人名漢字の迷走

〜 役所は何やってんだ? 〜



役所が決める人名漢字が迷走している
先月、法相の諮問機関である法制審議会の人名用漢字部会により、名前に使うことができる人名用漢字を一気に578字も増やす見直し案が公表された。これ自体は良いことだ。

日本では、文部省の日本人総バカ化計画と、お調子者のマスコミどもの自主規制によって、漢字の使用が理不尽に制限され、日本語はどんどん意味不明の言語になってきた。やたら平仮名が氾濫し、ぱっと読んだだけでは意味が分からない字句が新聞には溢れている。また簡単な漢字の流用も激しく、本来の意味からどんどん乖離して行っている。訳の分からない略字を乱造して意味不明言語化が著しい中国に追随したような政策を見ると、外務省の対中国奴隷外交と裏で密接に連携しているとしか思えない。
このため、人名漢字の使用も大きく制限され、戸籍法は子の名に「常用平易」な字を用いるよう義務づけており、現在使えるのは常用漢字1945字に人名用漢字(現行は287字)を加えた計2232字である

まあ、普通に考えれば、これでそんなに不便はないような気もするが、個々に見ていくと、かなりとんでもない制限なのだ。例えば、僕の部下の岡本くんのの字が名前には使えないのだ。ちょっと理解できない状況じゃないか?姓には使って良いのに名前には使えないって、一体全体、何のこっちゃ?完全に破綻した規制だぞ?もちろん、姓ってのは、勝手に変えられるもんじゃないから、規制しようがしまいが関係ないのではあるけれど、現実として姓には使われている字が名前には使えないってのは、どう考えても自己矛盾だ。役人って、なんでそこまで頭が悪いんだろう?ちゃんと採用試験してるのか?
同様に、姓には使われているのに名前には使えない、という無茶苦茶な漢字には臼、などがある。

それから、最近は、苺、遥、煌、牙などの使用の要望が強かったらしい。ふむ。そもそも、なんでこなな漢字の使用が規制されていたのか、全くもって意味不明だわなあ。どう考えても、政府による日本人総バカ化陰謀としか思えないわなあ。
他にも要望が多かった漢字としては、芭、庵、撫、蹴、鷲などがあるらしい。ま、ここまでくると、名前としての使用頻度は、そんなに高くはないのかも、なんて思ったりもするが、そもそも、これらが常用漢字として使えない、っていう事自体が大問題じゃないか?

これまでの政策が間違っていたのだから、今回、人名漢字が増えるのは喜ばしいことだ。しかし、一方で、今回の見直し案には大きな問題がある。とんでもない漢字が多数含まれているのだ。例えば、癌、呪、淫、姦、怨、糞、厭、怯、溺、妾、蔑、垢、罵、屍、痔、潰、疹、呆、骸などなどだ。一体どういう発想なんだ?役所のやる事は、もう信じられない。

役所の説明は、こうだ。
かつては名前に使われることを予想しなかった字の要望が多くなり、名前に対する好みの変化や国際化も踏まえ、今回は選定基準から「名に用いるふさわしさ」を外し、「常用平易」の基準に限定した。選定作業では、文化庁が書籍雑誌に出てくる漢字の出現頻度を調べたデータをもとに、「過半数の読者が年1回以上目にした」とみられる字など578字を選んだ。
つまり、人名にふさわしいかどうかの基準では判断してないのだ。
あほかーっ!
役所って、完全に思考停止しているぞ。頭を使うことを放棄しているぞ。人命にふさわしいかどうかなんて、そんなに難しい問題か?少なくとも、ふさわしくない漢字を除外すればいいだけじゃないか!なんかが人命にふさわしいかどうかが判断できないのか?おまえら、知能が無いのか?

こなな漢字は、制限が無くなったからと言って使う人はいないだろう、なんて考えるのは甘い。10年くらい前に、子供に「悪魔」っていう名前を付けたバカ親がいて問題になったじゃないか。子供の事は親が何でも好き勝手できるわけではなく、子供の人権侵害に当たるような事はしてはいけない。「命名権の乱用」は子供の虐待と同じだ。子供の一生に悪影響を及ぼすような名前は付けてはいけない。それを堂々と許可しようという今回の修正は許せないぞ。
役所は、言い訳として、今でも「殺」「狂」「汚」などは常用漢字なので人名にも使える、なんて言ってるが、それは逆だ。そのような漢字は常用漢字であっても人名漢字からは除外すればいいんだ。常用漢字は全部人名漢字にしなければならない、なんて勝手に思いこんでいる事が思考停止状態なのだ。
「不死」といったような組み合わせにすれば、必ずしも悪い意味ではなくなる、っていう言い訳もしているが、しかし、子供に「不死子」なんて名前を付けるか?

いくらバカげた言い訳をしようとも、さすがに批判が集中したらしく、役所は、あっさりと方向転換をする気配だ。
市民から反対意見が多かった糞、屍、呪、癌、姦などの漢字を削る方針になったようだ。
まあ、なんとか、良かった良かった。

それにしても、役所は、こうなる事を予想できなかったのだろうか。あまりにも想像力が欠如しているぞ。そもそも人名にふさわしいかどうかの判断すら放棄した役所だから、想像力なんて無いのが当たり前なのかもしれないが、本当に情けないくらい無能じゃないのか。

(2004.7.9)



〜おしまい〜





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