アラファト議長死去

〜 中東問題は解決できるか? 〜



アラファト議長の死

パレスチナ自治政府議長の、というより、PLO(パレスチナ解放機構)議長であるヤセル・アラファト議長が11月11日、入院先のパリ郊外のフランス軍病院で死去した。75歳だった。

アラファト議長は、10月中旬のイスラム教の断食月(ラマダン)に入った直後から体調を崩し、急速に容体が悪化したため、ヨルダン川西岸ラマラ市にある議長府にアラブ諸国から医師団が集まり、診察と治療を続けていた。その結果、白血病や敗血症など何らかの血液疾患を患っている疑いが濃厚となり、最新設備の病院で緊急に精密検査を受ける必要があると診断され、フランス政府がアラファト議長の治療を提供することになった。

パレスチナ自治政府は実質的にはイスラエルの管理下、というか、監視下に置かれており、アラファト議長は議長府に軟禁されたような状況だった。イスラエルは、アラファトを殺そうと思えばいつでも殺せる状態だったし、実際に議長府を攻撃したこともあったが、本当に殺すのは政治的にまずいと考えて、軟禁状態にしていた。今回のパリでの治療に当たってはイスラエルが出国を了承し、治療終了後のアラファト議長の帰還の保証も出した。アラファト議長がパレスチナ自治区外に出るのは、実に2002年春にイスラエル軍により議長府に軟禁されてから初めてのことだった。

アラファト議長はヨルダン軍のヘリコプターでヨルダンの首都アンマンに行き、そこからフランス政府の用意した特別機に乗り換えてパリに向かった。入院先は、パリ郊外にあるフランス軍病院で、仏国防省は「議長には特別な部屋を用意し、権威ある医師が万全の態勢で治療する」としていた。アメリカみたいにバカの一つ覚えのようにイスラエルばかり肩入れする幼稚で単純な外交と違い、さすがは老獪なフランス。アラブのテロリストの親玉にも強力な繋がりを持って影響力を保持している。

アラファト議長は、フランスへ向かった時点で、既に一人では立てず食事も口にできないなど身体的な衰弱が激しかったが、まだ意識ははっきりしており、テレビで見る限り、しっかりした表情で「また戻ってくるよ」なんて感じだった。事実、一時は回復に向かいつつあるとの報道もあった。しかし、11月3日に容体が急変し、数日前からは多臓器不全に陥っており、パレスチナ自治政府のアッバス前首相、クレイ現首相、国会にあたる評議会のファトゥーハ議長らが面会のためにパリに到着した。
面会と言っても、もう脳死状態だったらしいから、病状確認と後継体制を固める狙いだった。そのため、アラファト議長のスーハ夫人は、「彼らの訪問は、強引な権限移譲の企てだ」として非難していた。スーハ夫人はアラファト議長の元秘書なんだけど、アラファト議長がええ歳こいて秘書と結婚すると言い出した時、アッバスらが「イメージダウンになるから駄目」と強固に反対したため、それ以来、非常に険悪な仲にある。ただ、それだけでなく、スーハ夫人の後ろには、アッバス前首相と後継を争うPLOのカドウミ政治局長の影が見え隠れし、ちょっと怪しい。まあ、スーハ夫人にしても、かなり前から別居してフランスに在住していたんだから、あんまり偉そうな事は言えないと思う。

いずれにしても、彼らの訪問の前後から「アラファト議長の生命維持装置が外される」とか「外したらいかん」とかの情報が乱れ飛んでいたが、割とあっさりと死去に至った。生命維持装置が外されたのかどうかは分からないが、どっちみちアラファト議長の復活の可能性は無くなっていたらしいから、時間の問題ではあった。


パレスチナの権力の行方

パレスチナの権力構造は、日本の政治に例えて言えば、PLOが自民党のようなもので、パレスチナ自治政府が日本政府のようなものだ。そしてPLO内の最大派閥がファタハである。アラファト議長はファタハの親玉であると同時に、PLOの議長でもあり、さらに自治政府の議長でもあった。自分の派閥さえ掌握し切れていない小泉政権と違い、かつての田中角栄のような圧倒的な権力を集中させた体制と言えよう。
日本との違いと言えば、PLOを構成する各派が、自民党の派閥のような緩やかなものではなく、それぞれが武装組織を持つ強固な組織であり、対立が激しくなれば武装闘争も起こりうる事だ。さらに、PLOに参加していない他の組織は、もっと過激であり、自治政府の抑えが全然きかないことだ。

