事だ。5人を帰すことによって、なんとか約束通りの援助を受け取れる可能性が出てきた、って事だ。

北朝鮮は憎いが、まともな思考回路を持っていないキチガイ国家に対して、まともに交渉したって何の前進も解決も無い。ぜーんぜん変わらない。そなな事を言って国交正常化交渉を止めてしまうと、同じような事件が繰り返されるだけだ。今まで拉致の存在すら認めてこなかった国が、いきなり全てを認めて謝罪したのだから、相手のせっぱつまった状況と覚悟が分かる。
冷静に考えれば、首相が訪朝しなければ家族5人はいつ帰国できるか分からなかった。北朝鮮に対して強い態度で出ることは当然だが、だからと言って、強い姿勢ばかりでは事態の改善は見込めない。国交正常化交渉というアメを与えなければ事態は全く進展しないのも現実だ。ここまで相手が態度を変えてきたのだから、うまくやれば今後の展望が開けてくる。ここは関係を改善した方が、これ以上、拉致事件や不審船事件のような嫌な事件が起こる可能性が少なくなる。このような事件を、再び起こさせないためには、交渉を進めなければならない。

(2004.5.24)



〜おしまい〜





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