明石歩道橋事故判決

〜 マラソン大会中止の危機も 〜



約200人の死傷者を出した2001年7月の兵庫県明石市の歩道橋事故で、業務上過失致死傷罪に問われた県警、市、警備会社の計5被告に対し、神戸地裁が、県警と警備会社の2被告に禁固2年6月の実刑を言い渡した。市の3被告は5年間の執行猶予の付いた禁固2年6月だ。

これは極めて画期的というか、むっちゃくちゃ厳しい判決だ。雑踏事故で警察の刑事責任が追及された初のケースだ。

裁判では、花火大会の会場ルートの一つだった歩道橋に約6400人が滞留して大規模な転倒事故の危険性を予測できながら、通行規制や警察への出動要請など、安全確保の対策を怠ったとして、3者の「複合過失」を立証した。これに対し、各被告側は「自分たちに規制の権限はなかった」「必要な措置は取った」などと口々に無罪を主張し、責任をなすりつけ合っていた。
しかし、判決は、自主警備を原則とする自治体・民間主催のイベントだとしても、歩道橋など公道上の安全確保の注意義務は警察側にもある、と明示したわけだ。

直接に花火大会というイベントを主催していた市に責任があるのは分かる。また、その警備業務を請け負っていた警備会社にも過失があるのは分かる。有罪は当然だ。しかし、なんで警察にまで責任があるのだろう。まあ、やっぱり、あるのかなあ。
しかし、それにしても厳しい。何が厳しいかって、一番責任があると思われる市の人間が執行猶予付きなのに、警察の人が実刑だなんて、ちょっと厳しすぎるよなあ。だって、イベントを勝手に開催した市の人が執行猶予で、そのせいで仕方なく警備をやらなければならなくなった警察が実刑だなんて、なんとなく割り切れないよなあ。
亡くなった人の事を思えば、厳しすぎる事もないだろうけど、それなら市の人間も真っ先に実刑にして欲しいなあ。

なぜ僕が今回の判決を手放しで喜ばないのか、と言えば、このような有罪判決の結果、今後、警察による警備が非常に厳しくなるのではないか、という不安があるからだ。高松でも毎夏、盛大な花火大会が開催されるが、海での打ち上げを岸壁で見る形態なので、警備が厳しくなると見にくくなる。花火大会に限らず、色んなイベントで警備が厳しくなると予想される。

そして、何と言っても、僕が恐れているのがマラソンの警備だ。何を恐れているかと言えば、警備が厳しくなってマラソン大会が中止に追い込まれることだ。ただでさえ都市部のマラソンは交通規制が非常に厳しく、早く終わらさないと交通に支障が出るため、制限時間が非常に短い。だから速い人はいいけど遅い人は完走できなくなるのだ。さらには、警察の許可が厳しくて中止に追い込まれるマラソン大会も少なくない。このような現象が増えてくると、我々スローランナーにとっては活躍の場が少なくなる。
今回の有罪判決が変な風に影響して、マラソン大会の開催に支障が出ることのないように願うばかりだ。

(2004.12.20)



〜おしまい〜





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