規定により、ファトゥーハ評議会議長がパレスチナ自治政府の暫定議長に就任したが、彼は元々大した力は持っておらず、だからこそアラファト議長が操り人形として評議会議長に任命していたのであり、いくら暫定議長になっても実質的な権力を握る訳ではない。それより、PLOの次期議長に就任したアッバス前首相を軸とする集団指導体制に移行するだろう。
アッバス氏は穏健派だが、ある程度の実権を持っていることから、今後の中東和平に彼の手腕を期待する向きがある。しかし、あまり大きな期待はできないのではないだろうか。これまでアラファト議長は自分一人に絶対的な権力を集中させ、意図的に有力な後継者を排除してきたことから、アッバス前首相の影響力も限られており、彼がどこまで権力を握れるかは不透明だ。いくらPLOの議長になっても、それを構成する派閥、特に最大派閥のファタハを掌握しない限り、PLO自体が空中分解してしまうだろう。
特に、自治政府の主導権確保をもくろんでいるイスラム原理主義過激派との権力争いの激化が懸念される。アッバス前首相はイスラエルとも協調路線を取る穏健派であり、これまでもイスラム原理主義者とは対立してきたが、アラファト議長が双方を抑えてきたおかげで、対立が危機的状況にまでは至らなかった。しかし、アラファト議長亡き後、PLOがこれまでのように、なんとか一つの組織体として維持できるかどうか分からない。ましてや、PLOと対立してきた過激派の動きを抑えるのは、極めて困難だろう。

このように、今後の情勢は極めて不透明であり、中東和平問題がどうなるか、まさに混沌としている。イスラエルや、その後ろ盾であるアメリカは、基本的にはアラファト議長をテロリストの親玉として、まともに相手にしてこなかった。もちろん、アラファト議長は押しも押されぬテロリストの親玉だった。でも、テロリストを激しく憎む僕だけど、アラファト議長のテロは、まさに悪魔の国イスラエルと闘う正義のテロである。強力なイスラエル軍と闘うには、パレスチナ人にはテロという手段しか残されていないのだ。イスラエルは、いくら非暴力で訴えても通用するような国ではないので、イスラエルの軍事力による圧倒的な暴力に対抗するためには、テロ以外の手段はあり得ないのだ。極めて正当な目的のために、かつ他に手段が無い場合は、テロは容認せざるを得ない。同じイスラム教徒のテロであっても、そもそもの目的が怪しげなアルカイダのテロとは根本的に違う。(ただし、パレスチナの良い子のテロ組織と、イスラム原理主義者の悪いテロ組織が結びついているのも事実であるが)
アラファト議長のテロがイスラエルにどれだけ打撃を与えたかは疑問だが、彼の功績は、ハイジャックなどのテロにより、パレスチナ問題を国際的にアピールし、世界の目を向けさせた事だろう。これがクルド人との決定的な違いだ。クルド人もパレスチナ人と同様に固有の国家を持たず、トルコやイラクに分割されたままだが、世界的には黙殺されたままだ。彼らもトルコ政府やフセイン政権と闘ったりしてきたが、あくまでも地域内の闘争に限られているため、アピール度が弱いわな。

アメリカはアラファト議長の死去を受けて、さっそく「和平の好機」と表明し、新指導部を後押しするための財政支援も示唆した。もちろん、「新しいパレスチナ指導部が『民主的で自由な社会を築くため手伝ってほしい』と表明すれば和平のための好機が訪れる。米国は喜んでパレスチナ人が国家を築くための支援をする考えだ」とのことなので、アメリカに都合の良い政府になれば、との前提だ。ま、当たり前だけど。
しかし、イラクでの大混乱を見れば分かるように、欧米の価値観が通用しない地域において、そなな都合の良い展開になるとは、とても思えない。しかも、単に価値観が違うというだけでなく、パレスチナ人にとっての最大の障害であるイスラエルという国の存在を、唯一かつ絶対的にバックアップしているのがアメリカなんだから、パレスチナがアメリカと仲良くなるなんて、完全に矛盾した空論だ


