火を噴く自動車

〜 ごく普通の日常茶飯事 〜



「みんなの広場」にMASAさんが書いてらっしゃったように、最近、マスコミが、やたら三菱自動車の事故について報道している。中でも派手に報道されているのが、「三菱自動車が火を噴いた」っていう事故だ。そして、MASAさんと同様に、「本当に三菱自動車の車って火を噴くのか?」っていう驚きの疑問が溢れている。「あれってほんとなんでしょうか?今まで生きてきて、走ってたバスがいきなり燃えだしたなんてニュース聞いたことなかったんですが、ここ最近、急に、車もバスもトラックもバンバン燃えてますよね」ていう疑問だ。

僕自身、最初は同じような感想だった。僕も昔、乗っていた初代セリカ・リフトバックのラジエターから蒸気が噴き出したって事はあったけど、これは古いラジエターなら珍しくもなんともない故障だ。でも、火を噴くっていうのは、どちらかと言えば珍しい事故だと思っていた。それなのに、最近は毎日のようにあちこちで三菱の自動車が火を噴いているので、三菱の車は本当に危なくなったのかなあ、なんて思ったりした。

ところーが!よくよく調べてみると、自動車が火を噴くって、ごくごく普通の日常茶飯事的な事故らしい
日本では、なんと、毎年7000台以上の車が火を噴いている。平均すれば毎日20台以上の車が全国のあちこちで火を噴いているわけだ。しかし、そなな事はぜーんぜん問題にならない。て言うか、記事にならない。ニュースにならない。なぜか?なぜなら、車は火を噴くものだからだ。当たり前すぎてニュースにならないのだ。タイヤがパンクしてもニュースにならないのと同じなのだ。

車が火を噴いているうちの1/3くらいが、衝突や放火、たばこの火の不始末による火災とのことなので、残りの5000台くらいが内部要因で火を噴いていることになる。つまり、これが故障によるものだ。
これって随分多いような気もするけど、そもそも、日本では交通事故で毎年1万人もの人が死んでいる。それに比べれば、7千台が火を噴くくらいは大問題ではない。火を噴いたからと言って、必ずしも人が火傷するわけではないから、人身事故にならない場合が多いので、事故というより、故障の延長みたいなものだ。

本来、当たり前すぎてニュースにならないような事故が大々的に報道されるのは、「三菱の自動車が火を噴いた」となればニュースになるからだ。
日本国内の自動車のシェアを見れば半分近くがトヨタなので、火を噴いている車だって3000台以上はトヨタの車と思われる。でも、トヨタの車が火を噴いたというニュースは決して報道されない。なぜかというと、ニュースバリューが無いからだ。
マスコミが報道するのはニュースバリューがある事件だけであり、今、最もニュースバリューがあるのは三菱自動車のトラブルだ。三菱以外の車も、毎日、平均すると全国で20台くらいは火を噴いているはずだけど、そんなんはぜーんぜん報道されない。

本来、公正な報道をするマスコミの正しい在り方とすれば、「三菱の車も火を噴いたりしてますが、これは何も三菱特有の欠陥が原因ではなく、車というものは、どこのメーカーの車であっても、日常的に火を噴いたりするもんなんです。すごく普通の故障なんです。毎年1万人もの人が死んでいる交通事故に比べれば、ぜーんぜん大したことないんです。みなさん冷静になりましょう」っていうのが本来だと思うのだけど、商売第一で、何でもかんでもヒステリックでセンセーショナルに報道するマスコミは、弱い者を見つけると、徹底的にいじめ倒す。寄ってたかって叩きつぶす。魔女狩りのように弱い者いじめを徹底する。何も知らない人が読めば、あたかもリコール隠しの結果、三菱の車が火を噴きまくっているような印象を覚える。典型的な情報操作だ。本当にマスコミって悪の権化だ。良い子ぶってるだけに、暴力団よりタチが悪い

こういうマスコミの餌食になってしまったのは、本来的に、リコール隠しを続けてきた三菱自動車の自業自得ではあるけれど、いくらなんでも可哀想じゃないですか。

(2004.7.10)



〜おしまい〜





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