ブッシュ再選

〜 ブッシュ勝利は予想外か!? 〜



4年振りのアメリカ大統領選挙が終わった。前回のブッシュ対ゴアに匹敵する激しい争いの結果、ブッシュ現大統領がなんとか再選を果たした。

今回も前回と同様の混乱を懸念する声もあったが、前回の大混乱の元凶であったフロリダ州ではブッシュが予想外の早さで勝利を収めたし、フロリダに代わって混乱の的になったオハイオ州にしたって、現実的には、どう見てもケリーの逆転はあり得ない開票状況だったので、ケリーはゴアのような未練がましい醜態をさらすことなく、あっさりと敗北宣言を行った。前回、ゴアがしぶとく粘ったのは、獲得した選挙人の数では負けたものの、総得票数では勝っていたこともあるが、今回は、総得票数でもブッシュがケリーに勝ったので、諦めもついたのだろう。
ケリー陣営内では、副大統領候補のエドワーズが「敗北宣言すべきではない」と徹底抗戦を主張したが、逆転の可能性がほとんど無い中で、これは単に前回の混乱を再現するだけであり、そういう無意味というか不毛な戦いをケリーは避けた。エドワーズって、ゴアと同様、いかにもリベラルな優等生って感じで、嫌みったらしくて鼻につく。ブッシュのバカ面の方が親しみが持てる。民主党でもケリーはゴアやエドワーズに比べれば、はるかにマシだ。

今回の結果は、個人的には喜ばしいと言うか、ホッとしている。誤解の無いように言っておくと、今回の選挙戦でも最大の争点になったイラク戦争に関しては、僕は当初からあくまでも反対だった。あまりにも身勝手な理屈により侵略戦争だからだ。(もちろん、知恵の回らない幼稚園児じゃないので、「イラク戦争に反対する」ことは「自衛隊派兵にも反対する」ことには結びつかない。全然、別問題だ)
また、ブッシュ大統領の資質に対しても大いに疑問がある。どう見てもオツムが弱く決断力の無い、いい加減な田舎のおっさんだよなあ。誰が見たって、ゴアやケリーの方が、はるかに理知的でしっかりした人物だよなあ。(もちろん、人間的にはゴアは大嫌いだが)

しかし、日本の国益という観点から、僕はブッシュの再選を喜ぶバカなイラク戦争に嫌々でも付き合うことにより、日本はブッシュとの間で強い信頼関係を築くことができた。これは北朝鮮の暴発リスクを抱える日本にとっては非常に重要な問題だ。また、潜在的な最大脅威である中国問題を考えても、信頼関係のあるブッシュ政権が継続した方が良い。
逆に言えば、中国なんかは民主党政権になって欲しかったかもしれない。ケリーは保護貿易主義的な政策を打ち出していたので、中国にとって一概に好ましかった訳ではないが、政治的な姿勢では、歴史的に日本より中国を重視する民主党政権を望んでいただろう。

ヨーロッパ各国も、ケリー政権を望む声が圧倒的に多かった。さすがにイラクに派兵している国々の政権は、ブッシュ支持をにじませていたが、どこの国でも、国民の圧倒的多数はブッシュ政権にNOと言っていた。もちろん、日本も同様だ。自民党政権はブッシュ政権の継続を願っていたが、国民は、どちらかと言えばケリーに好意的だった。
これに輪を掛けて、マスコミはヨーロッパや日本も含め、さらにはアメリカの有力マスコミも含め、世界中の大半がケリー支持だった。と言うか、要するに、反ブッシュだった。まさに今回の選挙はブッシュ対ケリーじゃなくて、「ブッシュ」対「反ブッシュ」だった。そして、マスコミは、自分が支持しているケリーに有利な報道ばかりしていた。まるで世界中が反ブッシュで染められており、悪の帝国を倒すケリーを英雄のように讃えていた。こういうマスコミだけを見ていると、アメリカでも反ブッシュの嵐が吹き荒れ、ケリー政権が誕生するような期待を抱いた人も多かっただろうが、それは認識が甘い。

今回の選挙結果を州別に見ると、ブッシュが勝利した州とケリーが勝利した州とは、見事に分かれている。ケリーは、ボストンからニューヨークやフィラデルフィアを経てワシントンに至る北東部全州と、シカゴを中心とする中西部、そしてカリフォルニアなどの西海岸を全て勝ち取った。要するに先進的な都市部は全てケリーを支持したのだ。日本で言えば、東京から名古屋を経て関西に至る大都市圏を全て勝ち取ったようなものだ。一方、ブッシュは、それ以外、すなわち広大な田舎を全て勝ち取った。日本の選挙でも、大都市部は左翼系や野党が強く、田舎では自民党が強いので、全く同じ構造だ。日本の選挙で、左翼的なマスコミが、いくら自民党政権を批判して政権を覆させようとわめき立てても、田舎で強い自民党がしぶとく政権を維持しているように、アメリカでも、先進的な大都市圏で民主党が圧勝しても、広大な田舎ではブッシュに勝てなかったのだ。
日本の偏向マスコミと同様に、アメリカでも有力なマスコミはニューヨークやワシントンやシカゴやカリフォルニアに偏っているため、その報道だけを見ていると、アメリカ国民も反ブッシュに染まったかのような印象を受けるが、面積では圧倒的な多数を占める広大な田舎では、そなな新聞を読む人はいない。