中東問題の本質


では、どうすれば中東問題は解決するのか。これは非常に難しい問題だ。なぜなら、イスラエルという国とパレスチナ人国家とは本質的に両立できないものだからだ。なにも理念の事を言っているのではない。物理的に両立しないということだ。

そもそもの問題の始まりは、ユダヤ人がパレスチナ人の土地を奪って、イスラエルを建国したことである。もちろん、ユダヤ人の力だけで建国できる訳はなかったのだが、第二次世界大戦終了時まで中東を植民地支配していたイギリスが、ヨーロッパの厄介者であったユダヤ人を追い払おうとして、パレスチナ地域でのイスラエル建国を支持したのだ。第二次世界大戦中、ユダヤ人はドイツにおいて大量虐殺されたため、ドイツだけが悪者のように思われがちだが、基本的に、どこの国においてもユダヤ人は厄介者であったため、祖先の地にまとめて追い出したものだ。
だがしかし、いくら祖先の地とは言え、ユダヤ人がパレスチナに住んでいたのは何千年も昔の話であり、その後はパレスチナ人が住み続けていた土地だ。それを強引に奪取し、無理矢理にイスラエルという国を建国したのだから、ずうっと住み続けていたパレスチナ人が怒るのは当たり前だ。しかし、パレスチナ人なんかがいくら怒っても、当時の欧米諸国はまるで聞く耳を持たず、無視した。自分とこの植民地にどんな国を作ろうが勝手でしょ、てなもんだ。イスラエルに限らず、第二次世界大戦後に独立した中東やアフリカ諸国は、どこも欧米諸国が勝手に作った国だ。だから国境がやたら直線で構成されている。地域の事情なんて何も考慮せず適当に地図だけ見ながら戦を引いた結果だ。アメリカがギャアギャア言うて攻め込んだイラクだって、国境は直線が多い。こなな強引な事をするから、後々になって地域紛争が起きるんだ。

もし仮に、土地を強奪されたパレスチナ人が我慢して妥協していれば、今のような混乱は無かったかもしれない。最初に国連で承認されたイスラエルの領土は、そんなに大きくはなかったので、パレスチナ人も自分たちの国を持てたかもしれない。しかし、パレスチナ人がイスラエル建国という暴挙を許すはずがなく、抵抗を示したのを良いことに、根っから強欲なユダヤ人どもは調子に乗ってやたらと戦争を始め、どんどんと領土を拡大していき、今の姿となった。(って言っても、占領を続けているヨルダン川西岸とガザ地区を除けば、国土は四国と同じくらいだから、大したことないと言えば、大したことないけど)
それにしてもアラブ諸国って、本当に弱い。あれだけオイルマネーがありながら、小さなイスラエルにコテンパンにやられるんだから、情けないくらい弱い。いかに腐敗しているかがよく分かる。イラクがクウェートに侵攻したとき、パレスチナだけはフセインを支持し、そのためにアラブ諸国から猛反発をくらい、資金援助も途絶えてしまったが、イスラエルに対して弱腰でなかったのはイラクぐらいであり、パレスチナの立場もよく分かる。
国としてはアラブ諸国はイスラエルにボロ負けだし、パレスチナ人は自分たちの国を持てないんだけど、だからと言って民衆が我慢できるかと言えば、それで収まるはずはないので、怒ったパレスチナ人は反イスラエル闘争を繰り広げ、それに対してイスラエルは無差別殺人で報復するのだから、普通に考えれば、この問題が解決する糸口は無い。


イスラエルという国

僕は決して本質的にユダヤ人という人種が嫌いな訳ではない。もちろん、決して好きではないが、ことさら嫌いという訳ではない。この点ではヒトラーとは違うぞ。話がそれるけど、北朝鮮という国は嫌いだが、北朝鮮の人民が嫌いな訳では決してない。韓国人も集団になると怖いが、ごく僅かの個人的に知っている韓国人は、みんな良い人だ。(ただし、すぐ集団ヒステリーになる中国人は、ほんとうに嫌いだ)

