PSE大混乱

〜 無様な役所の対応 〜



PSEマーク問題が混迷を極めている
これだけ大騒ぎになればPSEって言葉を聞いた事が無い人はいないと思うけど、一体、PSEって何よ?意味不明の英語や略語を使うのは止めて欲しいよなあ。調べてみると Product Safety Electrical Appliance & Materials の略だって。予想どおりだったけど、そもそも言葉になってないぞ。せめて間に of くらい入れろよなあ。ていうか、何で日本語にしないんだ?それがそもそもの問題の始まりだぞ。だって言葉の意味が不明だから国民の理解も進んでなかったんだぞ。アホかいな、ほんまに。
話はそれるけど、PSEと似ているBSEだって同じ事で、Bovine Spongiform Encephalopathy の略だって知ってる人いる?僕は発音もできません。それより狂牛病って言った方がはるかに分かりやすいのになあ。

PSEマークの事は恥ずかしながら最近まで全く知りませんでした。て言うか、今でも規制の内容は知りません。英語の意味からすると、多分、家電製品の安全性に対する規制でしょうな。世界で最も進んだ家電製品を製造する家電先進国日本において、今さら何を規制するのか理解に苦しむ。松下電器のストーブによる死亡事故の報道は記憶に新しいけど、普通の家電製品で事故が頻発しているとも思えない。要するに、規制緩和に逆らって何でもかんでも規制したがる役所が、何かのドサクサに紛れてこっそりと作った法律なんだろうなあ。どうせ役所が指定する検査機関には役人がわんさか天下りして甘い汁を吸い尽くすんだろうなあ。もちろん、日本の家電メーカーの製品なら何の問題も無くマークが得られるだろうから、この規制によって粗悪な中国製品が排除されるのなら、それはそれで少しは意味があるかもしれない。

この法律は5年も前に成立していたのに、今になって大騒ぎになっているのは、実際の施行がこの4月からになるからだ。それでも新品の場合は問題ない。家電メーカーは5年もの猶予期間の間に万全の対応ができているからだ。問題は、この規制が中古製品に適用されるかどうかだ。法律は5年も前に成立していたのに、中古製品に適用されるかどうかは、なんとつい最近まで明確でなかった。そして、最近になって役所はいきなり、全ての中古製品に適用すると言い出したのだ。

これで、まず最初に怒りの声を上げたのが音楽界だ。希少価値の高いビンテージものと言われる音楽機材について中古販売ができなくなるのは許されないと大声を上げた。坂本龍一ら著名人が煽動したこともあり、大きな世論となり、あわてた役所は泥縄式にビンテージものの音楽機材を規制対象から除外した
しかし、それでは済まなかった。そもそも何をビンテージものと判断するかが難問だ。音楽の事なんて何も理解できない役所は、ビンテージものの判断基準として「1989年以前に製作が終了したもの」なんていう案を示したけど、1989年の根拠ってあるのか?1990年以降に製造された製品は、申請ごとに個別に判断するということなんだけど、単にきりがいいから1990年で区切っただけじゃないか。アホですか、ほんまに。

このアホな役所の対応に対して、坂本龍一らは「何がビンテージかはお役人に決められる問題ではない。楽器を除外すればミュージシャンが黙るだろうという意図がみえみえだ」と批判し、楽器だけでなく中古家電全体を対象から除外するよう制度の見直しを訴えた。当然の反応だわな。もともとは力が弱かったリサイクル業者なども、音楽界の反発に力を得て、強固に反対を続けた。メンツを気にする役所は、「電気用品安全法の施行は予定通り行う」として、制度自体を見直す考えはないことを改めて強調しつつも、混乱が収拾しないので頭を抱えた。

そして、ついに妥協案が出てきた。すごいぞ。とんでもない案だ。つまり、「リサイクル業者などが中古品を販売した後、自主検査でマークを付けるまでの間はレンタルとみなす」というトンデモナイ奇策を出してきたのだ。レンタルは販売ではないので、電気用品安全法の対象外なのだ。しかし、中古とは言え、販売は販売だ。それをレンタルと言いくるめるなんて、さすがは役所。黒を白と言いくるめる技量には脱帽だ。詭弁の達人の中国人みたいだ。
この奇策によって4月以降もPSEマークがない中古家電製品の販売が事実上認められることになった。確かにめでたいことだ。しかし、これって、役所自らが脱法行為を奨励している事にならないか?

役所が業者と並んで行った記者会見がお笑いだった。役所は「暫定措置はあくまで検査機器が行き渡るまでの間のことであり、同法改正などは考えていない」と強調していたけど、業者は横で「実質的に猶予期間の延長を勝ち取った」と大きな声で断言していた。
役所は「あくまでも検査態勢が不十分なための臨時措置。検査機器が行き渡った段階で安全性を業者が点検してPSEマークを付ける」と説明しているが、特に期限を定めているわけではない。誰がどう考えても、中古販売店が販売後にわざわざ検査機器を持参して客を訪ねたり、あるいは客から中古品をわざわざ持ち込んでもらって検査するとは思えない。そんな事を誰がするの?めんどくさい。検査体制が整ったからと言って、あえて負担がかかるような事をするわけないだろう。全くのザル法になるぞ。そもそも買う時にレンタル契約を結ぶのか?そこが大きな疑問だ。そんな詭弁を弄してメンツを立てようとしないで、あっさりと「中古は対象外にします」と言った方がすっきりして分かりやすい。実態もそうなるんだから。

(2006.3.26)



〜おしまい〜





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