北朝鮮ミサイル発射 B

〜 不可解なインド 〜



さて、よい子の不可解シリーズ第3弾ですが、ミサイル発射で、もう1つ不可解なのが、インドのミサイル発射実験。これだけ世間が北朝鮮のミサイル発射で騒いでいるのに、インドは、何事もなかったのごとく自分とこもミサイル発射実験をしてしまった。これには、びっくりよ。
このミサイルは核弾頭の搭載も可能な新型長距離弾道ミサイル「アグニ3」(射程距離約3000km)で、定例実験の一つだそうだ。でも、いくら定例実験とは言え、国連で北朝鮮制裁を発動しようかどうしようか、なんて騒いでいる中で、よくもまあ平気で実験できるなあ。

そして、さらにびっくりするのが、米国や西側諸国が一切問題視していないことだ。一方では、北朝鮮のミサイル発射に対して制裁を議論しているというのに。とても不可解。すごく不可解。一体、どうなってるの?

インドのミサイル発射実験そのものは、失敗だったようだ。発射自体は成功だったが、設計上の問題でミサイルの一部の切り離しに失敗し、目標地点まで到達せずベンガル湾に落下し、実験は失敗した。しかし、北朝鮮のミサイル発射だって失敗したとの観測が強く、失敗したかどうかは関係ない。

もちろん、日本政府「北朝鮮のミサイル発射問題をめぐり国際社会が地域の平和と安定を確保すべく対応している中で今回の実験が行われたことは特に遺憾」と抗議している。当たり前だ。しかし、日本政府は本当に怒っているのか。北朝鮮を非難している手前、インドにも取りあえず一応は言っているだけで、たぶん、真剣に抗議しているわけではないだろうなあ。だってインドのミサイルなんて、日本にとっては脅威でも何でもないもんなあ。どう考えたってインドが日本にミサイルを撃つわけはないもんなあ。

インドがミサイルを撃つのは、言わずとしれたパキスタンと中国だ。インドは既にパキスタンを射程におさめる核搭載可能な短・中距離弾道ミサイルを保有しているが、今回実験したアグニ3は北京や上海などまで到達可能であり、パキスタンとのミサイル開発競争で優位に立つだけでなく、中国に対しても核戦力で対等に近づく。
ところが、今回のインドの実験に対して、パキスタンも中国も抗議していない。パキスタンとしては、今回発射されたミサイルは、もっと遠くの中国を狙ったものであり、あんまり関係ないと思っているのだろう。それに、パキスタンはミサイル開発や核開発に当たって北朝鮮と密接な協力関係にあり、下手に騒ぎ出すと、北朝鮮がらみで自分も矢面に立たされる可能性がある。そのため黙っているのだろう。
また、インドが発射したミサイルが直接の脅威となる中国は、一方で北朝鮮をかばっている手前、インドに対して非難するのは難しいだろう。それに、中国は既にインドの主要都市を射程に入れたミサイルをチベット自治区に配備しており、インドとすれば中国に対抗するために核抑止力の整備が急務なので、元はと言えば中国が悪いわけだ。

以上のような状況なので、パキスタンや中国はインドに抗議はしない。しかし、その他の国も一斉に口をつぐんでいるのはなぜだろう?

アメリカは、インドとの民生用原子力技術協力の実現に向け、6月末にインドへの核技術供与を認める法案を可決したばかりだ。アグニ3はいつでも発射実験が可能な段階だったらしいが、インド政府は、米国議会でインド向け原子力協力に関する法案が審議中だったことから実験を延期していた。それが6月末に可決されたもんだから、「もういいぞ」とばかりに実験を行ったらしい。この神経を逆なでするようなミサイル発射に対して、アメリカは怒り狂わないのだろうか。どうやら怒り狂わないみたいだ。

インドのマスコミは「インドのミサイル発射実験は米国の暗黙的同意の下に行われたもの」としている。「アメリカは、インドと北朝鮮のミサイルを全く違うものと認識している。なぜなら、民主主義国家のインドは、北朝鮮とは比較にならない」からとのことだ。確かに、インドは民主主義だ。そういう意味では中国より500百万倍、北朝鮮よりは3000万倍くらいマシだ。でも、要人が平気で暗殺されたりする国だし、全面的に信頼するのは難しいと思うんだけどなあ。
アメリカとしては、インドとは関係が良好だから容認するのだろう。何をしでかすか予測不可能な北朝鮮がミサイルを持つのは容認できないが、一応、何をやるか予想できるインドなら許すということだろう。アメリカからは「インドは核やミサイル技術を外部に輸出しておらず、テロ団体を支援した前歴もない」とか「インドは核不拡散条約(NPT)に加入していないにもかかわらず核を拡散しなかったが、北朝鮮はNPTに加入しておきながらミサイルを輸出している。アメリカは、インドのミサイルが大量破壊兵器の非拡散政策に触れるとは思っていない」なんて意見が聞こえてくる。

でも、なんとなく、余りにも態度が違うので、ちょっと戸惑うよなあ。「なんでインドは良くて、わしらはいかんのだ!」という北朝鮮の文句が聞こえてきそう。そもそも核兵器からして、前々から核保有している5大国は保有が許されているのに、新たに保有しようとする国は徹底的に攻撃される。インドは5大国に続いて、核保有が暗黙されつつある国なのだ。
こんな不公平で理不尽な事があろうか!そしてこの5大国が国連の安全保障理事会の常任理事国として国連を牛耳っているのだ。アメリカ、イギリス、フランスはまだ許せるとしても、ロシアや中国までもが核兵器を保有して安全保障理事会の常任理事国に居座っているのだ。なんでこなな危険な国に日本は援助しなけりゃならないの?アメリカに次いで大金をふんだくられている日本は、国連では今だに旧敵国として、情けない地位に甘んじているというのに。もうこの際、こんな国連から脱退して、日本も核兵器を所有すべきだ!
(石材店)「遂に本音が出ましたね」

ま、国連から脱退する必要はないけど、国連内での地位が高まるまで、分担金の支払いは止めてもいいんじゃないかなあ。それから、中国に対抗するためには核兵器の保有も必要だろう。北朝鮮を攻撃する前に、最大の脅威である中国に対して備えを怠ってはいけない。
(石材店)「なんか、北朝鮮非難から、ずれてきてますけど」
(幹事長)「ふっふっふ。実は私は北朝鮮と密約を結び、中国と韓国を一斉攻撃するプランを温めているのだよ」


(2006.7.12)



〜おしまい〜





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