僕が「ユダヤ人が嫌いではない」というのは、なにもドイツ政府に逮捕されるのを恐れているからではない。
ドイツには恐ろしい法律がある。「ナチスの活動およびナチスのあらゆる栄光を称える行為を禁止する」という包括的な法律であり、「ホロコーストは無かった」なんて言おうものなら逮捕されて刑務所に放り込まれる。ま、それはドイツ人の勝手だけど、なんと、この法律がドイツ国外にも適用される、なんていうトンデモナイ判断がドイツ最高裁によって打ち出されたのだ。つまり、対象となるコンテンツがドイツ国内からアクセス可能である限り、別の国でウェブ上にコンテンツを掲示する外国人に対しても、ドイツの法律が適用されるというのだ。
このトンデモナイ判断は、ちょっと信じられない。世界中に繋がっているのがインターネットなんだから、「ドイツ国内からアクセス可能である限り」なんていうのは限定でも何でもなく、要は世界中のホームページが対象になるのだ。「おいおいちょっと待てよ、ドイツって国は、いつから世界中を裁く権利を持ってるのか?」てことだ。もし僕がここに「ホロコーストなんてデッチ上げだ。ユダヤ人なんて大嫌いだっ!」なんて書こうものなら、ドイツの秘密警察ゲシュタポが飛んできて、連行されてしまい、対ロシア戦線へ送られてしまうのだ。
て事は、たぶん、ない。いくら独善的で無茶苦茶なドイツ政府だって、このペンギンズ公式ホームページの片隅まではチェックできないだろう。だから、僕が「ユダヤ人は嫌いじゃないですよ」って言うのは、ゲシュタポを恐れているから嘘を言ってるのではない。少しは嘘だけど。えっと、大いに嘘だけど。

僕がユダヤ人を嫌いなのは(←嫌いって言ってるじゃないかっ!)、ユダヤ人を本質的に嫌ってるのではない。ここがヒトラーと違うところだ。「ユダヤが世界を支配している」というの三流のルポライターの世界であり、まともに聞いてはいけない。アメリカを牛耳っているってのは確かだが、これも自公連立政権における公明党のようなもので、キャスティングボートは握っているが、権力の本筋を握っているとまでは言えない。ナチスは相当にユダヤ人を嫌っていたようだが、あれは何なんでしょうねえ。ドイツという強力な国家にとって、そんなに致命的な存在だったとも思えないし、単に鬱陶しくて目障りだったのでしょうかねえ。いくらなんでも、民族を抹殺するっていうのは、ちょっと無理がある計画だと思います。
とにかく、僕が嫌いなのは、ユダヤ人ではなくて、イスラエルという国なのだ。いつまで経っても延々とパレスチナ人の殺戮を続けるイスラエルという国が大嫌いなのだ。あまりにも日常的風景になっているから、マスコミも大騒ぎしないけど、本当に沢山のパレスチナ人がイスラエルに虐殺され続けている。イラクでバカな日本人が一人殺されただけでギャアギャアわめくマスコミに、もうちょっと意味のある報道をお願いしたいね。

自己中心的なイスラエルは、テロによってユダヤ人が1人殺されると、パレスチナ人を100人くらい殺している。それに対して、ほぼ世界中の全ての国が非難しているが、唯一の超大国となったアメリカは、ユダヤ人に牛耳られているため、ただ一人拒否権を発動し続けてイスラエルを支えている。アメリカさえ支持してくれればイスラエルは恐いもの無しだ。っていうか、日本も含めた多くの国は、一応、国連でイスラエルを非難してはいるが、何にも実効的な制裁を加えようとはしておらず、口先だけの非難だ。パレスチナ人が何百万人殺されようが、自分たちの直接の利害に関係ないからだ。イラクで一般市民が巻き添えになって殺されている事にはギャアギャア叫きまわっているヨーロッパ諸国も、イスラエルによって継続的に殺戮されているパレスチナ人の事は黙殺している。こんな事が許されて良いのだろうか。


解決策はあるのか?

