金価格高騰

〜 株だけじゃないぞ 〜



株高とドル高の同時進行で長いトンネルから抜け出して余裕の今日この頃ですが、実は、わたくし個人としては、最近の金価格高騰も朗報なんですぅ。
今年初めには国際市場で1トロイオンス約420ドルだったのが、1987年以来、18年ぶりに500ドル台に乗った。おまけに最近の円安のおかげで、円価格では1グラム2000円をつけている。
いやあ、これも長かったなあ。ほんと。僕が持っている金は1グラム1600円くらいの時に買ったものだから、長らく含み損を抱えていたのだが、ここまで上がってくれると、ほんとに嬉しい。

金が過去一番高かったのは、ソ連のアフガニスタン侵攻やイラン・イラク戦争のあった1980年前後で、当時は1トロイオンス850ドルまで買われた。今から思えば信じられない水準ですな。
ところが、冷戦が終わり、米国経済が隆盛を極めると、資金は金からドル買いに向かい、さらに財政が悪化した旧ソ連、欧州の各国政府や中央銀行が保有する金を売却する動きも加速したため、1999年には252ドルまで値を下げた。あの当時、金への投資は原始的な過去のものとなり、「金は死んだ」とまで言われた。電子マネーが流通する世の中で、今さら金もないわな、って感じ。でも僕は、いつか日本経済が破綻して円が紙くずになる場合に備えて貴重な金を手放さなかった。そして、ここへ来て金が見直され始めているのだ。

この理由もいくつか考えられている。まずは、米国の同時多発テロを契機に「万国共通通貨」として見直されたことだ。同時多発テロの時、ニューヨーク株式市場はほぼ1週間、取引不能になったが、金の現物市場は動き続けたため、「有事の金」復活への転換点となった。その後もバリ島やスペイン、ロンドンなど、世界各地でテロが相次ぎ、「有事の金」が「常時の金」になっているとの指摘もある。
次に指摘されるのが、アジアでの需要が増加傾向にあるということだ。特に高度経済成長の続く中国やインドの宝飾品需要の伸びは顕著だ。インドは貧しい人々でも宝飾品としての金の需要が極めて強いらしい。また、最近の原油高騰で潤う中東諸国のオイルマネーの流入も激しいようだ。
石油と言えば、ちょっと前まで石油に向かっていた莫大な投機資金が金に向かっていることも金価格の急上昇の直接的な原因だ。
さらに、一方で、この旺盛な需要に対し、金の生産量は2004年には前年比5%減の減少となった。金はかなり採掘が進んでおり、南アフリカでは3000メートルも掘らないと採れなくなっているらしい。

もちろん、石油と違って金は消費されて無くなるものではないから、採掘と生産が続く限り、蓄積量はどんどん増えていくから、いずれ金価格の高騰は止まるだろうと言われている。
それから、ドルと違って金は利子を生み出さない。僕が買った金は買った時の価格を上回ったが、その長い間、もしドルや株に投資していれば利子や配当が着いた訳だから、それを考えれば、あんまり喜べない。あくまでも金は円やドルが紙くずになった時に備えた保険のようなものだ。とは言え、含み損から含み益に転じたのは嬉しい。

(2005.12.3)



〜おしまい〜





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