マスコミ関係者の犯罪

〜 他人ばかり批判するな 〜



テレビ朝日社員の逮捕

大阪の情報システム開発会社メディア・リンクスの架空取引に絡む業務上横領事件で、テレビ朝日の社員が逮捕された。問題となった架空取引自体は、この業界では日常茶飯事だったようだ。まだまだ売上規模の小さいベンチャー企業が業績を大きく見せようとして架空取引により売上高を水増しするのだ。確かに、部外者から見ると、売上高の規模は、会社の信用力を判断する大きな材料となる。だから、これは経済詐欺の一種だ。

しかし、純粋に売上高を大きく見せる水増し工作の架空取引だけだったら、まあ、許せる。いえいえ、本当は、絶対に許しては行けない詐欺行為だけど、私腹を肥やしていなければ、なんとなく情状酌量の余地もあるかなあ、なんて思ったりもする。なぜなら、本当は実力があるのに、売上高がまだまだ少ないという理由で取引に苦労している企業も多いからだ。

しかし、今回のテレビ朝日の社員は、私腹を肥やしていたのだ。この事件では、同様に大企業である伊藤忠の関連会社である伊藤忠テクノサイエンスの社員も逮捕されているが、この2人は幼なじみだ。彼らは架空取引に絡んで約1億7100万円もの大金を着服して、自分たちで山分けしているのだ。業務上横領の罪であり、これは破廉恥な犯罪だ。どっちも大企業の社員でありながら、全くモラルが欠如している。

この事件に対して、テレビ朝日は逃げまくっている。テレビ朝日だけでなく、マスコミ全体が逃げている。これは、いつ同じような事件が自分のとこに降りかかってくるか予想できないからだ。報道では、このテレビ朝日社員は「元社員」となっているが、会社を辞めたのは、この事件が原因なので、「元」なんてつけるのは卑怯だ。テレビ朝日は、まるで今は無関係みたいに装っているが、誤魔化してはいけない。今は辞めていようが、在籍中の犯罪なんだから、れっきとした社員の犯罪だ。

このテレビ朝日社員は、一度、会社から処分を受けている。彼は、着服金の振込先となった情報サービス会社を創業し、副業としていたのだが、この副業が社内で発覚し、2003年9月に就業規則違反で口頭の厳重注意処分を受けてたのだ。しかし、まあ、口頭の注意だから、大した処分ではないわな。口頭の注意くらい、僕なら、毎日やってるぞ。しかも、口頭の注意を受けただけで、その後も、この副業は続けていたのだから、あまりにも甘い処分だ
そして、その後、2004年10月に、「職務時間内に、職務とは無関係の業務を行った」ことを理由として降格処分をした。前回は口頭注意だけだったのが、この時は降格処分になったということは、事件の概要が分かってきたからだろう。最初の時は、重要視してなかったから形だけの処分にしていたけど、事件性を帯びてきたので、慌てて降格処分にしたのだろう。しかし、それでも降格処分だ。懲戒免職ではないのだ。
そして、この降格処分の直後の2004年12月末に、彼は「一身上の都合」を理由にテレビ朝日を退職した。明らかに、逮捕を予想したのだろう。


毎日新聞販売店員の逮捕

奈良市の女児誘拐殺人事件の犯人が毎日新聞の販売店の従業員だったのには驚いたが、一番驚いたのは毎日新聞社だろう。逮捕直後の記者会見で、毎日新聞社は「従業員逮捕は寝耳に水の出来事」と当惑していた。スクープが命の新聞社でありながら、自らの従業員の逮捕は全く予想していなかったらしく、会社としては、「販売店主から連絡があって初めて知った」とのことだ。なんという情報収集能力の欠如だ。犯人の勤務状況などについて聞かれても「販売店主でないと分からない」とか、「本社の社員ではないので顔写真は無い」とか、被害者家族への対応についても「今は考えられる状況にない」と述べ、終始、逃げの姿勢が見られた。普段、徹底的に他人を批判して追求するくせに、いざ自分が追求される立場になると、一転して逃げ回る。

その後、毎日新聞社は、この犯人が犯行時に勤務していた販売所と、その直前に勤務していた販売所の2販売所との取引契約を解除した。犯行当時の販売所だけでなく、直前に勤務していた販売所まで契約解除したのは理由がある。犯人は、その直前の販売所で集金された新聞代を横領し、姿をくらましたため、販売所は警察に被害届を提出したのだが、その後、別の販売所に勤務している犯人の居所を知ったものの、警察に連絡していなかったのだ。警察は、業務上横領容疑で逮捕状を取っていたのだから、ちゃんと連絡してきちんと警察に捕まっていれば、今回の犯罪は無かったかもしれないのだ。その意味で、この直前の販売所の罪も大きい。

