iPod 対 ウォークマン

〜 理解できないソニーの戦略 〜



日本の携帯デジタルミュージックプレーヤー市場におけるアップルのiPodの販売台数シェアが遂に6割に達したらしい。元々、アップルがハードディスクを搭載したiPodによって切り開いてきた市場ではあるが、それでも日本では、ソニーを始めとする各家電メーカーがアップルの後を追って対抗商品をすぐさま出してきたこともあり、かなり混戦気味だった。
しかし、今年8月になって日本でもアップルのiTunes Music Storeがサービスを開始し、さらには9月にiPod nano、10月に動画対応の第5世代iPodと、次々と積極的に戦略商品を出したこともあり、シェアが急進してきた。

逆に2位のソニーは、これまではかろうじて販売台数で2桁のシェアを確保してきたが、ついに10%を切ったようだ。さらには、この分野では老舗のRioが市場から撤退したこともあり、完全にアップルの独占市場と化しつつある。

ここまでアップルが圧勝した理由は、もちろん、その商品の素晴らしさにある。最初のiPodは画期的だったし、iPod miniもデザイン的に素晴らしかった。うちの娘もすぐさま飛びついた。僕としては、マラソンのトレーニング時に使いやすそうなiPod shuffleも極めて素晴らしい商品だと思うし、今回のiPod nanoも容量の大きさの割には非常に安価で、デザインも合わせて画期的に素晴らしい。(動画対応の第5世代iPodは、個人的には全く興味はないけど)

このように、商品の素晴らしさを考えれば、iPodのシェアが圧倒的なのは何の不思議も無い。なんだけど、一方で、もう1つ大きな理由は、ライバルの商品の貧弱さである。特にソニーだ。ソニーは一体なにをしてるんだ。て言うか、何もしてないに等しい。なんで何もしないんだっ!
かつてカセットテープのウォークマンで世界を席巻したソニーだが、その後、CDプレーヤーでもウォークマンは世界で圧倒的なシェアを取っていた。その後、日本ではMDプレーヤーでも悪くはなかった。ただし、MDプレーヤーは日本だけの商品であり、海外では後続商品が無かった。そこへアップルがiPodをぶちかましてきたんだけど、どうにもソニーの動きは鈍かった。内蔵したハードディスクに何千曲もストックできるようなプレーヤーに、そんなに大きなニーズがあるとは思わなかったのか。従来からのCDプレーヤーやMDプレーヤーで十分だと思ったのか。パソコンしか作ったことのないアップルの家電商品なんて売れないと思ったのか。音楽のインターネット配信なんて普及しないと思ったのか。
いずれにしても誤算したソニーの動きは鈍く、iPodが爆発的に売れ初めてから慌てて対抗商品を出した。ハードディスクタイプもメモリータイプも全くiPodの物まね商品だった。

ただし、僕は個人的には物まね商品であろうと、良い商品なら大歓迎だ。物まね商品はたいていは安いし、かつデザイン的にも優れていれば、とっても嬉しい。
ところがっ!ソニーを始めとする日本の家電メーカーが出してきたiPod対抗商品は、実にみすぼらしいものだ。デザイン的には、もう論評する気にもなれない。初期のカセットテープ版ウォークマンを引きずったようなダサいものから、支離滅裂のおもちゃのようなものまで、見るも無惨なラインナップだ。本当にひどい。ゴミかクソのオンパレードだ。機能的には遜色はないが、持つ喜びが感じられない。機能的には、むしろiPodよりも優れた物が多いが、実は機能的にはiPodで何の不自由も不便もなく、十分なのだ。だから、それ以上の高機能は消費者には評価されない。そこが分かっていないのかっ!信じられないが。

そして、さらに決定的なのが価格だ。後発の物まね商品は安くなければ話にならんだろっ!?それなのに、ソニーを始めとする各社の製品は、なーんとiPodより高いのだっ!インターネットの価格比較サイトの価格コムで最安値を探してみると、メモリータイプならiPod shuffleの1GBが13200円、iPod nanoの2GBが19500円、4GBが25500円なのに対して、SONYのウォークマンは1GBが14400円、2GBが23800円だ。もう、これは信じられない。デザイン的にも大きく劣る後発の物まね商品が、価格が高いなんて、一体これはどうなってるんだっ!?どういうマーケティング戦略なんだっ!?こいつらアホか!って感じ。

いや、ほんと。全くもって、何を考えているんだろう。もしかして、ソニーは自社ブランドに異常なまでの自信を持っていて、少しばかり高機能にすれば、iPodなんかより高く売れると思っているんだろうか。まさかとは思うけど。でも、そうとでも考えなければ、デザインも劣る後発物まね商品を高く売りつけるような事態は理解できない。

はっきり言おう。ソニーにiPodに対抗できるようなブランド力は無い。もし、全く同じ機能で全く同じデザインの商品があっても、ほとんどの人はウォークマンのロゴよりはiPodのロゴを選ぶだろう。機能は既に十分なので、FMラジオを付けたり録音機能を付けたりしても、ほとんど無意味だろう。なので、仮にデザイン的に同等でも価格はiPodよりも安くしないと売れないだろう。それなのに、劣悪なデザインであるにもかかわらず、逆にiPodより高い製品を出し続けるなんて、ほんとーに信じられない。

ここまでアップルが一人勝ちしているのは、本当に単純な理由だ。ロクな対抗商品が無いからだ。ソニーはそれに気づいてないんだろうか?
実は昨日、ウォークマンの新商品が発売された。近所のヤマダ電機でそれを見た限り、ソニーは何も気づいてないとしか思えません。もう信じられないくらいヒドいデザイン。何これ?子供のおもちゃ?ソニーにはデザイナーはいないの?あまりにもダサすぎる。おまけに価格はすごく高いのよ。しかもしかも、アップルがメモリータイプで4GBのiPod nanoを出しているというのに、なんと今さらハードディスクタイプで6GBなんていう存在意義が皆無の商品を恥ずかしくもなく出しているのよっ!これは一体どうしたことかっ!?もう、お先真っ暗。ソニーもおしまいね。

(2005.11.20)



〜おしまい〜





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