投票直前のマスコミの世論調査は、ケリーがブッシュとの差を縮め、一部調査では逆転していたし、マスコミはケリー氏支持を打ち出すだけでなく、報道面でもイラク情勢の「悪化」を拡大して伝え続けるなど「ブッシュ不利」の印象を強めていた。また、反ブッシュの映画を大々的に上映し、世界中で反ブッシュの大きな潮流を作った映画監督マイケル・ムーアを始め、リベラル過激派から過激で感情的なののしりが浴びせられたりした。
しかし、選挙結果は、ブッシュへの支持が意外なほど堅固に示された。アメリカの広大な田舎に住む人たちは、海外の世論や政治情勢などには、驚くほど無関心だ。あくまでも「世界」とは「アメリカ」であり、その他の国の事は全く無関心だ。そもそも、自分の国の国内選挙なんだから、外国の意見を聞く必要はないのだが、そうは言っても唯一の超大国の選挙結果は否応なく世界中に多大な影響を与えるのだから少しは気を遣ってくれてもいいと思うが、彼らの世界観はアメリカ国だけで閉じている。
さらに言えば、アメリカの広大な田舎に住む人たちは、アメリカ国内についてだって、自分の州以外は、遠い外国のようなとらえ方だ。ニューヨークやロスアンジェルスの事なんて、全く無関心だ。全く知らない。(ま、僕のお母ちゃんだって、東京の事なんて全く知らないし無関心なんだから、同じか)
だからこそ、もっと重大な問題があるのに、選挙戦では極めてレベルの低い中傷合戦が続いていた

てな訳で、世界中が多大な影響を受け、1年も前から注視し続けてきたアメリカ大統領選挙なんだけど、実際に投票するアメリカ国民からすると、世界の事なんか関係なく、あくまでも自分の身の回りの事だけを考えて投票するのだ。そして、広大な田舎を見方につけたブッシュが逃げ切った訳だ。

さて、今回の選挙は、大激戦の接戦とは言え、前回よりは優劣がはっきり付いたので、そんなに問題にはならなかったが、相変わらず選挙制度に対しては疑問が多い。先進国とは思えないザッとしたいい加減な選挙制度と投票システムだ。どちらかの優位がはっきりしていれば問題も顕在化しないが、前回や今回のような接戦になると、問題多いわな。
投票システムの不備については、技術的な問題のように見えるが、実は、政治的な問題でもある。投票システムの整備によって棄権や無効票が減少すると、救われるのは黒人などが多いため、黒人の支持が高い民主党に有利になったりするからだ。
さらに、州内で少しでも得票数の多い党が選挙人を丸取りする制度については、世界中から疑問視されている。しかし、いくら世界中が疑問視しようが、アメリカ国民には関係ないことであり、この制度は続きそうだ。今回の選挙と同時に、コロラド州では「選挙人を得票率に応じて比例配分する案」が提案されたが、これは否決された。その理由としては、「比例配分されちゃうと、小さな州は重要視されなくなるから」という事らしい。なるほど。総取り方式だと、選挙人の人数割当が5人しかない州でも、接戦になると5人が重みを持ち、キャスティングボートを握れる。5人を取るか5人を失うかはプラスマイナスで10人の差になるからだ。これが比例配分だと、どう転んでも、せいぜい2人対3人だから、あまり差がなく、小さな州は重要視されなくなるのだ。

また、今回の選挙では、同時に実施された上院、下院の両議会選挙でも共和党が勝利し、議席を増やして過半数を維持した。アメリカでは、予算の編成や承認の権限は議会が握っているため、いくら大統領選挙で勝っても、議会の同意が無いと大統領が政策を進めるのも難しい。このため、両議院選挙でも勝利した意味は大きい。アメリカの大統領は、政権二期目は、次回の大統領選挙がないため、思う存分、歴史に残る業績をあげようとする。これが吉と出るか凶と出るかは分からないけど。


それから、これも重要な事だが、今回、11の州で同性の結婚を禁止する州民投票があった。その結果は、提案された11州すべてで禁止が可決された。そもそも、今回、このような投票があった州は、同性婚を禁止しようとする意向の強い地域であり、当たり前と言えば当たり前だ。保守的な南部各州では8割前後の賛成で可決している。ただ、かなりリベラルな州である西海岸のオレゴン州でも6割の賛成で禁止が可決された。
これも喜ばしい結果だ。だって同性婚なんて嫌じゃない?生理的に受け付けないよ。気色悪い。しかし、それにしても、こういう投票がある事自体が、ちょっと怖い。日本なら、そんなん論外でしょ?あり得ないでしょ?ホモなんて気色悪くて、「半径10m以内には近寄らないで」って感じでしょ?いくら人権問題だと言われたって、僕は断固として反ホモです。ホモなんて大変態でしょ?それをホモ同士の結婚を許すだなんて、もうキチガイとしか言いようがないぞ。しかし、オレゴン州では禁止が6割しかいなかったてのは、かなり危うい状況と言えよう。たぶん、あと何年かすれば許されるようになりそう。そして、日本でも、だんだんそのようになるのだろうか。大統領選挙以上に重要な問題だぞ。
折しも、イギリスの人気歌手、エルトン・ジョンが、近く男性と結婚することがわかった。相手は10年以上交際していたカナダ人男性らしい。エルトンは、かつてドイツ人女性と結婚していたこともあるが、その後、離婚していた。男同士で結婚するなんて、本当に気色悪い。こなな奴は島流しにするか北朝鮮に拉致させねばならない。CDも捨てちゃおうか。こんな変態が大手を振って歩くような社会にだけはしたくないよなあ。

(2004.11.5)



〜おしまい〜





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