再び妥当な死刑判決

〜 示された最高裁の良識 〜



全国的にも注目を集めた山口母子殺害事件の犯人の元少年が、死刑になる公算が高まった極めて妥当すぎる判決だ

この事件は、7年前に山口県光市で起きたもので、犯人の少年が会社員の若妻を強姦するのを目的に、若妻と幼児だけがいた午後2時半ごろに会社員宅に侵入し、若妻の首を絞めて殺害して乱暴したうえ、泣きやまなかった11ヵ月の幼女をも床にたたきつけた上で絞殺したという、常人では考えられないような、何の弁解もできない残虐非情な事件だ

まっとうな人間なら誰でも、この事件の話を聞けば、犯人は即刻、死刑にしなければならない、と強く思うであろう。少年って言ったって、もう18歳で、十分に大人であり、何の言い訳にもならない。私も、こんな奴は即刻死刑にしないと、世の中から正義が消えてしまうと思う。

それなのに、ああ、それなのに、腐りきった日本の裁判所は、そう思わなかったようだ。腐りきった山口地裁の1審も、広島高裁の2審も、ともに「計画性はなく、更生の可能性がある」なんていう信じられないような理由で無期懲役を言い渡してしまった。少年法のしばりで、死刑が適用できる18歳になって1ヵ月しか経っていなかったことを重視したのだ。
しかし、ちょっと待て。18歳まで死刑にできないっていう少年法自体に無茶苦茶疑問があるが、仮に、そうだとしても、18歳になれば堂々と死刑にできるのだから、1ヵ月でも過ぎていれば何のためらいもなく死刑判決を下すべきだ。それなのに腐りきった地裁や高裁は、臆病にも死刑判決を出す勇気が無かった。アホだ。全くのアホだ。

しかし、最後の砦である最高裁によって、なんとか司法の良識が示された。あくまで死刑を求めた検察側の上告に対する上告審判決で、最高裁第3小法廷は「罪責は誠に重大で、特に斟酌すべき事情がない限り、死刑の選択をするほかない」として、無期懲役を言い渡した2審・広島高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻したのだ。裁判長はじめ、4人の裁判官の全員一致による結論だ。
差し戻しではあるが、はっきりと「死刑の選択をするほかない」と言っているため、今後、よっぽど被告に有利な事情が新たに出ない限り、死刑を言い渡される公算が大きくなった。ほんとに、本当に良かった。
判決の中で最高裁は「2人の尊い命を奪った結果は極めて重大で、生命と尊厳を相次いで踏みにじった犯行は非人間的な所業といわざるをえない。無期懲役の量刑は甚だしく不当で、破棄しなければ著しく正義に反する」と言っているが、まさにその通りだ。死刑でなければ著しく正義に反する。

腐りきった下級審では、「殺害行為に計画性がない」、「前科がない」、「発育途上にある」、「不十分ながら反省の情が芽生えている」なんていう下らない理由をあげつらって死刑を回避した。言い訳のための言い訳だ。

これに対して最高裁は、まず計画性の点では、「被告は強姦を計画し、その強姦目的を遂げるために反抗抑圧の手段や犯行発覚防止として殺害を決意して冷徹に次々と実行しており、偶発的とはいえない。殺害についての計画性がないことは死刑回避を相当とする特に有利な事情と評価できない」とした。正常な判断だ。
まあ、本当は、そもそも、偶発的なら殺人しても良いっていう発想自体が許せないんだけどね。たまたま偶発的に殺す意思が無いのに相手が死んじゃったってのなら傷害致死だろうけど、殺人の場合はあくまでも殺人だ。いくら計画性が無くても殺す意思をもって実行したものは殺人だ。計画性の有無なんて関係ないぞ。

それから、更生の可能性についても「罪の深刻さと向き合っていると認めることは困難である」と切り捨てた。この犯人は、友人への手紙の中で、被害者の夫である会社員について「調子に乗っている」などとバカにするような事を書いたり、「無期懲役はほぼ確実だ。7年くらいしたら出られる」などと嬉しそうに書いたりしている。今頃になって「自分のしたことは死んでも償えることではないし、謝罪しても許されることではない。たとえ償いきれなくても、生きていることが許されるのなら、償いの気持ちを表し続けていきたい」なんてわざとらしく言っているが、悪徳弁護士の悪知恵で言わされているのだろうけど、そんな嘘は、腐りきった下級審では通用しても、最高裁には通用しなかった。「遺族の被害感情に対し慰謝の措置も講じられていない」と指摘したのだ。

