アメリカ産牛肉輸入再開

〜 早く全面輸入再開を 〜



長らく輸入が禁止されていたアメリカ産牛肉が、「生後20ヶ月以下で、脳や脊髄などの特定危険部位を取り除いた牛肉と内臓」という条件付きの一部ではあるが、ようやく輸入再開の運びとなった。国の食品安全委員会が、輸入再開を容認する内容の答申原案を示したのだ。これで早ければ年内にも輸入再開となりそうだ。安くてうまい牛丼の復活だ。

ただ、輸入再開は誠に喜ばしい限りだが、全く意味のないヒステリックな輸入禁止から2年もかかった事に腹が立って仕方ない。本当にアホみたいな2年間だった。予想されたことだが、極めて日本的な意味の無い会議をダラダラと延々と続けてきた割には、食品安全委員会の発表はふざけたものだった。「アメリカのデータ不足などにより、科学的な回答は難しい」とか「あとは消費者が決めればいい」なんて言っている。そんな事は最初から分かっていることだ。世界標準から見れば全く意味の無い非科学的な検査を要求してきた事自体が間違っているのだ。また、買うか買わないかは消費者が選択するべき事であり、国がとやかく言う事ではないのだ。

これに限った事ではないが、本当に日本のヒステリックな対応は度が過ぎる。狂牛病の牛が蔓延していたヨーロッパですら、人間が感染した例は極めて少なく、それだって本当に狂牛病なのか明らかではない。日本では人間なんて誰1人感染していない。アメリカの牛だって、感染した牛が1頭見つかっただけだ。そもそも、根元的な問題として、牛の狂牛病が人間に感染することすら確定はしていない。交通事故で死ぬ確率と比べれば全く無視できる危険性だ。毎年1万人もの人が死んでいるのに、自動車の使用が禁止されないのは、社会全体で見ればメリットの方が大きいからだ。牛肉も同じことだ。

ヒステリックなおばちゃん共が勝手に食べないのはどうでもいい。食べたくない人に無理矢理食べさせようとは思わない。でも、そういうヒステリックなおばちゃんに煽られて、「全頭検査しないと輸入させない」なんて言う気狂いじみた政策をとる政府が許せない。我々全国8千万人の牛丼ファンは、怒っていたのだ。

もちろん、今回の輸入再開については色んな意見がある。当たり前だ。「輸入解禁してもアメリカ産牛肉は買わない。国産を選びます」という消費者も多い。当然だ。自分が嫌な物は買わない。当たり前すぎて論評する気もしない。それなのに、多くのマスコミは「買わない」と言う消費者の声を大々的に報道している。そんなん報道するのなら「私は独善的に偏向している朝日新聞は買いません」とか「中国人が嫌いだから中国野菜は買いません」とかいう声も報道しろよ。
一方、「国が認めるということは、厳しい検査を通ってきたものと思うので、安ければアメリカ産を買います」という消費者もいる。これも大間違いだ。国が認めたからといって絶対に安全とは言えない。何もアメリカ産牛肉に限ったことではない。国産牛肉も同じだ。絶対に安全とは誰も断言できない。絶対に安全ではないけれど、国産と同じリスクだから輸入を再開します、ということだ。あとは消費者が勝手に選んでね、ということだ。それなのに「国が認めるから大丈夫」なんて思っちゃいけない。国なんか信用するな。日本人は何でも役所に頼りたがるが、いい加減、役所の言うことは信用しないで、あくまでも自己責任でお願いします。

そもそも政府のやることにはなんでも反対のマスコミは、ほとんどが輸入再開に反対だ。マスコミというのは、なんでも反対の無責任野党だった社会党を彷彿とさせる対応が基本スタンスなので驚くにはあたらないが、腹立つ。「アメリカの圧力に屈せず、国民の安全を最優先し、拙速な結論を出すべきではない」なんて偉そうな事を言っているが、ほっといてくれ。我々消費者は国なんて頼らず、自分の判断で自己責任で食べるのだから、横からゴチャゴチャ言わんとって欲しい。

もちろん、消費者団体も否定的なスタンスで統一されている。「ブッシュ米大統領の訪日を控えたタイミングであり、食という命に通じる問題を政治の道具にするのは、おかしいのではないか」とか「輸入する日本の事情に合わせるべきで、日本側が高い安全基準を求めるのは当然だし、アメリカ側が貿易障害などと主張するのはおかしい」なんて反対している。もちろん、言うまでもなく、今回の輸入再開は政治的判断だ。せっかく極めて良好な日米同盟関係が、こんなつまらない事でヒビが入っては困るもんな。だから、消費者団体のヒステリーおばちゃん達がアメリカ産牛肉を買わないのは勝手だ。しかし、買いたい人が大勢いるんだから、輸入に反対するのは止めてもらいたい。嫌な人は買わなければ済む話だ。外食するのが心配なら、外食産業にはアメリカ産牛肉を使っているかどうか表示させればいい。気にしない人は注文するし、嫌な人は注文しなければいい。店を信用できないのなら、そんな店には行かなければいい。

僕が以前、提案したように

@ アメリカ産牛肉の輸入を全面的に再開させるが、流通は厳格に管理して、「これは検査していないアメリカ産の牛肉です」と言うように表示させる。それでも納得して買う人は、それでいいじゃないか。

A 牛丼屋を始めとする外食産業においても同じく「検査していないアメリカ産の牛肉を使用しています」と明記させる。それでも平気で食べる人は構わないではないか。自分で納得して食べる人を止める必要はない。僕も含めて、牛丼を愛するタイプの人は、誰もそんなこと気にせずに牛丼を食べると思う。それでいいじゃないか。

で、気になる牛丼チェーン店の対応だが、2つに分かれそうだ。僕が好きな吉野家は、輸入再開と同時にアメリカ産牛肉の使用を再開する方向で準備を進めている。やったーっ!ただし、全面輸入になるまでは、量が十分に確保できるかどうか疑問は残る。
一方、すき家は「現状の検査基準では、使いたくても使えない」とのことで、当面は使わないらしい。これは一つの戦略だろう。牛丼が好きで狂牛病なんて気にしない人は吉野家へ行けばいいし、牛丼は好きだけど気になる人はすき家へ行けばいい。マーケットが分かれているのだから、どっちをターゲットにするかで対応が分かれるのは当然だ。腹立つのは、単に販売戦略なのに、すき家が偉そうに「1頭当たり20ドルで検査が実施できるのだから、アメリカは日本同様、全頭検査すべきだ」なんてほざいていることだ。ほっといてくれ。

一方、アメリカ産牛肉輸入禁止で壊滅的な被害を受けた牛タン料理店は、決して明るくはない。「輸入再開されても、以前の量はまず確保出来ない。手放しでは喜べない」ということだ。政府は、輸入再開後の牛タン輸入量は以前の5%程度にとどまると試算している。お気の毒に。って言うか、僕だって牛タンを食べる機会が激減したから、大迷惑だ。牛タンはかつて1kg当たり1000円前後だったが、輸入禁止後は一時5000円前後にまで高騰したのだ。僅か5%じゃあ事態は改善しそうにないなあ。

今回の輸入部分再開は第一歩ではあるが、早く国際基準にのっとった適切な判断をして、全面輸入を再開してもらいたい。そして心おきなく安くて美味しい牛丼や牛タンが食べられる明るい社会が来ることを願って止まない。(って大袈裟?)

(2005.11.1)



〜おしまい〜





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