日銀の不祥事

〜 モラル崩壊なのか? 〜



20年ぶりにデザインを一新した新紙幣が11月1日に発行されたが、この新紙幣に関して日銀の不祥事が明るみに出た

まず始めは、新紙幣が発行された直後の11月に、日銀前橋支店の職員5人が、新紙幣のうち、同じ数字が並ぶなど特徴のある番号で、収集家に人気があって高値で取引されることもある1万円札などの新紙幣計11枚を不正に交換、入手していた事が分かった。この5人は、現場の監督者が席を離れたすきを見て、数回にわたり番号が「E888888M」の1万円札や「A000001M」の千円札などを、自ら持ち込んだ別の番号の新紙幣と交換していた。5人は共同で不正を行い、「記念に手元に置いておきたかった」などと説明しており、転売などで利益を得る意思はなかったといっているが、本当のところは分からない。この5人は、停職や減給などの処分とされ、さらに監督責任者である前橋支店長ら4人がけん責処分となった。

この前橋支店での不祥事を受けて、日銀が特別調査した結果、今度は神戸支店での同様な不祥事が判明した。神戸支店の職員3人が、やはり同様に希少価値のある珍しい記番号の新1万円札4枚を、自分の所有する別の新札とすり替え、持ち帰っていたのだ。しかも、今回は、管理職である神戸支店発券課長(59才)が加わっていたし、さらに、企画役補佐(60才)に至っては、今回、新札2枚を不正に交換していただけでなく、なんと過去にも旧紙幣47枚を10年以上にわたって不正なすり替え行為を繰り返し、収集していたことが判明した。
調べによると、発券課長と企画役補佐、女性職員の3人は、11月4日ごろから22日までの間に、「DF111111Z」「DD123456Z」「DA777777Y」「DE123456Y」の連番やゾロ目の珍しい記番号の新1万円札4枚を手持ちの別の新札とすり替えていた。
日銀は特別調査で、神戸支店で払い出し用に準備されていた紙幣の束の中に、途中で存在するはずの記番号の札が1枚抜けていることが分かったため、発券課長らを追及した結果、すり替えの事実を認めたという。調べに対し、課長らは他の30代の職員2人にすり替えを実行させていたうえ、特別調査前には、口裏を合わせて関与を否定するよう申し合わせていた。今回も、3人はすり替えの目的について、「記念にしようと思った」「保存が目的だった」などと答えており、転売を否定しているが、これだって本当のところは分からない。
今回は犯人が管理職であるうえに、虚偽の説明をしていたことが問題視され、発券課長と企画役補佐の2人は諭旨免職に、50代の女性職員は停職1週間の処分となった。女性職員の停職1週間に比べて管理職2人が免職ってのが厳しいような気もするけど、仕方ないか。さらに悲しいことに、支店長も更迭されてしまった。

これらの不祥事を受けて、福井俊彦総裁は「職務の厳正性、公正性が強く求められる中央銀行として誠に遺憾で、改めて深くおわび申し上げます」との談話を発表し、再発防止と信頼回復に全力をあげる方針を示したが、通貨の番人である日銀としては、誠にお粗末な事件である。
なんと言っても日銀って、裁判所と並んで一番固い組織というイメージだ。政府の役人は自分たちだけの事を考えていい加減な事を繰り返しているが、日銀は最後の良心って感じで、絶対に悪いことはしないっていうイメージが強い。(僕だけ?)
それなのに、なんとも情けない事件で、遂に「日銀よ、お前もか」って気がする。一体、何が起こっているんだろう。このモラル崩壊は、日本社会の閉塞によるものなのか。

なーんて、マスコミは書き立てている。確かに、そういう疑問はある。でも、よくよく考えてみれば、もしかして、これくらいの不祥事は昔からあったんじゃないの?単に、今までは外部に漏れてなかっただけじゃないの?役人の収賄とかだって、昔からあったけど、昔は問題視されなかっただけじゃないの?最近、役所も企業もNHKも、色んなところで不祥事がどんどん出てくる感じだが、それって昔は問題視されなかっただけじゃないの?
てことは、最近、このような不祥事がどんどん外部に出てくるってことは、どの組織も情報統制が弱くなってきて情報が漏れやすくなったって事だし、もしかして、これは良い事ではないだろうか。

(2004.12.21)



〜おしまい〜





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