しかし、この契約解除処分って、販売所にとっては厳しい処分だが、毎日新聞社にとっては、全く処分にはなってない。単なる下請け切りだ。毎日新聞社は「重大な結果に対する責任を痛感している」なんて言ってるが、下請けをいじめたって毎日新聞社が反省したことにはならない。
それにも関わらず、マスコミは毎日新聞社に対しては全く非難していない。なぜなら、同じような事件が、自分のところにだって、いつ降りかかってくるか予想もできないからだ。実際、この犯人は、毎日新聞だけでなく様々な新聞の販売店員をやっていたのだ。幼女8人への強制わいせつ事件や幼女の首を絞めた殺人未遂事件などを起こした後、奈良県や滋賀県の毎日新聞、朝日新聞、読売新聞、日経新聞などの販売店などに相次いで勤めていた。新聞各社は、「事件を起こしたのが、たまたま毎日新聞の販売店に勤務している時で良かった」と思っているだろう。ホッとしているはずだ。しかし、他の新聞社だって、犯人が殺人未遂事件などを起こした後でも雇っているのだから、批判される点はある。

このいきさつを見ていると、新聞社は、従業員の管理が本当にいい加減だって事が分かる。同じ毎日新聞社の販売店の1つで売上金を持ち逃げしておきながら、別の毎日新聞社の販売店に平気で就職し、それがしばらく発覚しなかったというのは、一体どういう管理をしているのだ。新聞販売店の従業員って、犯罪者であろうが何であろうが、なんの調査もなく、すぐになれるのか
たぶん、そうだろう。田舎ではそうでもないが、都会での新聞勧誘員の態度はひどい。はっきりいってヤクザまがいだ。独身で東京に住んでいた頃など、よく喧嘩したものだ。どこの新聞社の販売員も同じだ。だって、今回の犯人と同じように、彼らは、どこの新聞社であれ、あっちこっち渡り歩くからだ。彼らはヤクザの押し売りだ。そういう奴らを雇って営業している新聞社って、偉そうに他人の批判なんてできるのか?


許せないマスコミの態度

しかし、まあ、これらの犯罪そのものに対して、僕はマスコミを糾弾しようとは思わない。テレビ朝日の社員にしても、そういう人間はどこの会社にもいるだろうし、それがたまたまテレビ局の社員だっただけだろう。また、新聞販売店の従業員にしたって、そういう奴はどこに潜んでいるか分からない。そいつが、たまたま毎日新聞社の販売店の従業員だっただけだろう。もちろん、「誰でも彼でも何のチェックもなく犯罪者を雇用する新聞社って、一体なんなんだ」と思わないでもないが、そういう低賃金で悪条件の仕事につく人というのは限られているから、仕方ない面もある。

だから、僕は、これらの犯罪を未然に防げなかったマスコミ各社の管理体制を糾弾しようというものではない僕が糾弾したいのは、マスコミの態度である他の企業が似たような状況に立たされた時、マスコミは寄ってたかって徹底的に糾弾する。遠慮無く弱い者いじめに血まなこを上げる
例えば、原子力発電所で非常に些細などうでもいいような取るに足らない不祥事があった場合を考えてみよう。原子力発電所の点検作業には何百人、何千人という業者が動員される。電力会社の下請けの下請けの下請けの作業員達が大勢入ってくる。そして、彼らの1人が不注意から転落事故を起こして怪我でもすれば、新聞は寄ってたかって、電力会社の管理責任を問う。或いは、何千人もの下請け作業員の1人が誤ってドライバーを落としたとか、うっかりして雑巾を片づけてなかったとか、そういう時に、マスコミは電力会社の管理責任を徹底的に追及する。
しかし、あなた、そんなん無理よ。何千人もの作業員の行動を全て管理するなんて、できっこないでしょう?もちろん、それが大事故につながる可能性があるのなら、どんなにしてでも厳重に管理する必要があるが、本人が怪我するだけとか、ちょっとボヤが起きるだけとか、放射能と無関係の水が漏れるとか、原子力発電所固有の重大事故とは言えないような些細な事故があったって、そんなん、どうでもええやんか。それなのに、原子力発電所に関わる事故というだけで、思考停止型のヒステリックマスコミは、鬼の首でも取ったかのようにはしゃぎ回って大事件扱いで徹底的に糾弾する。

そのくせ、自分たちが矢面に立たされたときは非常に歯切れが悪い。しかも、マスコミ各社はお互いにかばいあって、全く批判しない。何の罪も無い小さな女の子を虐殺したのが新聞社の販売店の従業員だったって事について、もうちょっと反省があってもいいのではないか。

何度も言うが、僕は、「このような事件を防ぐことができなかったマスコミを糾弾せよ」とは言わない。企業として、そこまで責任を持つのは不可能だろう。どんな組織にも悪人はいるわけであり、それを企業が管理して未然に防ぐのは現実問題として不可能だろう。
しかし、だからこそ、マスコミ各社は、他の一般企業が同じような立場になったとき、魔女狩りのように徹底的に糾弾するのではなく、相手の立場に立って物事を考えてくれ、と訴えたいのだ。分かったか!

(2005.2.4)



〜おしまい〜





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