誘拐テロに屈するな

〜 エスカレートする犯行 〜



イラクにおける誘拐テロが、遂に予想された段階にきた。今度は、イラクに派兵していないフランス人が誘拐されたのだ。
拉致されたのは国営ラジオ・フランスの記者と、新聞のフィガロ紙の記者だ。二人は今月20日、バグダッドからナジャフに向けて出発した後、行方不明となっていたのだが、「イラク・イスラム軍」を名乗る武装組織が2人を拉致したと発表した。

誘拐したテロリスト集団は、フランスが公立校でイスラム教徒女子生徒のヘジャブ(スカーフ)着用を禁止した法律を48時間以内に撤廃するようフランス政府に要求している。この法律は、今年3月に成立し、9月の新学期から施行される予定で、ユダヤ教徒のキッパ(丸帽)やキリスト教徒の大型の十字架なども禁止されるが、もっぱらイスラム教徒を標的にするものだとして、法律の成立前からイスラム系移民が抗議のデモを繰り広げ、中東諸国からも「反イスラム的」と非難の声が上がっていたものだ。テロリストも、スカーフ禁止法を「イスラム教徒と個人の自由への攻撃」と批判している。

例の3バカ日本人の人質事件と同様に、イラクでは武装テロ組織が記者を含む多くの外国人を拉致し、外国軍や企業の撤退を求めており、今回の事件を起こしたテロ集団も、つい先日、イタリア人記者を拉致し、駐留イタリア軍の撤退を要求していたが、これが拒否されたとして、27日に同記者を殺害したばかりだ。
今回のテロ組織の背後関係は不明だが、国際テロ組織アル・カイダの幹部が、フランスのヘジャブ禁止法について「イスラムに向けられた十字軍の敵意」と非難していることから、アル・カイダ系組織の可能性もある。

それにしても、イラクの武装テロ組織が、外国人誘拐にあたって、イラクに直接関連を持たない政治要求を行ったは初めてだ。フランスはアメリカのイラク侵攻に一貫して反対しており、軍隊も派遣していないから、「フランス人はイラクでは好意的に見られているから、誘拐される心配なんてないよ」なんて呑気に構えていたフランス人としては衝撃だろう。

しかし、これは、全く予想できなかった事態ではない。こちらが弱みを見せると、テロリストの要求というものは、際限なく拡大していくものなのだ。
例の3バカ日本人が人質になった時、我々(って誰?)は「断固として要求を拒否しなければならない」と強く訴えた。我々(だから、誰?)の強い声に押されて、政府も、「人命は地球より重い」などという信じられない幼稚な発想で奴隷外交を続けてきた歴代の軟弱な政府の対応とは異なり、「テロリストとは一切取引をしない」という毅然とした態度を堅持した。これに対して、頭の悪い短絡的な社民党やNPOどもなどは、「こんな事件が起こるんだから自衛隊は即刻撤退すべきだ」なんて幼稚な事を叫んでいたが、このようなテロ組織の要求を受け入れたりすると、「民間人を誘拐して脅迫すれば政府の重要政策を変更させることができるバカな国」だと思われ、自衛隊の撤退にとどまらず、日本人を誘拐しては、ありとあらゆる無理難題を吹っかけてくるのが目に見えていた。国内の身代金目的誘拐も同じだが、誘拐に対して身代金を払ったりすれば、その場限りの解決にはなっても、その後、多くの類似事件を引き起こす事はバカでない限り容易に想像がつくが、社民党やバカNPOはバカなので想像がつかない。とにかく、テロに屈すれば、新たな誘拐やテロの標的になる。以前の日本のようにアホな妥協ばかりしていたら、テロ活動が全世界に蔓延した現在、世界中で日本人の誘拐が頻発するだろう。それなのに、社民党と同じくらいバカなマスコミは、鬼のクビでも取ったようなバカ騒ぎ振りで、「アメリカに追従して自衛隊を派遣するから、日本人も敵と見なされて攻撃されたじゃないか。恐れていたとおりだ。すぐさま自衛隊を撤退させろ!」なんて論調だった。
しかし、今回のフランス人の人質事件により、これらバカなマスコミや社民党のとんでもない勘違いが暴露された。醜悪なテロリスト共は、軍を派遣していない国の人間だって平気で拉致誘拐するのだ。そして、その要求が、イラクとは何の関係もない、フランス国内の宗教と教育の問題なのだ。
これが、どんどんエスカレートしていくと、どうなる?もし、日本政府がテロリストの要求に応じて自衛隊を撤退させていれば、それで一件落着かと言えば、大間違いで、その次は、例えば「日本にモスクを作らなければ日本人を殺害する」なんてトンデモナイ要求だって出てくるだろう。

今回の事件は、日本やイタリアはテロリストの要求に応じなかったが、フィリピンがテロリストの要求に屈して軍隊を撤退させたのが原因かもしれない。テロリストも、「うわ、びっくりした。軟弱外交の日本なら、もしかして撤退させるかもしれないと思ってたけど、日本じゃなくて、フィリピンがこんな簡単な誘拐事件で軍隊を撤退させるなんて、もうびっくり。こうなったら、あわよくば、二番煎じを狙って、どこの国でもいいから、片っ端から誘拐しちゃおう。別に、軍隊を派遣していない国だってOKよ。何でもいいから理由を見つけて誘拐しちゃえ」てな感じで、フランス人を誘拐したんだろう。

日本人3バカトリオが誘拐から解放された時、「彼らはイラクのために活動しているNPOだったから、それが評価されて解放されたんだ」なんて、まことに呑気な論評をするマスコミが多かったけど、今回、誘拐されたフランス人記者は、昨年、イラク問題における西欧の無理解を批判した「サダム・フセインのイラク」という本を出版したりしている。そんなことは、傍若無人なテロリストには、実は全く無関係だったのだ。

(2004.8.31)



〜おしまい〜





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