イスラエルの悪行には血管がぶち切れるくらい怒り狂う僕だけど、もし僕が神のように何でも出来る力があれば、どうするか、と言えば、やはり難しい。あっさりとイスラエルという国を抹殺して、パレスチナ人の国家を作ってあげればいいか、と言うと、事はそう単純でもない。何が問題かといえば、イスラム教徒である。イスラエルは極悪大犯罪国家だけど、世界的な脅威ではない。今日、世界的な脅威と言えば、イスラム教徒である。日本にとっては、北朝鮮も脅威だし、さらには中国が大脅威だが、世界的に言えばイスラム教徒が最大かつ喫緊の脅威である。

世界レベルでのイスラム教徒の増殖には不気味なものがある。中東だけでなくアジア諸国でもフィリピンやインドネシアなど、あちこちでやたらと紛争を引き起こしている。アフリカでもスーダンで黒人を虐殺しているのはアラブ系のイスラム教徒たちだ。黒人は黒人で、ナイジェリアやコートジボアールの混乱をみていると、素直に応援する気になれないけど、やたらと増大するような力が無い黒人に比べ、イスラム教徒の増殖と横暴には恐怖を感じる。彼らの多くは裏で結びついたイスラム原理主義者どもだが、それだけではなく、一般のイスラム教徒もイスラム原理主義者に同調し始めて問題が拡大している。
そして、そのイスラム教徒に、現在のところ、唯一正面切って対抗しているのがイスラエルなのだ。日本を始め、大半の国は、いくらイスラム教徒のテロリストが増殖しているとは言え、イスラム教徒全体に対して敵対するような事は言えるはずがないし、そもそも石油を供給してもらわないと経済が回らないから、アラブ諸国に強い事は言えない。その点、自分たちの存在がかかっているイスラエルは、全アラブを敵に回したって平気だ。その意味ではイスラエルにも存在意義がある。

僕が神なら、イスラエルもイスラム原理主義者も、どっちも嫌いだから、どっちもまとめて抹殺したいけど、それはあり得ないわな。平和主義者的な発想で、ユダヤ人とパレスチナ人による共存国家というのも理想だろう。僕はなにもこういう思想を頭から否定はしない。むしろ、理想だと思う。全世界の人がみんな平和主義者で非武装中立的な思想を持ってくれるのなら、なんと素晴らしい事だろう。しかし、それは、あまりにも非現実的な発想である。(現実に危険な国がうじゃうじゃ存在する世の中にあって、自分だけが非武装中立だなんていうのは、あまりにも世間知らずの甘えた考えである。その意味で、社民党の存在意義は無い。さっさと潰れてくれ)
中東においても、理想主義者的な平和共存はあり得ないだろう。イギリスがイスラエルという国を強引に作るまでは、パレスチナの地ではパレスチナ人とユダヤ人が共存していたのだが、今となっては、お互いの感情を考えると、現実的には無理だろう。同様な共存国家がボスニア・ヘルツェゴビナだが、形式だけ1つの国となっているものの、実質的には全くバラバラで敵対したままだ。以前はセルビア系とイスラム教徒が割と仲良く共存していたのに、今では住む地域も完全に分離している。ユダヤ人どもは今、パレスチナ過激派の侵入を防ぐためという名目で、勝手に占領しているヨルダン川西岸で分離壁を延々と建設しているのだ。まるでベルリンの壁のようなものだ。計画では、全長700kmに及ぶもので、既に200km分が完成している。ベルリンの壁は崩壊したが、この壁はイスラエルが存在する限り、崩壊しないのではないだろうか。

普通に考えれば、中東問題に解決策は無い。必死に考えても、解決策は無い。
ユダヤ人かパレスチナ人が消えて無くならない限り、解決策は無い。なにも「ホロコーストを再現せよ」なんて言ってるのではない。そなな事を言えばゲシュタポに連行されちゃう。そうじゃなくて、そういう偏狭な民族主義が無くなれば解決できるかもしれない。
あるいは、今後、全世界の人々の流動性が極めて高くなり、国家という概念自体が大きく変質し、国や土地というものに価値が無くなるような時代が来れば、解決できるかもしれない。
あるいは、人類が危機的な状況になり、土地争いどころでなくなれば、争いも無くなるだろうけど。

(2004.11.14)



〜おしまい〜





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