選挙だあっ!

〜 文句なしに面白い夏の闘い 〜



いやあ、ほんと、つい数週間前までは、いくら反小泉、反郵政民営化でも、解散を避けたいがために賛成に回る議員が続出して、結局、郵政民営化法案は可決になると思っていたけど、いやあ、予想外に反対派が頑固で、ついに選挙になりました。学生時代には渋谷のNHKの選挙速報本部にバイトに行ってたくらいの選挙オタクの僕ですから、もうワクワク状態です。


実は、僕は本来は、狭義の意味での郵政民営化には反対だった。郵政事業は極めて信頼性が要求される非常に重要な事業であり、クロネコヤマトには任せられないと思うからだ。(ただし、今の郵便局員が信頼度100%かと言うと、必ずしもそうでもないんだけど)
それと、世の中には、経済問題から外交問題まで、もっと重大な懸案事項が山ほどあるのに、なんで小泉首相は郵政問題だけに命を賭けるのか理解しにくいのも事実だ。

ただし、郵政民営化の本質は、郵便事業ではなく、郵便貯金事業だ。小泉首相は、郵便貯金が諸悪の根元だと思っているのだろう。これについては僕も賛成だ。一体なぜ、こんな巨大な国営銀行が存在するのか。存在する必要があるのか。理由は簡単で、国の借金を容易にするためだ。国の絶対的な信頼感を背景に庶民からかき集めた貯金を、国の膨大な赤字公共事業につぎ込むためだ。だから、この悪循環の根元のような集金システムは何とかしなければならない。なので郵便貯金の解体あるいは民営化は進めるべきだろう
しかし、それと郵政事業そのものの民営化は切り離すべきではないのか。郵便貯金はなんとかしなければならないが、郵政事業そのものは国営で続けて欲しい。

以上が基本的スタンスなんだけど、郵政民営化に反対する議員達は、そういう理由で反対しているのではない。絶対ない。

自民党の議員達は、選挙の時に特定郵便局長にお世話になっている。特定郵便局長ってのは、今どき珍しい世襲制の官職だ。これが自民党の集票マシンになっている。特定郵便局長は当然の事ながら、民営化には反対だ。だから自民党の議員も反対しているのだ。
さらに、郵便貯金でかき集めた金がつぎ込まれる公共事業は、利権と不正の温床だ。郵便貯金のシステムが壊されると、これまでのように甘い汁を吸えなくなる人間がいっぱいいて、彼らが国会議員達に反対を働きかけている構図は容易に想像が付く。
また、民主党など野党の議員は、支持基盤である組合の意向で反対している。組合が反対するのは、分かる。彼らは民営化によって勤務管理が厳しくなるのを恐れているのだろう。旧国鉄労組が民営化に反対したのと同じだ。彼らは利用者や国民の事を考えているのではなく、これまで楽だった仕事が厳しくなるのを恐れているのだ。

このような議員と業界との癒着体質を断ち切る意味では、郵政民営化もやむを得ないかなと思う。また、郵便事業は信頼性が求められるのだが、経営を立て直すためにも、民営化した方がいいかもしれない。このままでは旧国鉄のように破綻するかもしれないからだ。
さらに、郵政民営化よりも重要な案件が山積しているが、郵政民営化すら進められないような政権なら、他の案件だって進歩は無いだろうから、ここは選挙で一気に片を付けて勢いを付けた方がいいような気がする。

なので、少なくとも今回の選挙においては、郵政民営化法案に反対した利権議員どもは、絶対に落選して欲しいと思う
民主党については、小沢一郎は大好きなので、今だに大いに期待しているのだけど、郵政民営化に露骨に反対しているようじゃあ、ちょっと期待できないよなあ。


