イラク誘拐殺害事件

〜 気の毒な青年 〜



イラクで日本人青年が誘拐拉致され、そして殺害された。4月に発生した人質事件の3バカどもは生きて帰国したが、今回の青年は、気の毒にも首を切断されて捨てられていた。あまりにも悲惨な結末である。

何でも自分に都合の良いように事をねじ曲げる野党は、ここぞとばかりに政府を批判している。他にする事がない無能でヒマな社民党がキャンキャン叫ぶのは放っておけば済むことだが、責任野党であるべき民主党ですら「自衛隊の派遣が無ければ今回の事件が起こらなかったのは事実であり、自衛隊の派遣延長には反対だ」なんてトンチンカンな事を言っている。
単に政府攻撃のネタに使っているだけなら分かるけど、こいつら、本気でそう思っているのだろうか。まさかとは思うけど、もしそうだとすれば、あまりにも認識不足だ。

今回の事件はヨルダン人のザルカウィが率いる国際テロ犯罪組織が引き起こしたものである。ザルカウィは、アフガンでも戦闘経験を持つ国際テロリストであり、もともとイラクとは何の関係も無い。もちろんアフガンとも関係は無かった。もともと、少年時代から酒を飲んで傷害事件を起こすような不良少年だったのが、大人になってもっと本格的に喧嘩がしたくなって、あちこちの紛争に加わっているようなバカだ。何の主義主張もなく、単に人殺しが好きで、あちこちで戦闘をしているだけだ。だから、イスラム教徒に対しても、シーア派には敵対しているし、クルド人にも敵対している。もちろん、こういうテロリストが活動できる背景には、資金提供者がいるはずで、たぶん、サウジアラビア当たりの金持ちから金が出ている可能性が高い。

そもそも、こいつらの目的は、自衛隊の撤退なんかではない。それは単なる言い訳だ。そんな事を鵜呑みにする野党やマスコミは、あまりにも現状認識がなさ過ぎる。こいつらの真の目的は、イラク国内を混乱させることにある。イラクでは来年1月に国民議会選挙が予定されており、本格政権樹立に向けて着々と準備が進められている。武装勢力は、そんな事になったら自分たちの立場が無くなるので、国内を混乱させて、これを阻止しようとテロを活発化させているのだ。

だから、今回の事件は、日本が自衛隊を派遣しているから起きたものではない。フラフラ歩いている外国人だったら誰でもいいのだ。イラクに派兵していないフランス人や、イスラム国家のトルコ人やエジプト人、さらにはネパール人まで誘拐されて殺害されている。まさに手当たり次第だ。
こいつらは極めて狂信的で独善的であり、イラクの大半の市民とは、かけ離れた存在だ。無差別的な手法によりイラク復興を混乱に陥れることを狙った犯罪行為はとどまるところを知らず、イラク市民も標的にしたテロも頻発し、イラク民衆も敵に回しつつある。
それなのに、この犯罪組織の行為を、あたかもイラク人の総意であるかのごとく取り上げ、自衛隊派遣を非難する社民党などの幼児的な発想は、バカバカしくてまともに取り上げる気もしないのだが、世の中には、それに騙される人も多い。困ったバカ政党だ。

とは言え、今回の事件では、その結末の衝撃度に比べ、マスコミの報道は控えめである。4月の3バカトリオが誘拐された時は、自衛隊の撤退問題も含め、もう大騒ぎのバカ騒ぎだったのに、今回は、異様な程の報道の少なさである。

これは、3バカトリオの場合、極めて独り善がりの独善的で軽率で浅薄な行動であったとはいえ、自分たちは反戦のボランティアだと主張していたため、お調子者のバカマスコミが揃いも揃って援護し、彼らをヒーローに祭り上げて大騒ぎしていたのだが、今回の青年は、全く主義主張も無く、明らかに単なる物見遊山だったため、さすがのお調子者のマスコミも、どうにもこうにも擁護のしようが無かったのだろう。さすがのバカマスコミも、今回の青年に対しては、単なるはた迷惑で軽率な人間と見なしているのだろう。

しかし、話を蒸し返すが、4月の3バカトリオに比べ、今回の青年の方が、よっぽどマシだ。独善的かつ下心見え見えで、ボランティアなどと称して迷惑を掛けにいき、おまけにバカ家族も揃って政府を非難するような大迷惑バカ集団に比べ、今回の青年は、自分の非を認め、ちゃんと謝っていた。家族だって、みんなに迷惑を掛けている事を謝り、決して「自衛隊を撤退せよ」なんていう筋違いな要望は出していない。彼は、確かに、軽率で無謀だったが、その責任を自覚し、誰をも批判していないところが、まっとうである。これが3バカトリオとの大きな、というか、決定的な違いである。

今回の青年は、極めて無謀であり、マスコミからも見捨てられてしまったが、実は、個人的には、同情してしまう。なぜなら、僕自身が、実行はしてないけど、「世界放浪の旅に出たい」ってのが夢だからだ。アメリカをはじめ、先進国へは何度も行ったし、住んだりしていたから、もうあんまり行きたくも無いけど、インドやアフリカやパタゴニアや中央アジアや、そして中近東など、ほんとにほんとに行ってみたい。かつ、行くのなら、小ぎれいなツアー旅行なんかじゃなく、バックパックでうろつき回って真実を見たい。みたいみたい見たい。でも、なかなか時間も無くて行けない。そんな事を言ってる間に、どんどん歳を取ってきてしまい、体力的にもインドやアフリカ放浪の旅は難しくなりつつある。でも、夢は衰えていない。
って状況なので、もし僕が若くて元気なら、もしかしたら、無謀にもイラクへ行った可能性もある。僕も、無謀さと無責任さんと軽率さにかけては、かなりの水準なのだ。もちろん、自己責任が原則だけど、今回の青年だって、結局は自己責任の結末となったわけだ。それにしても、やはり気の毒な青年だ。どうせなら、あの3バカトリオが殺されていた方がマシだった。忌々しい3バカどもめが。

それから、今回の事件の報道が異様に少ないのは、直前の新潟中越地震の影響もあるだろう。こっちの方が、はるかに被害は大きいし、しかも何の非も無い人々が犠牲になっているので、ずっとずっと重要だ。そういう意味では、今回の事件を起こした中東のテロ犯罪組織は、ちょっとタイミングを誤ったと言えよう。この時期に軽率な青年を拉致して殺害したって、日本の世論に与える影響は極めて軽微なものにならざるを得ない。
このような無意味な犯罪は、もう止めて欲しい。

(2004.10.31)



〜おしまい〜





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