キムチ戦争

〜 どんどんやってね 〜



中国と韓国の間でキムチ戦争が勃発した

キムチは言うまでもなく韓国の人にとって無くてはならない食品だ。しかし、中国からの食品輸入が急増している日本と同様に、韓国のキムチも、近年は人件費や材料費が安い中国産が増加し、韓国国内販売量の約20%が中国産になっているらしい。特に外食産業では使用比率が高く、飲食店の半数は中国産を使っているらしい。

ところが、9月末、韓国の野党議員が「インターネットで通信販売されている中国産キムチから韓国産の5倍の鉛が検出された」と暴露したことことから問題が始まった。この鉛キムチをきっかけに中国産キムチに一斉に疑惑の目が向けられたのだ。
鉛キムチは、韓国の食品医薬品安全庁が調査したところ基準値以下で、ひとまず安全宣言が出されたのだが、今度は回虫など4種類の寄生虫の卵がみつかったため寄生虫キムチが大騒ぎになった。寄生虫キムチだなんて聞いただけでも気持ち悪いよな。韓国の保健福祉部は製品の流通を差し止め、市場に回収命令を出し、消費者はパニックに陥った。韓国では、今年の夏にも中国産のコイやウナギから発がん性物質が検出されたが、その時は大きな問題にはならなかった。しかし、韓国の食卓に欠かせないキムチだっただけに反応が激しかった。
安価な中国産キムチに圧迫されて窮していた韓国産キムチにとっては、今回の騒動は大歓迎だろうが、急に言われても白菜を急に作れる訳はないので、白菜価格が急騰し、韓国民は困っているようだ。

寄生虫が着いていた原因は単純だ。中国で野菜を栽培するときは肥料に人糞などを使っているからだ。ここで大嫌いな中国を擁護するのも抵抗はあるが、野菜の肥料に人糞を使うのは僕にとっては何も違和感のある話ではない。僕が子供の頃は日本だってそうだった。畑には肥溜めがあり、そこに人糞が溜められていた。僕は一度、遊んでいて肥溜めに落ち込んだことがあり、人生の汚点とも言える非常に嫌な思い出だ。肥溜めに落ちなくても、お腹の中に寄生虫がいる子供はありふれていた。あの頃の日本の野菜には寄生虫の卵が着いているのが常識であり、小学校では定期的に寄生虫検査があり、薬も飲んでいた。しかし、日本はもちろん、今では韓国でもそんな事は許されないのだろう。
さらに中国を擁護する訳ではないが、人糞を肥料にして寄生虫の卵をいっぱい着けた中国の野菜を使って中国産キムチを製造したのは、その大半が韓国の業者だ。これは日本への輸入が急増している中国製食品も同じだ。鉛やら寄生虫やらに汚染されまくった日本食を日本へ輸出している業者の多くも日本企業だ。こいつらは自分が儲ければ、人々の健康を蝕んだって平気なんだ。素晴らしき商人根性。

という背景があったので、中国側の反応も理解できる。中国側は韓国に対抗して「韓国の大手食品会社5社が製造した韓国産キムチ等から寄生虫の卵が検出された」と発表し、商品の輸入を即日停止したのだ。あきらかな報復措置だ。目には目を、キムチにはキムチで大笑いだ。当事者は真面目らしいけど。そもそもキムチを食べる習慣が少ない中国人が、しかもわざわざ高い韓国産キムチを輸入しているのかどうかも怪しいのだけど、話は一般化され、中国は今後、韓国から輸入された食品類の検査を強化するらしい。中国はほかにも韓国産化粧品に環境ホルモンの一種が検出されていたとして輸入禁止にしているし、貿易摩擦が広がる恐れがある。

日本に対して何かにつけて一緒になって文句ばっかり言う中国と韓国が喧嘩してくれるのは日本にとっては非常に有り難い状況だ。11月に釜山で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせ、中国の首脳としては10年ぶりに胡錦濤国家主席が訪韓し、首脳会談が予定されているが、それに水を差すような貿易摩擦は大歓迎だ。しかも、その内容がキムチってところが面白い。面白くて大歓迎。もっともっと徹底的にやってくれ!

(2005.11.3)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