ライブドアその後

〜 みんな冷静になろう 〜



相変わらずライブドアに対するマスコミの批判が狂騒的だ
新聞は毎日、一面での報道を続けるし、NHKニュースも朝から晩までトップニュースで延々と垂れ流し続けている。マスコミを買収しようと企てたライブドアがよっぽど憎かったんだろうけど、自分たちだけの感情で偏った報道をするのは止めて欲しい。何も知らない人が勘違いする。既に勘違いしている人が大勢いる。子どもの小学校の担任は「悪いことをしている人は必ず捕まるもんだ」なんて説教を垂れているらしいが、田舎の教師には金融取引の仕組みはまるで分かってないだろうなあ。

経済知識が無いくせに独善的で頭の悪い朝日新聞や毎日新聞が批判するのは分かるとして、経済紙である日経新聞でも批判的記事が多いのが理解できない。やたら「画策」とか「悪用」とか「偽装」とか、悪事を働いていたと決めつけているが、法的に何が悪いのかはっきり言えているマスコミは皆無だ。どう考えても、違法になる可能性があるのは「風説の流布」とか「粉飾」といった極めて曖昧で解釈次第でいかようにでもなるグレーな部分だけだ。検察は一気に逮捕してしまったので、起訴はするのだろうけど、裁判で有罪になるかどうか疑わしいものだ。

異常な株式分割にせよ、投資組合にせよ、やっている事は制度の本来の趣旨からはずれたものであり、モラルに反しているのは事実だが法律に違反していないのに罰するというのは法治国家のやる事ではない。悪いことだと思うのなら禁止する法律を作らなければならない。やるべき事は、行政による曖昧な裁量ではなく、法規制の整備だ。
それなのに、バカなマスコミや頭の悪い政治家どもは、頭から犯罪者と決めつけて徹底的に批判している。しかも、ライブドアを典型とする虚業ベンチャーや、それらの株をもてはやして買いまくっていた投機家たちだけでなく、旧態依然とした古い体制を改革しようとする者すべてを批判し始めている。まことに自分勝手な理屈で新しい流れを食い止めようとしている。

ただし、いくらマスコミが徹底的に叩こうとも、多くの国民が安易に同調している訳ではない。いくらマスコミが小泉政権を叩いても支持率が下がらないのと同じで、マスコミの見え透いた戦略が易々と通用するわけではない。マスコミや野党によるライブドア批判の大合唱にもかかわらず、多くの国民は改革を支持している。マスコミと一緒になってライブドアを批判しているのは、もとからライブドアに否定的な頭の古いおっさん達だ。
また、圧倒的な国民の支持を目の当たりにして、ここのところ小泉政権に対して何も言えなかった古い政治家どもが、ライブドア事件を契機に改革に対して一斉に批判し始めたが、いくら古い政治家がライブドアを批判しても、だからといって古い政治家どもに支持が戻る可能性はゼロだ。いくらマスコミがライブドアを批判したところで、だからと言って古い頭のテレビ局に支持が戻る訳ではない。


もう一度、問題点を整理してみよう。

@ ライブドア自身や、ライブドア株を持てはやしてきた投機家は、全く同情に値しないうえ、大した存在でも何でもないので、大騒ぎするのは止めよう。

ライブドア自身が大した事ないってのは、田舎の教師も含めて、ちょっと考えれば誰にでも分かる事だ。ライブドアの株価や時価総額は高成長してきたが、それを支えたのはマネーゲームによる利益とイメージであり、本業であるIT事業ではなかった。実体の無い会社の株式が紙くずになったところで、実体経済に与える影響は軽微だ。もともと価値は無かったんだから。

ライブドアの株価急落によって損害を被った人は多い。なんてったって株主が22万人にもいるんだから。そういう状態自体が異常だが、ライブドアなんていう怪しくも胡散臭い会社の株を喜んで買いまくっていた個人株主は、企業や事業そのものを客観的に判断していたのではなく、直近の株価や時価総額の動きだけに目を奪われていた近視眼的な投機家だ。そういう連中がどんだけ損しようが、誰も同情はしないだろう?マスコミだって、普段なら投機家に対しては批判的なスタンスなんだけど、何でもかんでも自分に都合の良いように書き換えるマスコミどもは、こういう時に限って損をした株主の側に立ってライブドアを批判している。
ライブドアの高成長を支えたのは、マネーゲームによる利益であり、それくらい分かっているはずなのにライブドアをIT企業の旗手ともてはやしていたのは、他ならぬマスコミだ。今回、鬼の首を取ったかのような大はしゃぎしているマスコミどもだ。
いずれにしても、得体の知れない怪しい企業の株価を持てはやしていた投機家が痛い目を被って、もう少しまっとうな企業に投資先を変えれば、日本の株式市場にとっては結果的に良いことだ

