高知県知事選挙

〜 そんな余裕はないぞ! 〜



高知県の橋本大二郎知事が辞職し、11月28日に知事選挙が行われることになった。昨年、選挙があり、橋本知事が4選を果たしたばかりだが、二年連続の知事選となった。昨年の知事選で橋本知事に敗れた松尾徹人前高知市長も再び立候補を表明し、同じ顔ぶれでの対決が続くことになった。

なんでこんな事になったかと言えば、13年前に橋本知事が初当選した時の選挙資金問題を巡って県議会と対立し、県議会が辞職勧告決議案を採択したためだ。
確かに、橋本知事が説明責任をきちんと果たしたのか、と言えば、かなり疑問はある。「自分は全く知らない」と言うばかりなので、何が本当なのか、正直言って分からない。とてもグレーな感じ。しかし、そもそも、この選挙資金問題は昨年の知事選の時にも問題にはなっていたのだ。旧来勢力は、その時すでに、それの批判キャンペーンを繰り広げていたのだ。それでも高知県民は橋本知事を支持し、かつてない強敵対抗馬であった前市長を破ったのだ。それを今になってもしつこく蒸し返して辞職勧告決議をするなんて、あまりにも県民をバカにしている。

もとより、旧来勢力の橋本知事に対する怨念は深い。そもそも13年前に最初に当選したとき、対立候補は役人上がりの副知事であり、既成政党が中心となり、県議会も県内市町村も業界団体も、ほとんど全部、副知事を応援したが、選挙の結果は、圧倒的大差で橋本知事が勝った。古い政治体制に危機感を抱いた女性達の草の根選挙の大勝利であった。それ以来、圧倒的な人気を誇る橋本知事に対して旧来勢力は惨敗を続けてきた。前々回の選挙の時などは、対抗馬として農協の組合長を立てたが、なんと、農協の組合員数より少ない票しか獲得できなかった。前回の選挙には、現職の高知市長という極めて強力な対抗馬を立て、自民党、社民党、公明党、民主党など、共産党以外の既存政党総動員で戦ったが、それでも勝てなかった。

選挙の惨敗だけでなく、旧来勢力が怒っているのは、知事が自分たちを無視する事だ。普通の知事のように根回ししたり、裏で便宜を図ったりする事を一切拒否し、圧倒的な人気を背景に、強気でガンガン押してくるから怒っているのだ。だって、自分たちの存在意義が無くなるもんな。議員の存在意義ってのは、支持者に対して、いかに便宜を図るかである。その見返りに支持してもらっているからである。それなのに、知事と対立していては、支持者に便宜を図る事ができないもんな。

社民党系も反知事の急先鋒だ。なぜなら、知事は県の職員にも厳しいからだ。飲酒運転したらクビだとか、ストをした者は処分するとか、すごく当たり前の事をしているだけなんだけど、権力と長年のもたれ合いを続けてきた職員は、猛反発なのだ。そもそも自治労なんてところは、職場にパソコンが導入される事にすら、仕事の合理化だと言って反対してきたところだから、何でも反対するんだけど。なんで仕事を合理化したらいけないかと言えば、職員が余ってクビになるからだけど、県の財政が破綻しようとしている時代に、合理化反対は無いでしょう?まあ、社民党系は何でもかんでも反対する習慣が50年くらい続いているから、もやは変えようはないんだけど。

と言うことで、二年連続の知事選になってしまったのだが、本当にバカらしいことだ。まったく意味のない意義のない無駄な選挙だ。単なる嫌がらせだ。他に知事に抵抗する術のない議員達が嫌がらせする気持ちは分かるのだけど、なんと、この選挙に6億8640万円もかかるんですよ!このうち約5億円は国から特別交付金として出され、残りの1億8640万円が県の負担だ。ただでさえ貧乏で財政危機が叫ばれている高知県で、全く無意味な出費であり、また、国から出る5億円にしたって、全国民の負担なんだから、そんなバカげた嫌がらせのための選挙に使わないでもらいたい!

そもそも、高知県は、そんな内輪もめをしている余裕など、全然ないのだ!高知県議会の議員達に、その自覚はあるんだろうか。高知の経済情勢は極めて厳しい。例えば、
 ・四国4県の最近の有効求人倍率を見ると、香川1.19、愛媛0.76、徳島0.70に対して、高知は僅か0.44
もちろん全国でも最下位争いだ。
これに限らず、経済指標は全て極めて低い。全国47都道府県の中で、
 ・製造品出荷額は最下位の47位
 ・県内総生産は46位
 ・商品販売額は46位

などだ。そもそも人口が45位なので、当たり前と言えば当たり前なんだけど、でも実は、人口一人当たりになおしても、全然良くならない。
 ・人口一人当たりの県民所得も45位
なのだ。貧しいから国の財政援助も多く
 ・人口一人当たりの歳入決算額や歳出決算額や地方交付税額は全国2位
 ・行政投資額や国庫支出金額は全国3位

なんだけど、それでも
 ・道路改良率は44位
 ・下水道普及率も43位

で、社会基盤の普及は遅れている。

全国一位となると、例えば
 ・森林面積割合が1位
なんだけど、これは良いのか悪いのか。
ちょっと話がずれますが、面白いところでは
 ・年間日照時間が全国1位
なのに、
 ・年間降水量も全国1位!
これって、どういう事でしょう。要するに気候が激しいって事よね。
 ・生徒の人数当たりの小学校数や中学校数が全国1位
ってのは、要するに子供がどんどん少なくなって少子高齢化が進んでいるって事だ。
 ・社会福祉施設が全国1位
 ・一般病院病床数も全国1位

おまけに
 ・平均在院日数も全国1位
ってのは、これも高齢化に伴うものだろう。

ちょっと話がズレましたが、要するに高知県は非常に貧乏な県であり、県の財政も破綻しかかっており、行政は力を合わせて頑張っていかないと県民の未来は無いような状況なのだ。嫌がらせのために知事の辞職勧告決議をして無駄な選挙を繰り返すような愚かな事は止めてもらいたい。そんな議員にこそ辞職勧告をしなければならない。

(2004.10.26)



〜おしまい〜





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