おかしな市町村名

〜 野放しにするな 〜



平成の大合併で新しい市町村が続々と登場しているけど、その新しい名前はひどいのが多い。知恵もなけりゃセンスもない。しかし、それにしても、南セントレア市には、ぶっ飛んだ!

この名前を知ったのは、「議員どもがこの無茶苦茶な名前を付けようとしたため反対運動が沸き起こった」っていう事件を知ったからだが、全国から抗議が殺到して、ついに見直されることになったらしい。
この愚かな名前を付けようとしたのは愛知県の美浜、南知多両町だ。セントレアってのは、最近、開港した中部国際空港の愛称だ。この愛称自体、「セントラル」(中部)と「エア」(空)を合わせた無茶苦茶な造語であり、なんのセンスも知性も感じられない赤面ものの名前で、恥ずかしくて外国人に説明できないような幼稚な名前だが、しかしまあ、田舎の飛行場の名前なんだから、どんな名前を付けられようが仕方ない。でも、それをれっきとした自治体の名前に転用しようという発想が信じられない。信じられないのは僕だけじゃなくて全国1億2000万人の国民が、みんな信じられなかったから抗議が殺到したのである。
そもそも、このチンケな「南セントレア市」っていう名前は、公募して集まった329件の案には1つも無かった。「南知多市」という非常に真っ当な名前が70件で断トツの1位だったのだ。それなのに合併協議会は、公募候補は「参考にすぎない」として、自分たちで選び始める。それなら、一体なんのための公募だったの?と言いたいが、しかも、おまけに、その合併協議会での選考でも1位は「南知多市」だった。これで、もう諦めればいいのに、なんと、2位に入った「セントレア市」と6位になった「南セントレア市」と9位の「遷都麗空(セントレア!)」と合わせれば1位なる、との無茶苦茶な選考により、強引に「南セントレア」になったのだ。最初から結論があった出来レースだ。
平成の大合併では、ヤンキースの松井の故郷である石川県根上町も他の2町と合併したが、この時の名称公募でも「松井市」や「ゴジラ市」なんていうトンデモナイ案が多数あった。しかし、さすがに良識が示されて「能美市」になった。「南セントレア市」では、それとは逆に、合併協議会がバカバカしい名前を勝手にでっち上げたのだ。本当に知性もセンスも無いバカ議員どもだ。


確かに、せっかく新しい自治体を作るのに、古くさい名前では新鮮味が無い、っていう気持ちは良く分かる。しかし、珍奇な名前で喜んでいるのは自分たちだけであり、バカの独りよがりだ。周りからすれば単に分かりにくくて安っぽいだけで、全く意味が無い。

佐賀県では武雄市や嬉野町などの合併話で、温泉と窯業にちなんだ候補名湯陶里(ゆとり)市っていう案があったが、単なる語呂合わせだったので、住民から反対されてボツとなった。鳥取県の湯梨浜(ゆりはま)町ってのも、合併3町村の特色である温泉と梨と海岸が組み合わされたもので、造語のようなものだが、これは意味もあるとのことで、反対は無かったようだ。しかし、それでも、何の歴史も無い地名を勝手にでっち上げる事に抵抗はないのかなあ。

語呂合わせ以外にも、平成の大合併で生まれた名前はトンデモナイものが多い。四国では四国中央市なんていう、信じられない地名が生まれた。これには、四国内では非難の嵐だったが、強引に押し切られた。この地域には「宇摩(うま)郡」と言う地名があり、住民の多くも「宇摩市」を望んでいたのに、バカな議員どもが破廉恥な名前を付けた。地理的にも、決して四国の中央とは言えず(地理的には、四国の中央と言えば、よく渇水で話題になる早明浦ダム辺りだよなあ)、政治的に見ても、経済的に見ても、文化的に見ても、観光面から見ても、決して四国の中心どころか、愛媛県の中心どころか、愛媛県の東予地方の中心でもない地域だ。よくもまあ、恥ずかしげもなく四国中央市だなんて名付けたもんだわ。少なくとも僕の知る限り、住民はみんな恥ずかしがっているのが実態だ。

それから、最近の地名には平仮名が多くて非常に分かりにくい。地元の香川県でも、最初に合併してできたのはさぬき市だ。「讃岐」は、確かに、初めての人は読めないかもしれないが、初めての人が読めないから平仮名にする、っていう発想は貧困だ。初めてでは読めない方が印象の残るぞ。それくらい、考えろよ。さらに2番目に出来た東かがわ市ってのは、もっとひどい。いくらなんでも「香川」が読めない人は小学校を出てない人だろう。なんで「かがわ」を平仮名にする必要があるんだ?平仮名にすれば新鮮な印象が出るなんて勘違いしてるんかなあ。

平仮名の新市名と言えば、何年か前に東京の地図を見ていてあきる野市ってのが突然登場したのには、ぶっ飛びました。どう考えても「あきる野」だなんて、日本語とは思えなかったんだけど、調べてみると、あの辺りには(って、どの辺りだよ?)、秋留郷とか阿伎留神社とか秋留台地など昔から「あきる」の名はあったようです。でも、それなら漢字を使えばいいのに。「あきる」と「野」を組み合わせるセンスってのが分からない。
そう言えば、さいたま市ってのもあった。これも、一体なんで「埼玉市」では駄目なの?本当に理解できない。県庁所在地で唯一の平仮名だ。平仮名の地名って、重みも無ければ歴史も感じられない。軽すぎてバカみたい。

他にも、淡路島の南あわじ市とか、高知県の伊野町がいの町になったり、とか、何の意味も理由もなく、片っ端から平仮名になっていく。こんな漢字が読めないほど住民はバカなのか?

平仮名だけじゃなく、カタカナだって南セントレア以外にも南アルプス市ってのがある。しかし、まあ、これは、「南アルプス」の地名自体が広く浸透しているから、違和感は少な目だが。

合併した市町村の新しい名前を付けるのに困難が伴うのは、よく分かる。どこか1つの名前を取れば、他の市町村の住民感情が悪くなるし、もっと広域の名前を付けようとしたら既に存在しているとか。
でも、周りの人間から見て一番、分かりやすくて便利なのは、それまでの中心だった市の名前をそのまま使った場合だ。市町村合併の大半のケースは、本人達はどう言おうと、周りから見れば、どこが中心なのか一目瞭然だ。その名前をそのまま使ってくれれば非常に分かりやすい。それなのに、そういう名前は、県庁所在地などの大きな市が周辺市町村を吸収合併するケース以外は少ない。たいていの場合は、吸収される方の住民感情を気にして、吸収する方が妥協し、平等というか悪平等というか、みんなが丸く収まるような名前を模索する。吸収する方とすれば、名前にこだわって合併が決裂するのを恐れているのだ。

これは日本社会の馴れ合いの風土に由来するものであり、企業合併も同じだ。銀行の合併だと、太陽銀行と神戸銀行が合併した太陽神戸銀行と三井銀行が合併した「太陽神戸三井銀行」なんて、とても長くて不便だった。不便だったから、最後は「さくら銀行」になったのだが、それが住友銀行と合併すると、今度は「三井」が復活して「三井住友銀行」になった。「太陽」や「神戸」はどこに行ったんだ?
また、東京銀行と三菱銀行が合併した東京三菱銀行と、三和銀行と東海銀行が合併したUFJ銀行が、さらに合併した「東京三菱UGJ銀行」なんて、漢字とアルファベットが並ぶ珍奇で怪しい名前になっちゃったぞ。訳分かんない。どこまで続けるつもりだ?

って、市町村の名前の話題からはずれちゃいました。

(2005.2.26)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