そして最後に、18歳になって間もないという点についても、「死刑を回避すべき決定的な事情とは言えない」として退けた。とても素晴らしい判決なんだけど、良識ある市民が普通に考えれば、それ以外の結論はあり得ないのであり、そもそも下級審が狂っていただけの話だ。

これに対し、金儲けと売名しか考えていない悪徳弁護士どもは、「殺人及び強姦致死は成立しない」なんて意味不明の論理を展開している。もちろん、このような戯言は、最高裁が一蹴しているだけでなく、さすがの下級審も無視していた。腐りきった下級審にも腹は立つが、一番腹が立つのは悪徳弁護士どもだ。

なお、今回の判決で万々歳かと言えば、決してそうではない。遺族である会社員が「最高裁が自ら判決を出すことを願っていたが、残念ながら差し戻しになった。これから確定まで、どれだけの歳月が流れるか分からない。裁判の迅速化が叫ばれる中、差し戻すのは遺族としては納得できない」と言っているように、どうせなら最高裁が自ら死刑を言い渡せば良かったのに、とは思う。その方がスッキリするし、早いし。
犯人のバカ少年は「もう一度裁判があるなら、その機会を大切にしたい」なんて言っている。まさかとは思うが、逆転の可能性も否定できないのだ。今後、高裁で死刑判決が出ても、悪徳弁護士どもは絶対に上告するだろうから、まだまだ何年もかかるだろうなあ。これまで事件発生から既に7年も経っている事を考えれば、あまりにも長い裁判だ有無を言わさず即刻死刑にしても、文句を言うのは悪徳弁護士くらいだろう。

しかし、とにかく、最高裁が最後の良識を示したのは良かった。最高裁の判断が下級審と異なる理由として考えられるのは、下級審の裁判官が、みんな専門の裁判官だってことだ。当たり前のようだが、最高裁の裁判官ってのは、裁判官出身者だけでなく、検察官や弁護士や学界からも登用される。現在の15人で言えば、裁判官出身は6名に過ぎず、弁護士出身が4名、検事出身が2名、官僚出身が2名、学者出身が1名という構成になっている。長官を除く判事は、内閣が識見の高い、法律の素養のある40歳以上の者から任命することになっており、裁判官の世界しか知らない下級審の裁判官に比べて常識と良識があるのだ。弁護士出身ってのは、どうも悪徳弁護士を想像してしまうのでイメージは悪いけど、検事出身者がいるのは心強い。15名のうち、5名以下は法曹資格を持たない民間人からも登用でき、事実、現在の最高裁判事のうち2名は法曹資格を持たない。腐りきった下級審の非常識な判決を見ていると、法曹資格なんぞ無い方が、よっぽど市民の良識に近い判断ができると言えよう

今回のように、最高裁が死刑求刑事件で二審の無期懲役判決を破棄した例としては、4人が射殺された有名な「永山事件」(これも犯人は未成年だった)以降としては、強盗殺人で服役し、仮出所中に広島県内で強盗目的で老女1人を殺害した被告に対する判決以来だ。これも「これで無期懲役だなんてひどすぎる」と、ほとんど全ての日本人が憤慨するような事件だったが、やはり下級審は「計画性は低い」とか「更生の可能性が残されている」なんていう理由で死刑を言い渡さなかったのだ。そして、下級審のあまりのお粗末な判決に対して最高裁が良識を示した事例だ。
逆に言えば、ここまで極端な事例でない限り、なかなか最高裁では判決は覆らないって事だ。つまり、普通の市民なら「どう考えても死刑だよなあ」と思うような犯人でも、多くが無期懲役で助かっているのだ。無期懲役ってのは終身刑ではなく、あくまでも刑期が決まっていないっていうだけで、たいていは10数年も経てば仮出所で出てくる。これは、いかんだろう?死刑でないのなら、あくまでも終身刑で北朝鮮に島流しするくらいでないと不公平だぞ。

それから、悪徳弁護士に対する非難は、言い疲れたので止めるけど、またぞろ出てくると予想される死刑反対論者も絶対に許してはならない。

(2006.6.21)



〜おしまい〜





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