ところで、この一連の動きの中で、マスコミは一体どういうスタンスだったのか。実は、新聞社も大半が郵政民営化に賛成だ。悪の帝王である朝日新聞でさえ、ものすごくたまーにだけど、社説で郵政民営化賛成の論調を披露している。ところが、その割には、普段の記事は反小泉一色で埋め尽くされており、郵政民営化反対の自民党議員、例えば亀井静香とかに極めて同情的な書き方だ。亀井静香は死刑反対議員連盟の会長であるというだけでも、絞首刑ものの人間だが、本当に嫌な人間だ。また小泉首相に引導を渡されて泣く泣く議員を引退した中曽根元首相の息子である中曽根弘文参議院議員も、最後の最後で声高に反対を叫んで、参議院での否決の流れを決定づけたのだが、彼らに対しても新聞の記事は同情的だ。さらには、とっくに辞職してしまった野中元幹事長とかの意見も引っ張り出してきたりしている。
いったい、何なんだ、これは。って、分かり切っているけど。本当は郵政民営化が必要だとは分かっているけど、口が裂けても小泉政権の支持は打ち出せないから、批判的な記事ばかり掲載しているのだ
これはバカの帝王である朝日新聞だけじゃなく、日経新聞も同じようなものだ。郵政民営化には賛成だが、小泉には反対だ。なので、本来なら郵政民営化に賛成の論調をもっと掲載すべきなのに、反小泉の記事ばかり書くから、知らない人が読むと、一見すると、郵政民営化は悪いことのような印象を受けてしまう。


しかし、今回、マスコミ各社が行った緊急世論調査では、国民は意外にも割と冷静にしっかり判断している

朝日新聞社 毎日新聞 共同通信社 日本経済新聞 NHK
首相が解散したこと 賛成 48% 54% 54% 53%
反対 34% 36% 35% 33%
郵政民営化に対して 賛成 53% 52%
反対 31%
法案に反対した自民党国会議員の行動 共感しない 47% 48%
共感する 34% 42%
小泉内閣支持率 支持 46% 46% 47% 47% 47%
(前回調査) 41% 37% 43% 43%
不支持 37% 39% 37% 38%
望む政権 自民党中心 38% 50% 46% 47%
民主党中心 28% 35% 33% 31%
投票する政党 自民党 29% 38% 37% 45% 35%
民主党 15% 26% 23% 20% 14%

どうでしょう。見事に、いずれの調査も同じ結果が出ている。3つの調査がほとんど同じ結果ということは、信頼性は極めて高い。
すなわち、小泉首相の郵政民営化への取り組みは評価するし、今後も民営化を目指すべきだし、逆に党の方針に反して法案に反対した自民党国会議員の行動には共感しないし、その結果、内閣支持率は急上昇した。また首相が解散したことには賛成であり、9月の選挙で投票する政党は自民党だし、望む政権の形も自民党中心なのである。

つまりだ、反小泉で反対票を投じた議員に対する国民の視線は非常に厳しいものがある。小泉首相は、反対した議員は公認しないばかりか、対立候補を立てると宣言しているので、このままでは落選する議員が続出だろう。その場合、自民党公認議員との共倒れが多くなり、民主党の躍進が予想されるが、ただ、全般的に、民主党への支持は落ちており、必ずしも民主党の躍進とも言い切れない状況だ。反対派議員を切り捨てても、小泉自民党はかなり善戦するかもしれない。そうなれば、まさに小泉首相の思うつぼだ。すなわち、自分に反対する勢力を徹底的に排除し、構造改革に邁進するのだ。
また、仮に、民主党が間隙を縫って善戦し、政権を奪取すれば、それもそれで面白い
面白くないパターンとしては、反対派勢力が議席を維持し、政権を維持したい自民党が妥協して、復党を許し、結局は今と同じ顔ぶれになるっていう結果だが、そうはならない可能性が高くなってきたと言えよう。

いやあ、ほんま、繰り返しになるけど、郵政民営化反対派に対して全選挙区で対立候補を送り込むなんて自民党としては前代未聞の選挙戦略であり、これで小泉自民党が勝利すれば構造改革が一気に進んで、旧来の政治家と官僚が癒着しきった利権構造が瓦解し、非常に面白いことになるし、また逆に、もし自民党系が共倒れして民主党政権になれば、それはそれで非常に面白いし、ほんとにほんっとに、今度の選挙は面白いぞっ!

(2005.8.11)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