ところで、僕は投機家は徹底的に嫌いだが、彼らの存在意義を否定しているわけでは決してない。いかなるマーケットにおいても投機家の存在は必要だ。投機家がハイリターンへの期待と引き替えにリスクを取ってくれるからこそ、我々はリスクヘッジできる。為替にせよ商品にせよ、相手側に投機家がいるからこそ我々は長期固定のノーリスクで取引することができる。
株式市場においても、企業の業績やファンダメンタルズに無関係に短期的な株価の変動だけを追って短期売買を繰り返して投機に励んでいるデイトレーダーは大嫌いだが、彼らの存在を否定するわけではない。彼らが増えたからこそ日本の株式市場は一時の低迷から脱し、市場の流動性が確保されている。みんなが僕のように長期的視点からの投資だけしかしなくなれば、流動性が無くなり市場は冷え込んでしまい、機能しなくなってしまう。

結論を言えば、ライブドアなんていう胡散臭い会社が潰れようが、その株を買いまくって金儲けを企んでいるようなふざけた投機家連中が損しようが、同情することでもなければ、逆に批判する事でもない。我々一般国民が大騒ぎするような事ではないということだ。
(石材店)「とか何とか言いながらライブドアの株の買い時を探っているでしょう?」
(幹事長)「あっ、分かった?」



A ライブドアという会社は存在そのものが詐欺のような虚業の典型とも言える会社だが、社会に与えた影響としては評価できるものが多い。

急成長のIT企業というイメージは嘘なんだけど、古い秩序の破壊者というのはイメージどおりであり、旧態依然とした日本の大企業の体質を改善させるだけの力を持っていた。典型的なのがニッポン放送株の買い占めだ。仲良しクラブ的に呑気にヘラヘラしていたテレビ会社に衝撃が走り、経営改革に重い腰を上げざるを得なくなった。今回の逮捕劇でマスコミ各社がライブドアを徹底的に叩きまくっているのは、その恨みがあるからだ。まさに逆恨みだな。
マスコミだけでなく、実体の無い怪しい急成長ベンチャー企業でも大企業をM&Aできると分かり、他の大企業も戦々恐々となった。今回の事件で、マスコミだけでなく財界からもライブドア批判が沸き起こっているのは、そのためだ。ただし、いくらここでライブドアを批判したって、もう昔の世界に逆戻りはないよ。って言うか、M&Aはライブドアがいようがいまいが、アメリカ型資本主義の世界化に伴い、否応なしに日常的になっていくだろう。

ただし、ライブドアはそういう世の中の流れを古い頭の経営者に気づかせるという点で貢献はあったが、ライブドアの株価の高成長と、このところの日本経済の復活とは何の関係も無い景気回復を支えてきたのはオールドエコノミー企業の復活だ。ライブドアに限らず、ヤフーも楽天も、実体経済の成長に貢献している訳ではない。足腰のしっかりした昔からの大企業の復活無くして日本経済の復活はない。イメージと実体は異なる。なので、ライブドアショックだなんてマスコミは大騒ぎしているが、日本の実体経済はもとより、株式市場に与える影響も極めて限定的で短期的なものだ。
特に、日本経済の実体を支えている企業を対象とした東証一部の平均株価は、ライブドアショックで急落したものの、あっという間に回復した。胡散臭い企業がわんさかいるマザーズなんかは回復が鈍いが、それは今までの株価が異常だったということだ。


それにしても株価が回復基調に乗った去年の夏頃から株価の値動きが非常に激しい。かつては、日経平均で100円を超す変動があると、「大きく動いたなあ」という印象だったけど、このごろは平気で2〜300円くらい動く。事件があって急落するときの変動が大きいのは仕方ないにしても、昨日なんて一気に569円も上がってしまった。ここまで動きが大きいと、ちょっとどうかと思うけど、仕方ないのかなあ。

(2006.1.28)



〜おしまい〜





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