盗作絵画

〜 いくら何でもやりすぎよ 〜



洋画家の和田義彦という人の作品が盗作ではないか、と騒ぎになっている。僕は絵画については、まことに造詣が浅い。以前も書いたように、このコーナーの記事も、政治問題、外交問題、社会問題、経済問題、あるいは科学、技術、さらにはスポーツに比べて、文化面の記事は非常に少ない。文化面でも、映画、文学、音楽に関するものは、ほんの少しはあるが、絵画は皆無だ。美術面でも現代美術は好きだし、パソコンで色々と画像を加工するのも大好きなんだけど、伝統的な美術に対しては関心は極めて薄い。なので、絵画で盗作騒ぎがあったって、本当は何の関心もないところだが、今回はちょっと書かせていただく

和田義彦(66才)という人は、今春の芸術選奨の美術部門で文部科学大臣賞を受賞した洋画家とのことなので、その世界では、ある程度の評価を受けた人なんだろう。かな?ところが、その賞の主な受賞理由だった作品が、知人のイタリア人画家の絵と酷似していると騒ぎになっているのだ。知人のイタリア人画家とは、ローマ在住のアルベルト・スギ氏(77才)で、イタリア現代美術展の協会長を務め、イタリアでは著名な画家とのことだが、当然わたくしは、全く知りません。和田氏は東京芸術大大学院油画科を修了後、イタリアに留学しており、スギ氏とはその時に交流があったとのことだ。

騒ぎになったのは、芸術選奨を主管する文化庁に「和田氏の作品は盗作だ」という匿名投書があったからで、文化庁は両氏から事情を聴くなど調査しているらしい。
両氏の見解は、和田氏は「似た作品だが、同じモチーフで制作したもので、盗作ではない。スギ氏とはイタリアに留学して以来、長い付き合いで、留学当時は一緒に習作やデッサンをして芸術的な影響も受けた。酷似しているのは一緒にデッサンしたり共同制作したためだ」と主張し、「同じモチーフで制作することは伝えてあった。比べて見れば、違う作品だとわかる」と説明している。
しかし、スギ氏の方は「そういう作品を作っているとは知らなかった。文化庁の調査で初めて事実を知った。コピーであり、やりすぎだ。明らかな盗作だ。あり得ない話だ」と主張している。

何度も言うけど、僕は伝統的な美術には関心が乏しく、盗作だとしても、普通ならどうでもいいんだけど、今回はびっくりした。なぜなら、盗作なんてものじゃなくて、スギ氏の言うように、まさにコピーとしか思えない作品だからだ。ここに勝手に紹介しよう。

     

スギ氏「ノクターン1」(左) と 和田氏「ナイトクラブ」(右)
どうだろう?素人が見る限り、完璧に、ひゃくぱーせんと盗作でしょ!これ?いくら和田氏が「比べて見れば、違う作品だとわかる」なんて強弁したって、どう見ても完全な盗作だぞ。似ている作品はこれだけでなく、現時点では十数点が似ていると判明しているらしい。

素人の僕は知らなかったけど、なんと驚いたことに、美術界では、他者の作品を一部借りる行為が珍しくないんだって。なんとっ!だから盗作かどうかの判断は難しいそうだ。なんとなーく少し似ているだけで盗作騒ぎが起こる文学と違って、ほんまかいなって思うくらいの緩い世界だけど、しかし、それにしても、これはどこからどう見ても、完全なコピーでしょ?

(2006.5.29)



〜おしまい〜





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